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【城山のぶお・リメイクJA】第23回 迫る農協改革の集中推進期間2019年2月1日

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【城山のぶお】

 農協改革は、今年5月に集中推進期間の期日を迎える。集中推進期間が終わったのち、農協改革の総括を誰がどのように行うのか。
 だが、農協改革についての政府とJAグループとの認識がすれ違いのまま事態が進行しているため、とくにJAグループにおいて、その評価は極めてあいまいなまま終わりそうである。むしろ、自画自賛の内容になる可能性が強い。そこで農協改革を振り返り、当面の総括を試みる。

 今次農協改革は、平成26年6月24日に閣議決定された「規制改革実施計画」に示された、JAの組織改編の「仮説的グランドデザイン」によって進められてきた。
 政府によるJAの組織改編の仮説的グランドデザイン
  ―「規制改革実施計画(平成26年6月24日閣議決定)」―
1)JAを農業専門的運営に転換する。
2)JAを営農・経済事業に全力をあげさせるため、将来的に信用・共済事業をJAから分離する。
3)組織再編に当たっては協同組合の運営から株式会社の運営方法を取り入れる。
 ア.全農はJA出資の株式会社に転換する。
 イ.農林中金・共済連も同じくJA出資の株式会社に転換する。
4)JA理事の過半を認定農業者・農産物販売や経営のプロとする。
5)中央会制度についてJAの自立を前提として、現行の制度から自律的な新制度へ移行する。
6)准組合員の事業利用について、正組合員の事業利用との考えで一定のルールを導入する方向で検討する。
 注)上記のまとめについては、筆者の解釈を含んでいる。例えば、「実施計画」では農業専門的運営への転換などという表現はしていないが、これは問題を明らかにするための筆者流の解釈である。
 JAグループでは、改革は自分でやるものという当たり前のこととして、頻繁に使われている自己改革という言葉の意味は、政府によればこの仮説的グランドデザインを平成31年5月までに確実に実行せよということである。現時点(平成31年1月現在)でその結果を概観すれば、次のようになる。
1)JAを農業専門的運営に転換する。
 総合JAを解体して専門農協にすることにはなっていないが、農協法の改正によって、JAの営農・経済事業分野については、営利追求ともとれる規定が新たに設けられた。
2)3)のJAからの信用・共済事業分離、および連合会等の株式会社化について。
 このことについては、いずれも実現してはいない。全農のJA出資の株式会社化については、JAの経済事業部門の多くが赤字であることを考えれば、赤字部門を統合する株式会社化は不可能であろう。
 農林中金の株式会社化~普通銀行への転換の方向はとられず、JA信用事業の農林中金への事業譲渡・代理店化に絞って検討が進められている。代理店化については、現在組織討議が行われており、31年5月に組織討議の結果を集約することになっている。
 代理店化の道を選択するJAはほとんどないと考えられるが、代理店とする体制はすでに整えられており、中央会監査から公認会計士監査への移行や、准組合員の事業利用規制などとの関連で、代理店化への環境づくりは着々と整えられてきている。
 共済事業については、ペーパーレスなど事務の合理化などが課題とされているが、共済連の株式会社化については、むしろ実態が先行している。契約の元受けは、JA・連合会の共同となっているものの、共済にかかるリスクはほとんど連合会に移管されており、いつでも会社化できる素地はできていると考えられる。
 連合会等の株式会社化については、協同組合的事業展開・特性の発揮は、Plan・Do・Seeの起点が単位JAにあることを認識し、それを実行できる体制の整備を考えて行かなければならない。
4)JA理事の過半を認定農業者・農産物販売や経営のプロとする。
 この問題については、JA側も農業者が理事になってもらいたいという意向はもともと強いと思われる。だが、そのような者を理事として確保するのが難しいというのが実情であろう。
 農協法改正に伴う認定農業者・農産物販売や経営のプロについての農水省の解釈も、実態に合わせて弾力的になっている。JAとして、今後ともできるだけ農業現場に近い者を理事に迎える努力をすべきである。
5)中央会制度について、JAの自立を前提として、現行の制度から自律的な新制度へ移行する。
 この問題については、当初の思惑を超えて一気に決着がつけられた。旧農協法第3章に規定されていた中央会制度は、「削除」というたった2文字で完璧に葬り去られた。これにともない、中央会監査も公認会計士監査に置き換わった。
この影響は、今後のJA運動にとって計り知れないものと覚悟すべきである。
6)准組合員の事業利用について、正組合員の事業利用との考えで一定のルールを導入する方向で検討する。
 この問題は、平成33年3月までに結論が先送りされた。全中は、制度としての准組合員問題を既得権益と考えて政治的解決を図ろうとしているが、これでは事態を見誤る。
 この問題は、総体として准組合員の数が正組合員の数を上回るという状況の中で、JAの将来像をどのように考えるかが問われている問題としてとらえることが重要である。

 

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