【森島 賢・正義派の農政論】野党は選挙上手な自民党に学べ2019年2月12日
主題は、現野党の選挙下手を、嗤いものにしようとするものでは、もちろんない。現与党の選挙上手に、感嘆しようとするものでもない。参院選が半年後に迫っているのに、選挙のための協力体制を作ろうとしない現野党の考えを批判したい。
与党は、それを横目にみながら、安倍晋三政権の一強体制のもとで、政治を強引に進めている。野党には、安倍一強政治に傷みつけられている弱者の苦悩が見えないのだろうか。安倍一強体制を終わらせるには、こんどの参院選で、野党が勝つしかないのだ。
そして、それは充分に可能なのだ。
ここで示した図は、文末の表を加工して、図で示したものである。
自民党が発足した1955年以後に行われた参院選の結果である。ここから、いくつかのことが分かる。
この図を俯瞰してみよう。緑の丸で示したものは、自民党の全体の当選議席数が定員に占める割合である。これを自民党の支持率と推定できる比例区での得票率と比べよう。黒丸である。
ここから分かることは、いつでも支持率以上の数が当選していることである。これが、自民党の上手さである。
この上手さは、どこからくるか。
◇
参議院選挙は、比例区と、いわゆる選挙区で行われる。そして選挙区には、1人区と複数区がある。そこで、自民党の選挙上手を、これらに分けてみよう。
青丸で示した比例区での当選者の割合は、支持率と比べて、それほど大きな差はない。桃色の丸で示した複数区の結果も、黒丸の支持率と、それほど大きな差はない。
大きな差があるのは、1人区での結果である。90%を超えることも少なくない。ここに自民党の圧倒的な選挙上手の原因がある。
◇
このことは、新しい発見ではない。以前から多くの人が指摘してきたことである。ここでは、過去の資料基づいて、確認しただけである。そして、自民党が1人区で負けたときには、選挙全体の負けになる。そしてその後、政権を失う。
2007年の選挙が、その典型的な例である。
◇
野党が注目すべきは、2007年である。この時の選挙では、野党の選挙協力が成功した。その結果、野党は1人区で圧勝した。自民党は比例区と複数区とを合わせた全体でも惨敗した。
それは、1人区での野党の選挙協力が梃子になって、比例区でも複数区でも好成績がとれたのである。そして、この選挙協力の推進力になったのは、野党候補者の一本化のための、地元の支持者の懸命な協議と協力の結果である。
◇
半年後に迫った、こんどの参院選はどうか。選挙協力が進んでいないようだ。
多くの野党は、中央幹部のボス交渉で候補者の一本化を進めようとしている。これでは、たとい一本化できたとしても、支持者の熱い支持は得られないだろう。一本化は、地元から湧き出るような熱気がなければ、形ばかりになってしまうだろう。それでは勝てない。
◇
ある野党の幹部は、予備選挙を行って候補を一本化したらどうか、という提案をしている。
そうすれば、選挙がヤミの中から、明るみに出て多くの国民から注目され、選挙が透明化するだろう。
それは、選挙の透明化にとどまらない。政治の透明化につながっていくだろう。それは、本来の民主主義である。
真剣な検討を期待したい。
(2019.02.12)
(前回 統計不正にみる政治の弛緩)
(前々回 政府に危機感を抱かせよう)
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