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【リレー談話室・JAの現場から】「反反産運動」に学ぶ 大きな夢を描いて対抗2019年3月1日

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【日本協同組合連携機構企画総務部長・藤井晶啓】

◆「歴史は繰り返す」

 千葉大学で農協の歴史と現状について、IYC寄附講座として講義する機会を得た。農協が協同組合として歩んできた歴史のなかで昭和初期の反反産運動を取り上げた。当時と現代とが酷似していると考えるからだ。経済成長が行き詰まり、格差拡大、極右が台頭、貿易戦争とブロック経済化、そして協同組合への無理解と攻撃が強まることまで一緒だ。その困難を先達は大きな夢を描き、協同組合にこだわることで乗り越えた。

 

◆農業恐慌と産業組合

 昭和2年に銀行の不良貸付に端を発した金融恐慌と、昭和4年のウォール街の株価暴落に始まる世界恐慌によって輸出が減少し、日本経済は大きな痛手を負った。全有業者の5割が第1次産業に従事していた当時、米価が4割まで下落、生糸が3分の1に暴落するなど当時の農村は深刻な打撃を受けた。
 特に昭和6年以降、東北・北海道では凶作が続き、娘の身売りや多くの欠食児童が社会問題化した。この農業恐慌への政府の施策が昭和8年に最低価格による政府の買入れ義務を定めた米穀統制法であり、小農民の救済対策としての農山漁村経済更生運動であった。本運動を受けて産業組合は「産業組合拡充5カ年計画」を定めた。そのなかには、産業組合の未設置町村の解消、全戸加入、4種(信用・販売・購買・利用)の兼営、役職員・組合員一般の教育などが盛り込まれている。

 

◆反産と反反産運動

 世界恐慌は、日本産業の主翼を担う中小企業の経営を困窮させた。産業組合と中小企業は、経営基盤を同じ農村におくという意味ではライバル関係だった。産業組合が政府の後押しで米と肥料の取扱高を大幅に増したのに対して中小企業は、「中小商工業者は著しい貧困に直面しているが、これは、産業組合の進出が原因だ。産業組合への関与・保護は過当だ。税制の特権を廃止すべき、営業者(中小企業)と均衡の待遇をなすべきだ」という主張を繰り広げた。これが反産運動である。反産運動は全国に広がり、国会の法案審議を左右する大規模な運動となった。
 この反産運動に対して、当時の産業組合中央会の主席主事であった千石興太郎がとった戦略は二つ。一つは、徹底的に事実を明らかにした一大キャンペーンを行なうこと。もう一つは、青年と女性をターゲットにした教育の重視である。
 キャンペーンでは、中小商工業者の困難は恐慌と独占資本進出の結果であって、産業組合運動の責任ではない、と実態調査をもとに反論した。例えば、当時の新興勢力であった少数の百貨店の売上高が旧東京市の全小売商の売上高の6割まで伸ばしているのに対して、産業組合は全国に数はあるが、購買高合計はわずかであることを明らかにした。
 また千石は、昭和8年に産業組合青年連盟全国連合(産青連)を組織した。この産青連に集った20代から35歳くらいまでの青年層は、産業組合運動の支持者であり、反産運動と対峙する実働部隊として、各戸を巡回して産組への出荷を呼びかけるなど活躍した。
 さらに、大正14年に発行した「家の光」に連載したのが、当時の大ベストセラー作家である賀川豊彦の小説「乳と蜜の流るゝ郷」である。昭和9年1月の連載開始から翌年12月の完結までの2年間で部数を220%以上伸ばした。妹が身売りされる貧しい農家の次男坊が、苦労を重ねながら仲間とともに産業組合を立ち上げ、豊かな村を目指す姿に全国の農村女性や若者が熱狂したという。
 反反産運動を通じて、リーダーである千石興太郎は大きな夢を示した。農産物が不作で農民は貧乏、国に予算はない。経済上の弱者が、生活を安定、向上させるには協同するより他に道はない。産業組合が生産者と実需者との間に存在する中間利潤の排除に成功すれば、資本主義でも社会主義でもない理想的な経済社会が生まれるというユートピアを描いた。

 

◆愚者は経験に学び 賢者は歴史に学ぶ

 経済・社会が苦しいほど、人は利己的になりがちだ。だから利他を旨とする協同組合への批判が高まる。「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」。歴史は現代のシミュレーションである。

 

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