【原田 康・目明き千人】自給率を目で見て確かめる方法2019年9月24日
食料のカロリーベースの自給率は37%でこの水準はもう20年も続いている。生産量ベースでは66%である。自給率が低い一番の要因は畜産物である。家畜の飼料のトウモロコシ、大豆、小麦がほぼ全量輸入品であることによる。コメはカロリーベースでも97%である。
例えば、鶏卵は生産量ベースでは96%であるが、鶏の餌はほぼ全量が輸入となるのでこれを差し引いた国産の飼料による自給率は12%となる。(%の数値は2018年概算)
このように畜産物の国産の飼料による自給率が25%となるので全体の自給率を下げている。飼料のトウモロコシ、大豆、小麦の主要な輸出国はアメリカ、オーストラリア、ブラジルである。これらの作物は日本とは農地の広さと気候条件の違いから国際競争では歯が立たない。アメリカをはじめ輸出国の各農場の規模は日本の村全体くらいで大型の機械が使え、細かい農作業は外国からの移民の安い労働力でコストを下げている。気候も収穫時期が日本は梅雨や台風シーズンとなり農家はリスクが大きい。
自給率は実際に目で見て確かめられる。大型のスーパー・マーケットの肉の売り場を見ることである。牛肉、豚肉、鶏肉の各パーツの産地と価格・100g当たりの単価を比べてみる。輸入ものは国産より平均して半値か1/3と安い。銘柄の和牛は見てもわかるが、肉の品質は食べてみれば違いが判るが、店頭ではカットの方法、陳列、照明などで同じ様に見える。
飼料の原料とそれらの製品の肉類の輸出国が同じである。畜産農家の努力だけではとても対抗が出来ない構造となっている。
毎日飲んでいる牛乳も現在は100%国産の成分無調整の新鮮な牛乳が飲めるが、日本の畜産の構造を見るとこのままではいずれ牛乳も輸入のロングライフ・ミルクとなってしまう。
日米貿易交渉では、例によってトランプ大統領への選挙応援でトウモロコシ、牛肉、豚肉などの輸入の拡大が目玉となっている。
日本の基礎食料である畜産物とその加工品は国産が基本である。日本の農家が経営を続けられる条件を作るのが政策の基本であるべきである。
本コラムの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。
重要な記事
最新の記事
-
(394)Climate stripes(気候ストライプ)【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年7月26日
-
地域医療の実態 診療報酬に反映を JA全厚連が決議2024年7月26日
-
取扱高 過去最高の930億円 日本文化厚生連決算2024年7月26日
-
【人事異動】JA全厚生連 新理事長に歸山好尚氏(7月25日)2024年7月26日
-
【警報】果樹全般に果樹カメムシ類 県下全域で最大限の警戒を 鳥取県2024年7月26日
-
【注意報】イネに斑点米カメムシ類 県下全域で多発のおそれ 山形県2024年7月26日
-
今が旬の「夏酒」日本の酒情報館で提案 日本酒造組合中央会2024年7月26日
-
ヤンマーマルシェ、タキイ種苗と食育企画「とりたて野菜の料理教室」開催 カゴメ2024年7月26日
-
「ごろん丸ごと国産みかんヨーグルト」再登場 全国のローソンで発売 北海道乳業2024年7月26日
-
物価高騰が実質消費を抑制 外食産業市場動向調査6月度2024年7月26日
-
農機具王「サマーセール」開催 8月1日から リンク2024年7月26日
-
能登工場で育った「奇跡のぶなしめじ」商品化 25日から数量限定で受注開始 ミスズライフ2024年7月26日
-
東京・茅場町の屋上菜園で「ハーブの日」を楽しむイベント開催 エスビー食品2024年7月26日
-
鳥インフル 米国オハイオ州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2024年7月26日
-
大玉すいか販売大幅減 小玉「ピノ・ガール」は前年比146.8% 農業総研2024年7月26日
-
千葉県市原市 特産の梨 担い手確保・育成へ 全国から研修生募集2024年7月26日
-
水産・農畜産振興 自治体との共創事例紹介でウェビナー開催 フーディソン2024年7月26日
-
新規除草剤「ラピディシル」アルゼンチンで農薬登録を取得 住友化学2024年7月26日
-
自由研究に「物流・ITおしごと体験」8月は14回開催 パルシステム連合会2024年7月26日
-
高槻市特産「服部越瓜」の漬け込み作業が最盛期2024年7月26日