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規制虫はステイホーム!【小松泰信・地方の眼力】2020年8月19日

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【小松泰信・(一社)長野県農協地域開発機構研究所長】

「あなたも147日間休まず働いてみたことありますか? ないだろうね、だったら意味分かるじゃない。140日休まないで働いたことないだろう。140日働いたこともない人が、働いた人のこと言ったって分かんないわけですよ」と、支離滅裂で意味不明の発語者は麻生太郎財務相。安倍首相が8月17日に都内の大学病院で検査を受けたことへのコメントを求められて。
当コラムの見立ては、憲法第53条を蹂躙してまでもこだわった「ステイホーム」のしすぎ。

komatsu_honbun.jpg◆文化庁を太宰府へ

バカどもへの怒りを鎮めんと、『国連家族農業10年 コロナで深まる食と農の危機を乗り越える』(農民運動全国連合会編著、かもがわ出版)を手に取り、私淑する山下惣一氏(農民・作家)の稿を読む。
政府のいう「3密」(密閉、密集、密接)とは縁遠い環境にある田舎でも、山の中の田んぼにマスクをして行く人がいることを「笑い話では済まない問題」とする。氏ならではの軽妙な筆致には、思わずコロナアルアル!
「都市機能こそが新型コロナウイルスにとって居心地のよい繁殖に適した魅力的な環境であるということである。だから、その根本原因から目をそらしマスクや手洗いなどの小手先の対策で災厄を乗り切ろうというのは、例えていえば水道の蛇口を開けっ放しにしたまま下のバケツの水を必死で汲み出す姿と同じことだろう。同じことはまた起こり、何回繰り返しても解決に至らない。本当にその気があるのなら今こそ人口の一極集中是正のチャンスではないか。人口の都市への集中は他方、農村の過疎と背中合わせの現象である。過密がなくなれば過疎は消える」として、「文化庁を福岡県の太宰府あたりに移す」ことを提案している。

◆国民よ、目覚めなさい

鈴木宣弘氏(東京大大学院教授、農業経済学)も、同書への推薦の言葉を寄せている。
「都市部の過密な暮らしは人々を蝕(むしば)む」ことを、コロナ・ショックが人々に認識させた。「これからは、国民が日本全国の地域で豊かで健康的に暮らせる社会を取り戻さねばならない。そのためには、地域の基盤となる農林水産業が持続できることが不可欠だ。それは、小規模な家族農業を『淘汰(とうた)』して、メガ・ギガファームが生き残ることでは実現できない」とする。
そして、「本当に『安い』のは、身近で地域の暮らしを支える多様な家族経営が供給してくれる安全安心な食材だ。本当に持続できるのは、人にも牛(豚)にも環境にも優しい、無理をしない農業だ」とする。
さらに、「国民が自分たちの食料を身近な国産でしっかり確保しないといけないという意識も高まっている」いまこそ、「国民が目覚めるときだ。消費者は単なる消費者でなく、もっと食料生産に直接かかわるべきだ」と、訴える。

◆正攻法で進む秋田県横手市農政

秋田魁新報(8月16日付)の社説は、秋田県横手市の農業産出額が5年連続で県内トップとなったことを取り上げている。
産出額を部門別に見ると、コメが県内2位、野菜、果実、花卉(かき)、畜産の主要部門がいずれもトップ。県全体のコメの比率が56.2%、横手市は44.1%で「バランスの良さが際立つ」と評価する。
コメ産出額が伸びた要因の一つに、「地元のJA秋田ふるさとが卸、小売業者との事前協議で、一定量の販路を確保していること」をあげ、「売り先を決めた上で稲作を守りつつ、複合部門も好調な同市の取り組みは、本県農業が目指すべきモデル」とする。
注目すべきは、同市が「規模の大小にかかわらず、市内農家に対する独自支援策を実施」していること。
「アスパラガス、キュウリ、スイカ、トマトの市の戦略4品目をはじめ、果樹、野菜の生産拡大に向けた補助などメニューは17に及ぶ。国、県の支援は法人や認定農業者に厚くなりがちなことから、小規模な生産者をフォローするのが狙い」とは立派。「同市の産出額の伸びは、こうしたきめ細かな支援で多様な生産者を後押しした結果だ」とする。
加えて、「関係機関の協力体制が整っていることも強みである。同市の農林部門は県平鹿地域振興局の庁舎3階に入居。『ワンフロア化』により、県とのスムーズな連携を実現している。さらにJA秋田ふるさととは園芸作物振興に関する連携協定を締結、野菜の種苗供給や担い手の育成を共に進めている」ことから、今後も関係機関が一丸となり、生産者を支えることを求めている。

◆規制虫は、いつでも、どこでも、何にでも、食いつく

「なぜ、こんなところに人が住むのか、早く引っ越しなさい。こんなところに無理して住んで農業をするから、行政もやらなければならない。これを非効率というのだ。原野に戻せ」とは、我が国の規制緩和を先導してきたT氏の発言。先述した鈴木稿の冒頭に記されている。新自由主義思想にまみれ、カンワカンワと鳴くしか能のない規制虫だが、奴らの第一次産業や農山漁村を食い尽くそうとする執念を侮(あなど)るべきではない。
西日本新聞(8月13日付、長崎県版)は、五島列島の最北部に位置し、長崎県佐世保市中心部から約55km、面積約25ha、人口約2000人の佐世保市宇久島(うくじま)で建設が計画されている、大規模太陽光発電所(メガソーラー)に加わる九電工(福岡市)が、近く島内で仮設の作業員宿舎の整備を始めることを報じている。最大1150人を収容する宿舎とのこと。島民の5割強、これだけでも島民の心中は察するにあまりある。
記事によれば、当該事業を巡っては、県北漁協組合長会が本土に送電する海底ケーブルの敷設に反対しているほか、島民からも疑問の声が上がっている、とのこと。宇久島から本土に送電する海底ケーブル(約64キロ)の敷設には、県海域管理条例で地元漁協の同意書が必要。だが、予定海域に漁業権を持つ佐世保市漁協などでつくる県北漁協組合長会は「漁場環境の悪化が懸念される。ケーブル敷設は断固として認めない」と反発を強めているそうだ。
九電工は6月から7月にかけて、島内で24回の事業説明会を開いたが、島民の中には「賛否の意思を示す機会がなかった」と事業の進め方に不信感もあり、住民団体結成の動きがある。漁民や島民の反発に対し、九電工は取材に「今後も丁寧に説明させていただく」と答えている。
この記事のすぐ下に、当該事業の近い将来を予感させるような「石木ダム建設撤回申し入れ 市民団体、佐世保市に」という見出しがある(そこまで考えてのレイアウトなら脱帽)。
全国の有志でつくる市民団体「石木ダム建設に反対するみんなの会」が、8月12日、佐世保市に石木ダム建設の撤回を申し入れたことを伝えている。「住み続けることを望む住民を追い出してまで建設するのはおかしい」と語るのは、発起人の土森武友氏(58)。
計画によれば、宇久島の4分の1をソーラーパネルが覆うそうだ。そこにあるのは、不気味に黒光りする「ゴキブリ島」。
「地方の眼力」なめんなよ

本コラムの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。

小松泰信氏のコラム【地方の眼力】

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