「我々は何を食べて生きたらいいんだ」【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】2021年2月18日
先日、NHKが2050年頃に日本人は飢餓に直面する危険性に警鐘を鳴らした。画期的である。だが、その危険性はもっと早くに迫っているかもしれない。
右の画像は、2021年2月7日にNHKが報じた2050年頃に起きるかもしれない渋谷のスクランブル交差点での食料を求める暴動の様子である。しかし、もっと早くにこのような事態が発生する危機が進行している。
表1は、現状の趨勢が続くと、最悪の場合、2035年の日本の実質的な食料自給率が、コメでも11%、青果物や畜産では1~4%に低下する可能性を示唆している。

このような状態で、コロナ禍や2008年のような旱ばつなどが同時に起こって、輸出規制や物流の寸断が生じて、生産された食料だけでなく、その基になる種、畜産の飼料も海外から運べなくなったら、日本人は食べるものがなくなってしまう。つまり、2035年時点で、日本は飢餓に直面する薄氷の上にいることになる。
国は規模拡大支援政策を追求し、畜産でも超大規模経営はそれなりに増えたが、それ以外の廃業が増え、全体の平均規模は拡大しても、やめた農家の減産をカバーしきれず、総生産の減少と地域の限界集落化が止まらない段階に入っている。
それに加えて、飼料の海外依存度を考慮すると、牛肉(豚肉、鶏卵)の自給率は現状でも11%(6%、12%)、このままだと、2035年には4%(1%、2%)と、信じがたい水準に陥る。さらに付け加えると、鶏のヒナはほぼ100%海外依存なので、それを考慮すると、実は鶏卵の自給率はすでに0%という深刻な事態なのである。
現状は80%の国産率の野菜も、90%という種の海外依存度を考慮すると、自給率は現状でも8%、2035年には3%と、信じがたい低水準に陥る可能性がある。コメも含めて、「種は企業の儲けの源」として種の海外依存度の上昇につながる一連の制度変更(種子法廃止→農業競争力強化支援法→種苗法改定→農産物検査法改定)が行われているので、野菜で生じた種の海外依存度の高まりがコメや果樹でも起こる可能性がある。
コメは大幅な供給減少にもかかわらず、それを上回る需要減でまだ余るかと思われるが、最悪の場合、野菜と同様に、仮に種採りの90%が海外圃場で行われるようになったら、物流が止まってしまえば、コメの自給率も11%にしかならない。果樹では、同様の計算で、3%にしかならない。
つまり、日本の地域の崩壊と国民の飢餓の危機は、2050年よりも、もっと前に顕在化する可能性がある。
本コラムの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。
重要な記事
最新の記事
- 
            
              
      
    鳥インフルエンザ 国内2例目を北海道で確認2025年11月4日 - 
            
              
      
    鳥インフルエンザ 新潟で国内3例目2025年11月4日 - 
            
              
      
    規格外野菜で農家レストラン 高崎市の柴崎農園が最高賞 食品産業もったない大賞2025年11月4日 - 
            
              
      
    GREEN×EXPO2027 日本政府出展起工式を開催2025年11月4日 - 
            
              
      
    第1回「食と農をつなぐアワード」受賞者決定 農水省2025年11月4日 - 
            
              
      
    「ジャンボタニシ」の食害被害を防ぐ新技術開発 ドローンで被害を事前予測・スポット散布 農研機構2025年11月4日 - 
            
              
      
    11月の野菜生育状況と価格見通し ばれいしょ、たまねぎなど平年を上回る見込み 農水省2025年11月4日 - 
            
              
      
    11月11日は長野県きのこの日「秋の味覚。信州きのこフェア」4日から開催 JA全農2025年11月4日 - 
            
              
      
    「鹿児島黒牛」使用メニュー「牛かつふたば亭」で提供 JA全農2025年11月4日 - 
            
              
      
    自動車共済の仕組改訂など2026年1月実施 「日常生活事故弁護士費用保障特約」新設 JA共済連2025年11月4日 - 
            
              
      
    交通安全イベントで「見えチェック」体験ブース 反射材着用を呼びかけ JA共済連2025年11月4日 - 
            
              
      
    長野県「僕らはおいしい応援団」りんご「サンふじ」など送料負担なし JAタウン2025年11月4日 - 
            
              
      
    奈良県「JAならけん」約10点を送料負担なしで販売中 JAタウン2025年11月4日 - 
            
              
      
    藤原紀香「ゆるふわちゃんねる」淡路島で「灘の赤菊」生産者とゆる飲み JAタウン2025年11月4日 - 
            
              
      
    「ココ・カラ。和歌山マルシェ」約80点を送料負担なしで販売中 JAタウン2025年11月4日 - 
            
              
      
    第30回さなえ図画コン 最優秀賞は「田うえで出会えるお友だち」 井関農機2025年11月4日 - 
            
              
      
    秋篠宮皇嗣殿下がGREEN×EXPO 2027名誉総裁に就任 2027年国際園芸博覧会協会2025年11月4日 - 
            
              
      
    学生ビジネスプランコンテスト"JUMP Vol.5"のエントリー受付開始 AgVenture Lab2025年11月4日 - 
            
              
      
    鈴木農政の大局観【森島 賢・正義派の農政論】2025年11月4日 - 
            
              
      
    従業員エンゲージメント向上へ 新人事制度を導入 クミアイ化学2025年11月4日 























      
    
      
    
      
    

      
    
      
    
      
    
      
    
                                  
      
    
      
    
      
    
      
    
      
    
      
    
      
    
      
    
      
    
      
    
      
    
      
    
      
    
      
    
      
    
      
    
      
    
      
    
      
    





      
    
      
    
      
    
      
    
      
    
      
    
