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農水省官僚接待問題の大罪【小松泰信・地方の眼力】2021年3月3日

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農林水産省は2月25日、鶏卵を巡る贈収賄事件で在宅起訴された鶏卵生産大手「アキタフーズ」グループの秋田善祺(よしき)元代表から会食の接待を受けたことに関して、国家公務員倫理法に基づく倫理規程に違反したと判断し、枝元真徹(まさあき)事務次官ら計6人を処分した。閣僚給与1カ月分を自主返納した野上浩太郎農相は同日、「農林水産行政に対する国民の信頼を大きく損ない、改めて深くおわびする」と謝罪したが、更迭を否定した。

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事務次官は辞任すべし

日本農業新聞(3月2日付)によれば、3月1日の衆院予算委員会に参考人として招致された枝元氏は次のように述べている。

(1)処分に関して、「農林水産行政、国家公務員に対する信頼を損なった。誠に申し訳なく、心からおわび申し上げる」。

(2)会食中の会話に関して、「養鶏についての話題も出たのだろうとは思うが、ほとんど覚えていない」「具体的な政策についての働き掛けがあれば、さすがに覚えていると思う」と述べ、秋田氏や同席していた吉川元農相からの指示はなかったとの認識を示す。

(3)会食に秋田氏が参加することを、事前に知らなかった。

同じく処分され、参考人に招致された水田正和生産局長は、秋田氏の参加は事前に知っていたが、費用については、「会食の中で(吉川氏から)自分が負担するという話があった」と説明した。

魚心あれば水心。あうんの呼吸。火のないところに煙は立たぬ。官僚と政治家の嘘は聞き飽きた。国民を見くびるな。

「農林水産行政、国家公務員に対する信頼を損なった」人に、事務次官は務まらない。普通の神経ならネ。

完了した官僚たち

東京新聞(2月26日付)によれば、枝元氏以外の処分された5人の官僚は、贈収賄疑惑が持ち上がった20年12月に、会食に関する同紙からの質問に次のように回答している。

水田正和生産局長:覚えていない。そのころはバタバタしていた。

渡辺毅畜産部長:記憶にない。倫理規定で決まっているし、接待を受けることはない。

伏見啓二大臣官房審議官:覚えていない。一般論だが、大臣に誘われたら断れない。

犬飼史郎畜産振興課長:バタバタしていて記憶にない。

望月健司農地政策課長:記憶にない。業界関係者と飲食することはあるが、ちゃんとお金は出す。

農水省は、彼らが出席した会食において利害関係者に当たるアキタフーズが会食費を負担していたことを確認し、2月25日付での処分となった。全員立派な嘘つき。処分されたことさえも記憶にない、とは言わせない。

賄賂は業界の道を塞ぐ

日本経済新聞(2月25日付)の社説は、「農業界は様々な補助金で守られており、制度を担う行政と民間の関係は高い透明性が求められる。とくに養鶏は、家畜を快適な環境で育てる『アニマルウェルフェア』で欧州などと日本の意見が対立しており、業者との癒着は主張の正当性への疑念を招く」ことなどを危惧し、「安倍晋三前首相から続く長期政権のもとで、政官民の緊張関係がないがしろになっていると言わざるを得ない。一連の疑惑のさらなる真相究明と、再発防止策の徹底が急務になっている」とする。

中国新聞(2月28日付)の社説は、「一部の者のための政治に官僚がなびく。安倍政権から菅政権へと受け継がれた『ゆがみ』のようなもの」を、安倍体制由来の病根として指摘する。その病根を絶ちきるためには、18年以降に数百万円の提供を受けたとされる、西川公也元農相が「不問に付されたことは解せない」とし、国会において説明責任を果たすよう強く求めている。

さらに興味深いのは、この問題を家畜飼育環境の新展開につなげることに言及していることである。

まず、家畜を快適な環境で飼育する「アニマルウェルフェア」(AW、動物福祉)が「世界的な潮流とはいえ、日本に適した進め方はあっていい」とする。そして、業界の長年の努力を評価した上で、「鶏卵の高い自給率を誇りながら飼料や種鶏の自給率が極めて低い」ことを取り上げ、「鶏卵は身近な食であるだけに、一連の課題の解決は消費者も巻き込む動きにすべきだろう」と冷静に提言し、「業界発展」のためになる「金銭や接待による工作以外」の方途があったことを言外に滲ませる。

品質と生産性の向上にも通じるAW

髙村薫氏(作家)は、「サンデー毎日」(3月2日号)でAWを取り上げ、「すでに欧米では当たり前なのだから日本も積極的に取り組むべしという、そんな単純な話ではないのだ」としたうえで、「日本政府は業界団体の圧力の下、理由にもならない理由をつけてぐずぐずと反対を続けているのだが、このままではいずれ世界から強烈なNOを突きつけられることになろう」と予想する。さらに「日本は1個20円で清潔な卵が食べられる現在のバタリーケージ飼い(ワイヤーでできたカゴを何段も積み重ねて収容する)をやめる必要はないが、せめてケージの何割かは一羽あたりのスペースを増やして止まり木や巣箱を設置してもよいのではないか。そのために卵の単価が上がっても、消費者も毎日食べる卵かけご飯を二日に一度にすればよいだけのことだろう」と、消費者への働き掛けに言及する。そして、「ケージの止まり木は鶏の福祉のためではなく、鶏のストレスを軽減して丈夫な個体に育て、品質と生産性を上げるためだと思えば、日本の業者も積極的に設置して損はないはずだ」と、業者に柔軟な対応を求める。

政策の怠慢がパンデミックを引き起こす

藤原辰史氏(京都大准教授、農業史・環境史)は、毎日新聞(1月28日付)で、「鳥インフルは免疫力の弱い鶏を密集飼いする養鶏場で発生し変異しやすい。人間に感染したとき、新型コロナウイルスより弱毒であると誰が断言できよう」として、この事件が「動物がかわいそうだという単純な話ではない。畜産環境の改善の怠慢がパンデミックに直結するのだ」と、危機感をあらわにする。

「日本は殺処分の仕組みを洗練させるだけで、根本的な養鶏の変革に手をつけなかった。当然、動物福祉の理念にのっとった養鶏に移行するには時間と支援が必要である。豚や牛も同様だ。軟着陸可能なロードマップを農相は考える必要があったのだが、業者からのカネがそれを鈍らせていた」とする。「カネとコネに汚染された内輪政治は対処に深刻な遅れをもたらし、破局を招く。コロナ変異株への対応が致命的に遅いのも、日本型内輪政治の弊害の典型的事例だろう。白い粉をかけられ穴に埋められる鶏たちの姿が人間そのものになるまで残された時間はそれほどないはずだ」とは、地獄絵図。

畜産環境の改善を怠り、感染爆発の可能性を放置したとすれば、あるべき政策は大きく歪められた。その罪は極めて大きい。

「地方の眼力」なめんなよ

本コラムの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。

小松泰信氏のコラム【地方の眼力】

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