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農政:【異業種から見た農業・地域の課題】

【異業種から見た農業・地域の課題】小さい農家も含めて守る発想が大事 地方創生は人材から 元日本生命・坂本博氏に聞く2025年11月5日

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これまで農業や農協と直接的な関わりのない業界の方々に、この分野への印象や課題意識を聞くインタビューシリーズ。今回は、日本生命などで要職を務めた坂本博氏。日本生命は「ニッセイ緑の財団」を通じて森林保全活動を継続しており、地域や環境保護にも積極的に貢献している。なお、2027年国際園芸博覧会協会の筒井義信会長も日本生命の元会長。聞き手は千葉大学客員教授で元JA全農専務の加藤一郎氏。

元日本生命・坂本博氏元日本生命・坂本博氏

農産物の価格安定が課題

加藤 現在、大規模化など企業的な方向で農業の構造改革が進められようとしています。しかし、国内農地の約4割を占める中山間地では大規模化が難しく、棚田の景観的な美しさはあるものの、生産性は低い。放置すれば、いずれ失われてしまいます。

坂本 私は福岡県小倉(現・北九州市)の都市部育ちですが、父の実家は旧京都郡犀川町(現・みやこ町)で、畑や山を相続していました。その山を私の長男が引き継ぐことになり、将来は新しいビジネスを構想しています。中山間地でも、世代を超えて夢を実現する場になるかもしれません。

加藤 中山間地には環境保全の機能もあります。

坂本 中山間地が果たす防災的な役割の重要性にも、多くの人が気付き始めています。しかし、農家が生活できなければ継続はできません。コメ価格の不安定さもあり、価格の安定が消費者・生産者双方の課題です。価格が安定すれば、大規模農家は利益を確保でき、中山間地の農家も生産を続けられる。そうした政策が求められます。

金融や保険の業界はかつて、国が「護送船団方式」で守っていました。最も弱い企業の速度に合わせて行政が支援し、大手も中小も共に存続できた。今日的には批判もありますが、経済が不安定な時期には日本経済を支える意義がありました。農業にも同様の政策が必要でしょう。みんなで大事な船――小さい農家も含めて守る発想が大切です。ただし、護送船団方式が崩れると、保険会社や金融機関の破綻もありました。

大都市集中が問題の根源

元JA全農専務・加藤一郎氏元JA全農専務・加藤一郎氏

加藤 話は変わりますが、千葉大学園芸学部では優秀な学生を毎年表彰していますが、女性が多くを占めます。しかし企業に入ると男性中心の社会。保護者から「娘には故郷に帰るように言ってほしい」と頼まれることもあります。

坂本 女性や若者を都会に出していることが問題でしょう。一度都会に出てしまえば、地方に戻るのは難しい。教育の無償化の議論がありますが、大都市の教育機関まで無償化するのではなく、地方の国立大学などに限定すれば、地域振興にもつながるのではないでしょうか。九州各県には特色ある国立大学があります。地方創生を考えるうえで、最も重要なのは人材です。法律や予算だけでなく、地元に良い人材がいれば、創意工夫によって地域を発展させることができるはずです。

加藤 大都市集中が問題ですね。

坂本 すべての問題の根源だと思います。その点は多くの人が理解していますが、十分な対策が取れていません。省庁や企業の地方移転も進められましたが、実際にはうまくいっていない。地方では娯楽や交流の場、住居の選択肢が少ないのが現状です。ただ、都市部から移住した若い人たちが地域で活躍する例もあります。魅力ある大学や地域資源があれば、他県から人が集まる可能性もあるでしょう。

人材育成と教育を結びつけて考えると、近年はIT産業の拡大により偏りが生じています。農業や自然に触れる機会が減り、子どもたちもパソコンやゲーム中心の生活になっています。暴論かもしれませんが、教育の無償化を進めるなら、農業体験や自然体験を義務化する仕組みがあってもよいのではないでしょうか。

加藤 東京都三鷹市では、農協や農業委員会が協議し、市内の小学校で麦植えから麦踏み、収穫までを体験し、その麦で作ったパンを配布する取り組みを行っています。この活動によって地元への愛着が生まれ、地域経済にも好循環が生まれています。

坂本 そうした取り組みを全国に広げ、イベントで終わらせず、英語やITのように教育カリキュラムに組み込めばいい。反対する人は少ないと思います。

経営の理念を外部に示す

加藤 2027年には横浜で国際園芸博覧会が開かれます。首都圏初の開催で、ぜひ成功させたいですね。

坂本 実は1990年の大阪での花博(国際花と緑の博覧会、大阪花の万博)には日本生命も出展しました。その経験を引き継ぎ、1993年に「ニッセイ緑の財団」を設立しました。林業に近い活動ですが、現在も植樹や育樹を続けています。

加藤 保険会社も相互会社なので、協同組合と通じる部分がありますね。

坂本 「ニッセイ緑の財団」は、当時の保険会社が大量の紙を使用していたことから、それに見合う木を植えようという理念で設立されました。従業員にとっても、会社が社会的に意義ある活動をしていることは誇りになります。

当時、日本生命では支社長に任命される際に、法隆寺の宮大工として知られる西岡常一(にしおか・つねかず)氏の著書『木のいのち 木のこころ―「天・地・人」』(新潮社)が手渡されていました。「木を育てるつもりで人を育てる」――そんな経営を目指すというメッセージです。保険会社も営業成績は重要ですが、業績一辺倒では人は育ちません。理念を大切にし、それを外に示すことで、従業員に誇りと喜びが生まれるのです。

坂本博氏(さかもと・ひろし)
福岡県北九州市出身。日本生命、あいおいニッセイ同和損保で要職を歴任。

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