市町村はワクチンで接種競争を【森島 賢・正義派の農政論】2021年5月6日
菅義偉首相が、7月末までに希望する高齢者全員のワクチン接種を終える、と言明した。
これに対して、全国の6割以上の地方自治体が、それは無理だ、といっているという(dot.asahi.com)。
これは、見逃せない。コロナに対する特効薬がないいま、ワクチンに頼るしかない。無理だ、などと言ってはいられない。総力をあげて、ワクチンの接種を加速させねばならない。

上の図は、都道府県別のワクチンの接種状況である。このうち、医療従事者等のデータは接種者の実人数だが、高齢者等のデータは接種者の実人数ではなく、延べ人数のようだ。しかし、データはこれしかない。だから、これで見るしかない。
感染の中心部である東京と大阪の周辺の接種率が際立って少ない。しかしこれは、必ずしもこの地域の地方自治体の努力が不充分だったことを表していない。ワクチンの政府からの配分量が少なったからである。
◇
しかし、これからは供給量が多くなるようだ。そうなれば、地方自治体の努力を忠実に表すことになる。理由もなく接種が遅れるところは、住民の不信をかうことになる。理由があるなら、その理由を住民に説明することになるだろう。
そのために、2つの要求がある。
1つは、都道府県別の進行状況だけでなく、市町村別の詳細な進行状況を公表すべきである。
もう1つは、毎日の進行状況を公表すべきである。だが、政府はそうしていない。上の図で使った資料は、今朝の時点で最新のものだが、医療従事者等は4月23日、高齢者等は4月25日のものである。その後、更新していない。
◇
政府の意気込みは、この程度のもののようだ。事実を把握する気はないし、事実の基づく科学的な対策を考える気はないようだ。
これらの公表の責任は、政府にある。接種の責任が政府にあるからである。地方自治体は、政府から接種の業務を委託されているに過ぎないからである。
◇
この業務は、住民のための業務だから、首長は忠実に行う責任がある。だから、住民が公正に評価できるように、業務の進行状況を、できるだけ詳細に、できるだけ頻繁に、公表すべきである。
もしも、類似の市町村と比べて進行が遅れれば、その首長は住民から批判されることになる。このようにして市町村の間で切磋琢磨が行われる。そうして、全体として進行を早められる。
その結果は、日本全体として接種が早められ、それだけ集団免疫を得られるまでの期間を短縮できる。それだけコロナ禍の期間を短縮できる。
もういちど強調しよう。政府は政府の責任で、ワクチン接種の進行状況を、詳細に、かつ毎日、公表すべきである。
(2021.05.06)
高齢者等の資料は...ココ
https://www.kantei.go.jp/jp/content/KOREI-kenbetsu-vaccination_data.pdf
医療従事者等の資料は...ココ
https://www.kantei.go.jp/jp/content/IRYO-kenbetsu-vaccination_data.pdf
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