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村田武(九州大学名誉教授)「農民家族経営と『将来性のある農業』」筑波書房、2021年4月刊、本体1500円【自著を語る】2021年5月13日

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「農民家族経営と『将来性のある農業』」「農民家族経営と『将来性のある農業』」

本書は昨年2020年7月に出版した小著『家族農業は「合理的農業」の担い手たりうるか』(筑波書房)の続編である。

新自由主義グロバリズムが生み出した格差と貧困、地球温暖化にともなう気候変動など環境破壊との闘いを国際社会に呼びかけた国連の「持続可能な開発のための2030アジェンダ」(2015年9月の「国連サミット」で採択)は、17項目にわたる「持続可能な開発目標」(SDGs)を2030年までの15年間に達成しようというものである。そしてこのSDGsのうちの貧困克服を初めとする多くの目標達成には、小規模家族農業を支持することが不可欠だとしたのが、国連食糧農業機関(FAO)などが提唱し、国連総会で採択された「国連家族農業の10年」(2019~28年)や「農民や農村住民の権利宣言」であった。この「SDGsは経済成長を前提にしており、大衆にとってはアヘン」だと総否定する意見があるが、そうした見解に私は賛成できない。

さてそこで、国連が支持すべきだとした小規模家族農業は、山下一仁氏のように「途上国の小農」のことで、日本を含む先進国の農業経営には当てはまらないとするのは間違いである。というのも先進国では、とくに「農業の工業化」といわれる現代の農業技術革新の最先進国のアメリカでも、資本集約型・高エネルギー消費型の遺伝子組換え作物の単一栽培(モノカルチャ)で化学肥料や農薬に依存した大規模法人型経営ではなく、中小の家族経営が有機型の環境にやさしい農業づくりと地産地消(ローカルフード)運動を広げており、アグリビジネス大企業の支配に対抗する際に「農民や農村住民の権利宣言」を拠り所にしているからである。

本書でいう「家族農業」「農民家族経営」は先進国における現代の「資本型の家族経営」、すなわち農作業で手労働の大半が機械化によって駆逐された経営であって、雇用を家族労働力を上回らない程度にとどめた、したがって中小規模の農家をいう(英語ではpeasant、ドイツ語ではBauer。英語のfarmerは(借地)農業者であって農民ではない)。

前著の「合理的農業」とはK・マルクスが求めた「農地の肥沃度を持続的に維持できる農業」という意味である。本書の「将来性のある農業」は、マルクスのこの「合理的農業」を継承するとともに、現代の「工業的農業」が生み出している(1)窒素肥料の多投による環境打撃―温室効果ガス(とくに一酸化二窒素)、地下水の硝酸態窒素汚染―、(2)生態系打撃(ネオニコチノイド系殺虫剤によるミツバチ群の崩壊がその代表)、さらに(3)家畜虐待(乳牛を生乳生産機械のようにあつかうメガ酪農やケージ養鶏など)などを克服する農業を意味している。

本書の序章(16ページ)では、かつての小農がいわば丸裸の孤立した経営であったのに対して、先進国における現代の家族農業経営(わが国の水田農業経営ではほぼ50ha以下の経営)が、農産物加工流通や農業資材の購入での協同組織(農協)に支えられ、農業機械の共同利用(ドイツやオーストリアでは「マシーネンリンク」(機械サークル)などで幅広い協業(アソシエーション)を組織し、経営間ネットワーク(わが国では集落営農)を構築していることを強調した。すなわち、家族農業経営はかつてのソ連をはじめとする「社会主義国家」のような集団化(個別経営と農協の解体)の対象ではなく、農協など協同組織と一体で将来の協同(社会主義)社会の農業と農村の担い手たりうると考えられるのである。

なお、第4章「我が国農業がめざすべき方向―水田農業の総合的展開と耕畜連携―」は、わが国の「将来性のある農業」の方向を提案したものだが、これは『農業協同組合新聞』2020年7月20日号に掲載いただいたものである。

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