JA全国大会の『裏テーマ』藤井晶啓 日本協同組合連携機構〈JCA〉常務理事【リレー談話室・JAの現場から】2021年8月2日
JAグループの全国大会決議には表として掲げたテーマとともにコインの表裏のように支え合う別のテーマがあるものだ。
将来的な脱原発
2012年に開催された第26回全国大会決議の表のテーマは「次代へつなぐ協同」。第1世代からの世代交代が終了する10年後を見据えて、第2、第3世代との関係づくりを始める。だからこそ、支店・支所を核に、組合員・地域の課題に向き合うのであり、そのための支店協同活動、信用・共済事業は支店単位のエリア戦略であった。
もう一つのテーマとして、前年の東日本大震災と福島原発事故を踏まえ、「将来的な脱原発をめざすべき」と打ち出した。さらに、日ごろの節電・節水・ごみ削減等を組合員とともにすすめていくことを提起した。これには次世代は環境問題に関心があるはず、との狙いもある。
地方創生
2015年の第27回全国大会「創造的自己改革への挑戦」は、大会前年に吹き荒れた農協改革議論に対し、「農業者の所得増大」に全力を尽くすと答えることが表テーマであった。
一方、安倍政権が同年の統一地方選にあわせて地方創生を打ち出したことから、大会議案には「地方創生に積極的に参加する」とした。これは、農協改革の議論で地域との関係を否定されても、内閣府所管の地方版総合戦略の策定と実践のプロセスにJAが参画することで、地域に根ざした協同組合としての実績を重ね、JAの存在意義を地方から声を上げることを意図した裏テーマであった。
女性活躍
2019年の第28回全国大会「創造的自己改革の実践」は前回決議の継続が表テーマ、と理解している。安倍内閣は、女性活躍、ニッポン一億総活躍、人生100年時代構想、働き方改革など幾多のスローガンを掲げていたなかで、大会決議では女性活躍推進法の「えるぼし」認定を呼び掛けた。ほとんどのJAで認定を受けることが可能なレベルの取組があることから、約500企業が認定されていた当時、もしも全JAが認定を受ければ、認定企業の過半数をJAが占め相当のインパクトとなることを企んだ裏テーマであったが、結果は鳴かず飛ばずとなった。
脱炭素社会
2021年に開催される第29回全国大会議案のタイトルは「持続可能な農業・地域共生の未来づくり」。冒頭では農村部の人口減少、高齢化、組合員数の減少、厳しい収支環境、コロナによる社会変容、デジタル化、SDGsやみどりの食料システム戦略等の持続可能社会など、さまざまな環境認識が述べられている。
表のテーマは、サブタイトルにある「不断の自己改革」と「持続可能な経営基盤」であろう。だが、裏のテーマがよくわからない。「脱炭素社会」や「みどりの食料システム戦略」にどうやって取り組むのか、という内容を願っていたが、課題認識に留めたのは経営基盤強化のような具体策が描きにくいからだろうか。
地球温暖化は深刻な問題であり、SDGs・脱炭素社会の実現は世界的な課題である。みどりの食料システム戦略がめざす将来はすばらしい。しかし、現実とのギャップがあまりに大きく、個人的には無力感さえ覚えてしまう。
個人では非力だからこそ、協同組合らしく小さなことを積み重ねて大きなヤマとなすというのはどうだろうか。女性組織はかねてから環境保全活動やエコ活動をおこなってきた。直売所における地産地消によるCO2削減効果は高い。そのような活動ができるのはJAが信・経・共の総合事業を営むからだ。
持続可能な未来を子や孫に伝えるよう、安全な農畜産物を将来にわたり消費者に提供するのはJAグループの使命。今のやり方のままでは脱炭素へのゼロエミッションは達成できないのだから、脱炭素社会への取り組みに参加を集う入口として准組合員への加入を呼びかける、というのは絵空事だろうか。今大会でめざす十年後にむけて、そんな大ほらが裏テーマにあってもいい。
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