ワクチン情報の隠蔽【森島 賢・正義派の農政論】2021年12月13日
コロナワクチンの3回目の追加接種が、日本でも今月1日から、ようやく始まった。予定よりも半月おくれである。
今年中に1,680万人接種するという。人口のわずか13%である。しかも2回目の接種から8か月の間隔をおくという。
政府には、いまの政治の最重要問題であるコロナに対して、全力を傾けて立ち向かうという意志がないようだ。
意志があっても、実行する能力がないようだ。いづれにしても、政府は、その最重要な責任を果たしていない。一刻も早くコロナを退治して、国民の苦痛を取り除くための努力をしていない。犠牲になるのは国民である。ことに弱者である。
野党の動きも緩慢である。国民の怒りを結集し、組織して、政治の力にする努力を怠っている。これでは、国民の政治に対する不信をつのらせるばかりだ。
いったい、何故こんなにワクチンの追加接種が遅れているのか。
それは、ワクチンを充分に確保していないからである。そして、その事実を隠蔽しているからである。この隠蔽という悪癖は、これまでの自公政府に深く根差したDNAを引き継いだものだろう。
上の図は、政府のワクチン供給の見通しである。最新の見通しは、1月前の11月17日の時点のもので、その後の改定はない。
これで見ると、前述のように、今年中は1,680万回である。来年は1月下旬から始めるが、その分を足しても3,416万回で、人口の27%に過ぎない。
なぜ、急がないのか。そして、国民のコロナの不安を、一刻も早く軽減できないのか。
それは、ワクチンがないからである。
◇
ワクチンがないのに、政府はそのことを隠蔽して、国民を欺こうとしている。なぜ隠蔽するのか。それを注目されると、政府の無能が露呈してしまうからである。
隠蔽するために、政府は何をしているか。
その1つは、責任の転嫁である。政府は、早くワクチンを接種したいが、実際に接種する地方自治体の準備が間に合わないからだという。
だが、そんなことはない。現場で日々コロナ禍に直面している地方自治体は、一刻も早く接種してコロナ禍を軽減し克服したい、と考えている。そのことが、いまの最重要問題だと、身に沁みて考えている。だから、全力を傾けて準備している。間に合わない、などといってはいられない。
◇
もう1つの隠蔽策は、専門家の協力を求めて、遅滞の理由を考え出すことである。
だが、さすがに今度は、協力する専門家は、ほとんど皆無である。
ワクチンの効果について、まだ十分なデータがない、という専門家がいないことはない。だが、追加接種は遅くていい、という専門家はいない。
政府は、追加接種は2回目の接種から8か月の間隔をおくという。だが、それほど長い間隔をおく国はない。多くの国は6か月である。3か月の国も少なくない。
◇
もしも政府が、確保するために懸命の努力をしているというのなら、自身の努力と、だがワクチンを充分の確保できていない結果としての無能を、国民の前に曝け出せばいいのだ。そうして、国民の理解を求めればいいのだ。
政府は、ワクチンの国際市場で買い負けしている非力を、正直に告白するしかない。その上で、懸命な努力を国民に誓い、寛恕を請うしかないのだ。
(2021.12.13)
(前回 政権交代の秘策)
(前々回 コロナの波動)
(「正義派の農政論」に対するご意見・ご感想をお寄せください。コチラのお問い合わせフォームより、お願いいたします。)
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日