コロナの波動【森島 賢・正義派の農政論】2021年11月29日
コロナは甚大な災禍を、ことに弱者にもたらしてきた。感染したが医療も受けられず、自宅でご家族に見守られ、悲嘆にくれる中で、あるは自宅で看取る人もいない孤独の中で、多くの人たちが生命を失った。
だが、いよいよゼロコロナを目指した追撃戦に入ったようだ。相手のしんがり隊は、最強の抵抗を繰り広げるかもしれない。オミクロンという名前の新しい変異株のコロナが、猛威を振るうかもしれない。水際は大丈夫か。まだまだ油断はできない。
筆者は、非専門家ではあるが、そのように見える。これまでの災禍の日々を振り返りながら、コロナからの解放の日を迎えよう。反省すべき点は、山ほどある。
上に図が2つある。これらは、コロナが日本で見つかった去年の1月16日から先週末までの、新規感染者数を日ごとに表したものである。やや詳しく説明しながら、問題を考えよう。
◇
まず初めに指摘したいことは、これが必ずしも実態を表していないことである。科学は実態に基づかねばならないが、このことを関係する有力な科学者が無視してきた。だから、これまで科学的な対策を立てられないできた。科学とは無縁の、行き当たりばったりの対策しか行ってこなかった。そうして、感染を拡大してきた。
しかし、これしか資料がないから、この資料で考えるしかない。
◇
2つの図のうち上の図をみると、ここには山が規則正しく5つ並んでいる。山の高さは、それぞれ違うが、山と山の間隔は、ほとんど同じである。ここに注目して、山の形をみてみよう。
それぞれの山の頂上は、前後7日間の平均が、局所的にみて最多になった日とした。谷は、最小になった日である。そして、谷から次の谷までを1つの波とした。波は、5つある。
ここで注意すべきことがある。それは、それぞれの波に、主流の変異型コロナウィルスがあることである。第1波は、いわゆる武漢型であり・・・第5波は、デルタ型である。
このことは、変異型コロナウィルスには一定の寿命があって、寿命がくると次の変異種に交代して、生き延びていることを意味しているのではないか。
だが、この点について、専門家の研究は少ないようだ。だから、定説になっていないし、多数説にもなっていないようだ。
◇
もしも、この見解が正しいとすれば、変異型を、感染が拡大する前に素早く見つけ出し、完全に隔離して感染の拡大を阻止することである。
そのためには、全ての新規感染者のコロナウィルスのゲノム検査を行うことが最重要である。
検査費用は、1件あたり約3万円というが、PCA検査の単価を10分の1に下げられたように、ゲノム検査の単価も、理科系の学生などに協力してもらえば、10分の1の3千円に下げられるだろう。最近の新規感染者数は1日あたり約100人程度だから、全数検査しても、その費用は僅か30万円程度にすぎない。
興味がある学生には、アルバイト代を払って解析もしてもらえばいい。教育投資にもなるし、この分野の研究を民主化する原動力にもなるだろう。
◇
次に下の図をみよう。これは、上の図の波の特徴をみるための図である。それぞれの山の頂上を、横軸の同じところに移動し、また、頂上を同じ高さに換算して示したものである。
5つの波を比較すると、頂上に至るまでの日数は、それぞれ違うし形も違う。だが、頂上から谷までの日数は、ほとんど同じで、約60日間である。また、形も酷似している。
だが、第5波は、90日間を過ぎても増える気配がない。つまり、次の変異種は、まだ流行し始めていないように見える。
この点について、専門家の見解を聞きたいが、なかなか聞こえてこない。どうしたことか。
いずれにしても、コロナウィルスのゲノム検査の体制を早急に整備することは急務ではないか。
いま、国民が望んでいることは、確かな事実の重視と、科学的知見の豊富な蓄積であり、事実と科学に基づく有効な対策である。
(2021.11.29)
(前回 立憲党は誰の党か)
(前々回 立憲党の非民主性)
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