「気づく力」を大切に 日本協同組合連携機構 小川 理恵さん 【わたし発 今 女性が生きる意義と役割】2022年1月29日
「一人は万人のため…」共通の目的のために組合員が結集した協同組合。農協や全国連、研究組織など多彩な活動があるが、その中で女性の存在は欠かせないものになっている。それぞれの分野で活躍している人から寄稿してもらった。
日本協同組合連携機構主席研究員
小川 理恵さん
農村女性の生活改善活動から出発したJA女性組織は、「私」から「地域」へと視野を広げながら、食農教育や高齢者福祉、環境保全など、その時代に即した様々な課題と向き合い、地域全体の幸せを創出する多彩な活動に取り組んできた。「農」と「くらし」の当事者だからこそ積み重ねることができたこれらの実績に、あらためて敬意を表したい。
筆者は、多くのJA女性組織活動を取材するなかから、女性が持つ「気づく力」と「つなぐ力」に着目してきた。女性たちは、生活者の目線で地域のちょっとした困りごとや小さなニーズに気づくことから活動を芽生えさせる。そして持ち前のつなぐ力を発揮しながら活動の幅を広げていく。その結果、地域には豊かな果実がもたらされる。女性の「気づく力」と「つなぐ力」は地域の宝であり、その発揮の場がJA女性組織だ。
一方で、多くのJA女性組織において頭を悩ませている課題がメンバー数の減少だろう。1958年には344万人を数えたものの、現在は46万人をきるまでに目減りしている。メンバーの高齢化と若年層のJA離れが主な原因だと言われているが、高齢化は何もJA女性組織に限った話ではない。だから、人数のみにとらわれる必要はないのではないか。むしろ大切なのは、いかにして名前だけの部員を仲間に組み込んで、活動に積極的に参加するコアメンバーを増やすかだ。
当機構では、複数のJA女性組織に協力をあおぎ、所属するすべてのメンバーを対象にアンケートを実施した。「活動を魅力的と感じるか」「どれくらいの頻度で活動に参加するか」という二つの質問の回答をクロス集計したところ、歴然たる結果が出た。「とても魅力的」と答えた人は活動への参加頻度が高いが、「ある程度魅力的」「あまり魅力的でない」「まったく魅力的でない」と、魅力を感じる割合が下がるにつれ、活動への参加頻度も目に見えて落ちる。当たり前のことのようだが、この結果を看過してはならないと思う。
JA女性組織メンバーやその周辺の女性たちは、時代とともに多様化している。かつては「生活改善」という、多くの女性が一丸となって取り組みやすい目標があった。しかし今は、地域により、家庭により、女性が置かれた状況も課題も異なる。それぞれの女性によって、JA女性組織に求める役割や、JA女性組織への関わり方は自ずと違ってくるだろう。
一人ひとりの女性がJA女性組織の主人公だ。多様化した女性のニーズを活動内容に反映させ、今は活動にあまり参加していない人であっても、積極的に参加したくなる工夫を考えてみることで、JA女性組織はさらに躍動するのではないだろうか。
最新の記事
-
明治用水頭首工の漏水事故で4700haの水田に影響 全国390か所の施設緊急点検へ2022年5月20日
-
資材高騰 苦境の現場の声を政策提言 JA全青協新執行部2022年5月20日
-
低温続き牛乳消費に影響 家庭内消費底上げを Jミルク2022年5月20日
-
島根県で野生イノシシで豚熱確認2022年5月20日
-
(282)世界の穀物動向 最新情報から概観【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2022年5月20日
-
トマトの防除暦16【防除学習帖】第150回2022年5月20日
-
コロナ禍で増える自転車利用 共栄火災が意識調査2022年5月20日
-
【JA人事】JAいしかり(北海道)中村武史組合長を再任(4月8日)2022年5月20日
-
【花ひらく暮らしと地域―JA女性 四分の三世紀(最終回)】男女共同参画社会へ<下> 試されている本気度と勇気2022年5月20日
-
「STOP!フードロス」キャンペーン開始 ベルグリーンワイズ2022年5月20日
-
世界最大のいちご植物工場をオープン 米大手高級スーパーで販売開始 Oishii2022年5月20日
-
3月末の出荷実績は数量、金額ともに減少 2022農薬年度2022年5月20日
-
緑茶で植物もストレスから開放 植物の乾燥適応経路を抑制する天然化合物を同定2022年5月20日
-
約320品種の春バラが満開「練馬区立 四季の香ローズガーデン」2022年5月20日
-
地元農家と連携「銀河のしずく」田植え体験付きプランを販売 雫石プリンスホテル2022年5月20日
-
駅の八百屋さんが甲子園口駅・さくら夙川駅で期間限定オープン JR西日本2022年5月20日
-
尾道市が農地パトロール調査に衛星データ&ドローン活用「アクタバ」を導入 サグリ2022年5月20日
-
だしに使った昆布を活用 学校給食の献立で食品ロスを大幅削減 葉隠勇進2022年5月20日
-
農家を応援できる"しいたけNFT" 北海道の農家が発行 サホロ椎茸2022年5月20日
-
生産量日本一「砂丘らっきょう」提供のフェア 6月1日から開催 鳥取県2022年5月20日