ついに出た1パック180グラム50円切るパックご飯【熊野孝文・米マーケット情報】2022年2月1日
いよいよと言うべきかやはりと言うべきか1パック(180g)50円を切るパックご飯の販売が食品スーパーで始まった。パックご飯について触れるたびにこの分野でのパイオニア的存在であった人物の「ご飯革命」と言う文言が思い起こされる。当時、この人物は「パックご飯が1パック100円切れば炊飯器が要らなくなる」と言っていたが、その半値というパックご飯が登場したのである。
あまたある食品の中で常に右肩上がりで伸びている数少ない食品がパックご飯である。パックご飯が伸びる背景には一つの特徴がある。それは大きな災害があった時に大きな伸びの山があるという点で、常温で長期保管が可能なパック飯ならではの特徴とも言える。コロナ禍の中でもその特徴がいかんなく発揮されている。先週開催されたパックご飯の最大手メーカーの記者発表会の席でもそれが良く分かるデータが示された。
2019年から2021年までの3年間でパックご飯の販売が急増した時が4回ある。2019年10月12日の東日本台風、2020年2月27日の全国休校要請、2020年4月7日の緊急事態宣言、2021年8月20日の感染者数過去最高の時である。2021年の市場規模は940億円にまで拡大している。まだデータはないが、現在のオミクロン株の急拡大下でもおそらくパックご飯の購入量は急増しているに違いなく、しかも他の食品が値上げされている中、ワンパック49円90銭と言うパックご飯の販売が始まったのだから販売量が増えないわけがない。
コンビニで販売されているおにぎり1個の半値というパックご飯がスーパーの店頭に並ぶこと自体がまさに革命的と言えるが、パックご飯の革命的なことは常に進化し続けていることにもある。最大手メーカーも今年春に切り口を変えた二つの新商品を市場に投入する。
一つは「大粒ごはん」。なぜ大粒かというと、この企業は、近年、ブランド米の大粒化が進んでいる事を背景に仮説を立てた調査した。大粒米購買・喫食意向調査で、消費者に対してQあなたがパックご飯を購入すると時に買いたいと思うキーワードを一つだけお選びくださいという設問に対して、1番は「炊き立ての味と香り」だが、2番が「新潟のお米の厳選ブランド」、3番に「ふっくら大粒」が入っている。Qお米・ごはん好きな人への質問です!今、お米の中でも大粒でしっかりとした食べ応えのお米が人気になっていますが、このような大粒のお米で炊いたご飯を食べてみたいと思いますか? に93%の人が食べてみたいと回答、中には「ぜひ食べてみたいです。大粒のお米でしっかりとした歯ごたえで、かみしめる度にお米の持つ豊潤な甘みとおいしいコクが口の中に広がるイメージがあるので、固めのご飯が好きな自分にはぴったりだと思うので(50歳男性)」という模範解答もあった。
そこで投入されるのが新潟県産「新之助」「みずほの輝き」「つきあかり」といった大粒米を使った「大粒ごはん」。このパックご飯のウリは、華やかな見栄え、口に入れた時の存在感、お米本来のうま味を感じられること。「大粒米は粒の形が口の中でもはっきりと分かるほど。大きいコメ粒同士は接着面が小さくなるため、口の中でごはんがほろりとほどける"ほぐれ"を感じられる」と表現している。
もうひとつの新商品は「糖質25%オフごはん」。大麦を50%加えることで糖質を25%カット、カロリーを183カロリーにして、食物繊維を強化(1食4.6g)、整腸効果だけでなく血糖値上昇の抑制、血液中のコレステロール濃度の低下にもつながる。糖質オフ商品の投入は、この5年間で糖質訴求商品が2倍近くに拡大している。健康意識調査では、健康上で気にしていることは「糖質」が最も多く、そのなかでも最もポイントが高いのが「白米」であり、健康のために35%の人が我慢しているというデータを紹介、「糖質オフパックご飯を発売することによって無理なく健康な身体作りをしたいニーズに応える」ことが新商品開発の動機であるとしていた。
ついでにこの会社はパックご飯の包材にコメを使用したことも発表した。自社の精米工場で発生した砕米をバイオプラスティックに加工して、それをパックご飯の包材に使用したというもの。バイオプラスティックに加工した会社は別の会社だが、コメを原料にすることにより石油系プラスティックの削減につながりカーボンニュートラルになる。まさに世の中の動きに沿った商品作りを行っており、このことこそがパックご飯が伸び続けている真の要因だとも言えそうだ。
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