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【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】TPPにおける日米2国間合意は生きている2022年2月17日

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TPPから米国が抜けたのに、日本の規制改革がなぜどんどん米国の要求に沿うかのように進むのか。もう一度、節操のない貿易自由化の現在地と日米間のサイドレターの効力を確認しておきたい。

米国では最大労組が主導してTPPを葬った

TPPは2016年に署名されたが、推進役であった米国の国内で、「格差社会を助長する」「国家主権が侵害される」「食の安全が脅かされる」などの反対世論が拡大したため、大統領選挙の争点となってすべての大統領候補がTPPからの離脱を公約する事態となり、トランプ大統領が就任直後の2017年、米国は離脱を表明し、TPPは頓挫した。

米国では最大労組(AFL-CIO)がTPP反対のうねりを起こす大きな原動力となった(日本の最大労組の行動は対照的である)。

事態はTPP12よりもっと悪くなっていることの認識欠如

それなのに、米国には「スネ夫」なのにアジアには「ジャイアン」になる日本は、米国抜きのTPP11を主導して発効させ、続けて、日米貿易協定を発効した。

TPP11の位置づけをよく考えておかなければいけない。コメの輸入枠(米国への特別枠)以外の部分は、何と米国も含めて日本が譲った農と食の譲歩内容を、米国がいないのに、他の11カ国にそのまま譲ってしまった。だから米国が抜けたのに、日本が受ける食と農に関する打撃は、TPP11で元のTPPとほとんど同じになってしまっているという重大な事実である。そして、こういうことをやれば米国も黙っていない。「俺の分どうしてくれるのだ」ということで、米国が2国間交渉を要求してくるのは当然セットだった(TPP11に米国分も入れてしまったから、日米をやると米国分が「二重」に日本にのしかかる)。

もう1つ、EUとの自由貿易協定が2019年2月1日に発効した。これはTPPが駄目になったときに、格好がつかないからEUとの協定はTPP以上を譲っていいから早く決めてくれという官邸の指示があったので、EUが喜んで、それなら日本からTPP以上のものをもらおうじゃないかということで、チーズの全面関税撤廃など、EUにもTPP以上のものを譲ってしまった。

だからTPP11でほとんどTPPの状態が実現して、それに日米が加わり、日EUもTPP以上で加わっているのだから、TPPのときにあれだけみんなで大議論したのに、すでにそれ以上のものになってしまっているのが今の状況であることをもっともっと重く受け止めないといけないはずだ。さらに、RCEP(日中韓+ASEAN+豪NZ)も大筋合意された。

日米政権のオトモダチ企業に便宜供与する構造

なぜ、ここまで、米国の特定企業への便宜供与が次々と続くのか。そこにはTPPから米国が抜けても日本をコントロールできる日米間の付属文書(サイドレター)の存在もある。

TPPにおいて日米間で交わされたサイドレターについて、TPPが破棄された場合、サイドレターに書かれている内容には拘束されないのかという国会での質問に対して、2016年12月9日に岸田外務大臣(当時)は「サイドレターに書いてある内容は日本が「自主的に」決めたことの確認であって、だから「自主的に」実施して行く」と答えた。

日本政府が「自主的に」と言ったときには、「アメリカの言うとおりに」と意味を置き換える必要がある。つまり、今後もTPPがあろうがなかろうが、こうしたアメリカの要求に応え続けるだけの姿勢を続けるのかというのが根本的な問題だということだ。

サイドレターには、規制改革について「外国投資家その他利害関係者から意見及び提言を求める」とし、「日本国政府は規制改革会議の提言に従って必要な措置をとる」とまで書かれている。その後の規制改革推進会議による提言は、種子関連の政策を含め、このサイドレターの合意を反映しているということである。

本コラムの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。

鈴木宣弘・東京大学教授のコラム【食料・農業問題 本質と裏側】 記事一覧はこちら

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