陣取り合戦:FOIP、IPEF更に上海協力機構SCOを概観する【近藤康男・TPPから見える風景】2022年11月18日
米中間の地政学的、経済的摩擦の激化は、直近では、2022年10月7日、米国による日韓など第3国企業も含む軍事転用可能な対中半導体輸出規制の拡大となって表れた(10月16日付日経新聞)。また、ロシアのウクライナ侵略以降顕著な動きとして、55ヶ国からなるアフリカ連合を意識したロシア・中国・米国によるアフリカ詣でも活発化している。
今回は、安倍元首相が提起した「自由で開かれたインド太平洋FOIP」と米国バイデン政権の「インド太平洋経済枠組みIPEF」との比較と共に、「上海協力機構SCO」の紹介をしたい。
ただ、筆者の能力を大きく超える課題でもあり、概観に留まることをご容赦願いたい。
FOIP、IPEFに関係する国々と経済連携協定参加国の一覧
上海協力機構SCOに関連する国々とその概要
(22.11.17検索時ウィキペディア+9月15~16日上海協力機構首脳会合から参照)インド太平洋地域で存在感の薄い米国の経済連携の枠組み
上述の表によれば、日本のFOIPに何らかの形で賛意・協力を表明しているのは、57ヶ国(地域はメンバ-国数でカウント)、そのうち米欧アジア中心に43ヶ国・地域との間に経済連携協定が発効あるいは交渉中となっている。
ところが、米国のIPEFの場合は、アジア中心に14ヶ国が参加しているものの本格交渉はやっと来月12月10日~15日から開始という段階だ。経済連携協定については、中南米の国々とはあるものの、IPEF参加国では、日本、韓国、シンガポール、豪州の4ヶ国との間での経済連携協定に留まっている。交渉中のものを含めてもEU・英国・ケニアに留まっている(投資協定は比較的多い)。
内政と結びついた経済的結実になっていないものの、相当の広がりが見られるFOIP
こうしてみると、筆者自身は安倍元首相の経済・外交上の成果そのものには批判的だが、外交面での拡がりと言う点に焦点を当ててみると、それなりの姿を整えたと言ってよいだろう。
ただ、政治的側面におけるASEANとの関係における存在感が乏しいのは残念だ。中国を含むアジア地域の安定化の点でも、ASEANやインドとの一層の連携が望まれる。
日米をしのぐ、SCOの多様な広がり
そして上海機構。上述の表にあるように、冷戦"終結"後の1996年に上海ファイブとして出発、2001年に正式に発足した。正式な加盟国は10ヶ国に過ぎないが、参加申請国、客員参加国・地域、オブザーバ-、対話パートナ-、対話パートナー参加予定国を含めると中央アジア・南アジア・中東・アフリカに広がり、ASEANなども含めて50ヶ国を超える多様な国々が関わっている。アフリカ連合に迫る巨大な地域機構だ。そして上海協力機構は、地域対テロ機構(2002年)として軍事同盟の色彩も有している。
ロシアによるウクライナ侵略以降、SCOの結束には緩みも見られるようだ。しかし、米欧にも同様の兆しが見られ、その中で新たな"陣取り合戦"が激しくなっている。
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