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JAの「組織の劣化」を検証し、改革に動こう!【JAまるごと相談室・伊藤喜代次】2023年8月8日

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JAの大きな心配事は、「不祥事件」の発生

A・ライフ・デザイン研究所 代表 伊藤喜代次

約40年でコンサルティング・調査を行った企業・行政組織は、およそ240組織。このうちの4割強がJAだ。講演や研修などを含めれば、47都道府県すべてにお邪魔して仕事をさせていただいた。私の半生でのJAのウエートは大きい。

コロナ禍もあって、テレビを観る時間が増えたが、ニュースや情報番組などで、全国各地の農業や農家、農産物、直売所など、JAに関係する情報が意外に多いことに気づいた。親しみがあるせいか、好意的に観ることができる。JAの役職員の苦労も推測され、応援したい気持ちも生まれる。ついでに、『JAタウン』の「旬な商品」サイトを検索して、各地の名産も眺めている。高額の贈答用商品が並び、とても手が出ないが・・・。この点は、いずれ論じたいと思っている。

さて、JAについて、あまりに組織を知っているからか、心配も大きい。その心配とは、JAに関連する「不祥事件」の発生だ。長くコンサルティングの仕事をしてきて、関わった企業や行政組織で不祥事件はなかったが、お付き合いしたJAの不祥事件発覚例は両手の指では足りない。私は、先輩のコンサルの話や経営論の研究者の話から、不祥事件は、それを生む組織風土や事業システムに問題があると思う一人である。

少し以前の話だが、1兆円を越える貯金残高をもつJAのコンサル中に発生した不祥事件によって、急遽、コンサルは中止。JA内部の調査委員会のサポートをすることになった事例もあった。また、コンサルを数年実施し、明らかに優良事例が出来上がったと思い、新聞などに取り上げてもらえる段階になって職員の不祥事件が発生、という事例も複数ある。

心配は、現代のネット社会だ。地元の不祥事件の情報伝播のスピードは速い、情報量も多いことを考えると、地域に根ざすJAのような組織にとっては致命傷になりかねない。温かく見守ってくれる組合員も少なくなっている。こうした状況を考えれば、たとえ少額の事件でも、地域社会の受け止めは大きく、リスクは計り知れない。

不祥事の発生の大きな理由は「組織の劣化」

マスコミを賑わす企業の不祥事件がなくならない。このところ、マスコミを大きく騒がせている中古車販売買取業者のビッグモーター。店舗数が約300、従業員約6,000人の大企業だ。最近の大企業の事件としては、異例中の異例、前代未聞。法令違反、コンプライアンス(法令・倫理遵守)関係なし。事件の舞台は全国の店舗に及び、損保企業などの関係先への広がり、経営トップの管理方針や指示、店長などのパワハラ、事件は底深い。

ついでながら、この会社の実質の経営者であった前副社長は、日本の大学を卒業し、8年前には、アメリカの名門大学でMBA(Master of Business Administration=経営学修士)を取得、現代の企業経営の論理も倫理もノウハウも学んだはずの人だ。

考えてみれば、数年前のかんぽ生命、ゆうちょ銀行の不適切営業、三菱・ダイハツなどの自動車メーカーの検査不正事件などの発生に、まだ、そんな企業が存在するのかと思ったが。電通、AOKI、角川書店などの五輪汚職・贈収賄、近畿日本ツーリストなどのコロナ給付金の不正受給など、企業の不祥事件はなくならない。

企業の不祥事の要因は、きびしい事業目標や利益目標一辺倒の仕事環境にあるともいえる。推進・営業の目標管理を続けることで、組織や従業員の疲弊を招き、トラブル、自爆、不祥事に通じるという構造は否定できない。しかし、その前に、「組織の劣化」という問題が横たわっていることに目を向けたい。

「組織の劣化」を克服し、次代に生きる組織へ

遠藤功氏(元早稲田大学ビジネススクール教授)は、経営戦略論、現場力の実践的研究で著名な研究者で、名著『現場力を鍛える』(東洋経済新報社, 2004年)で知り、お世話になった。この図書は、多くのJAの中核人材の研修で10年以上にわたって必読書に指定してきたし、特別講義の無理をお願いした経緯もある。遠藤氏の最近の著作に、組織マネジメントの「素人」が経営する日本の現状に関して、次のような一文がある。

「『日本的経営による同質的共同体組織』を前提としていた日本企業では、社員たちは同じ目的に向かい、一丸となり、協力し合い、一所懸命働く」ことが暗黙の了解と考えていた。そんな家族的な雰囲気の会社では、小難しい組織マネジメントなどは不要であり、家父長の下で社員たちが経営の都合のよいように勝手に組織を運営してくれることを期待できた。だが、その前提はすでに大きく崩れている。」

JAは半世紀近く、組織運営、事業システム、マーケティング、経営マネジメントにおいて変革、いわゆる自らイノベーションを起こす必要性を感じなかったといえば、叱られるかもしれない。しかし、行政の指導力が強く、中央会監査の指摘・指導、連合会の指導や厚い支援がJA自身、変革の必要性を認識しにくかったのではないか。それが長い歴史のなかで、合併も経験しながらも、「組織の劣化」に関しての問題意識を欠いていたともいえる。政府のJAいじめのような厳しい改革への要請には応えても、自ら点検し、将来に向けた変革に取り組むことが、なぜ、できないのだろうか。

そこで、まずできることから。あらゆる運営面での「マンネリ化」の検証である。何年もの間、事業・事務の処理方法や運営・チェックの仕組みなどに変更がなく、担当者任せにすれば、不祥事を生む温床になる。最近の不祥事件の件数のなかで、金額が少額で、単純な使い込みなどのケースが多い。これこそ、組織のなかの「劣化」であり、「経年疲労」「マンネリ化」が原因ではないか、と見ている。

最後に、あるJAの組合長さんの言葉を紹介したい。「いつも、何か問題や事件が起きるのではないか、苦情の電話が鳴るのではないか。毎日、針の莚の上に座っているようで、寝られない夜もある。早く退きたい。」

本コラムに関連して、ご質問、ご確認などがございましたら、お問い合わせフォーム(https://www.jacom.or.jp/contact/)より、『コラム名』を添えてご連絡ください。コラム内又はメールでお答えします。

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