(344)「サイレントお祈り」、改めよ!【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2023年8月11日
就職活動(就活)を行う大学生達と接していると、企業側のいかなる行動に動揺するかがよくわかります。お互いに事情はあるでしょうが、「そうは言っても…」という場面によく出会います。そろそろ、考え直した方が…、という例を紹介しておきます。
企業側にとっては毎年の恒例行事でも、学生には初めての体験がほとんど、これが就活である。そもそも身近な社会人といえば、親とバイト先の上司、あとは大学の教員くらいしかいない大学生が大半であろう。
就活の細かいプロセスはここでは省略する。かつて履歴書と言われたエントリー・シート(ES)や、通称「ガクチカ」、つまり「学生時代に力をいれたこと」などの書き方については模範解答例がネットですぐに確認できるので、そちらを見て頂きたい。
多くの大学生はこうした事例をもとに自分なりの「ガクチカ」を書きあげ、場合によっては各大学のキャリア関係あるいはゼミの教員などに多少の添削をしてもらいながら、これはと思う企業に応募する。
そして、オンラインあるいは対面による何度かの面接を経て、内々定あるいは内定のような連絡を受け一安心...、となる。そこまでは良い。問題はその後だ。
面接終了後、企業は大学生に対して、結果連絡をどのような形で伝えるかである。
・ 合格の場合は連絡します。
・ 合格の場合には1週間以内に連絡します。
学生達と話をしていると、こういうケースが圧倒的に多いようだ。それなりの対応をする企業であれば、不合格者に対し「残念ながら...、今後のご活躍をお祈りします。」といった形のメールが届く。これを「お祈り」メールという。
ただし、人気企業であり応募者も多いと不合格者すべてにこのようなメールが届くわけではなく、前述の「合格の場合には連絡します。」を信じて、何日も不安な日を過ごすことになる。1週間ならまだ良いが、2週間以内などと言われても採用において学生側が異議を唱えることはほぼ不可能である。結局、何も届かないまま不合格になるのが「サイレントお祈り」だ。貴重な時間の無駄以外の何物でもない。
もちろん、企業側にも言い分はあるようだ。応募者数が数千人、数万人規模のときに全員に通知は出せない。社内手続きに時間がかかる。辞退者が出たときのために、ボーダーライン近辺にいる学生は何とか確保しておきたい...、ひどいのになると、これに耐えるメンタルが必要、などだ。
しかしながら、こうした理由は言い訳に過ぎない。選抜試験のようなものは、どのような形であれ、応募者を全体としてみれば、確実に合格するレベルの集団と、確実に不合格になる集団、そして判断が微妙な集団に分けることは可能であろう。これは必ずしも学力に基づく必要はない。当該企業に「合わない」という抽象的な判断基準でも十分な理由になるはずだ。採用は学力だけを見るのではない以上、当然である。そこは学生も十分に理解しておく必要がある。
その上で、採用する企業側は、確実に不合格になる対象者には面接終了後、即座に通知を送ればよいだけの話だ。仮に手間がかかるなら、大学入学試験のように、webサイトに合格者あるいは「〇次面接通過者」の番号のようなものを掲示すればよい。その際、待機者リストも一緒に出せばさらに良い。これはまだ判断が微妙なグループである。ここに順位をつけておけば、例えば、「〇〇商事、待機者5番だから何とか入れるか」、あるいは「△△物産、自分は待機者250番だから難しい...」などといった判断を学生自身が行い、素早く次の活動に移ることができる。これだけでも状況は改善される。
ちなみに米国の大学院受験では、こうした形での待機者リスト(waiting lists)が何十年も前から活用されている。スマホがここまで普及した現代では、かつてよりはるかに簡単であるにもかかわらず、依然として「サイレントお祈り」のようなことが継続していることには、心底驚く。
企業側が学生に対し、社会人としてのマナー云々を期待するのであれば、いいかげん、このくらいは改善したらどうか。
* *
ご縁が無いにもかかわらず、結果として動きを封じるようなことは早急に改めてもらいたいものです。
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