シンとんぼ(74) 食の安全とは(32)食品安全モニター2023年12月23日
令和3年5月12日に公表された「みどりの食料システム戦略」をきっかけに始まったシンとんぼは、前回までに「食の安全」とは何かということの検証を試みてきたが、内閣府の食品安全員会が継続して実施している食品安全モニターに対する意識調査に興味深い結果が出ていたので、このテーマの最後にその概要を紹介しながらシンとんぼなりの見解を述べてみようと思う。
この食品安全モニターは、全国で409名(2022年度)おり、男女比はほぼ50:50で年齢構成比20~30代が2割弱、40代以上が8割強を占めており、40、50、60代以上はほぼ均等である。その職業経験は、食品生産・加工経験者(40%弱)、食品流通・販売経験者(15%強)、その他一般(14%強)、教育職関係者(10%強)、研究職経験者(10%弱)、食品関係行政職経験者(7%強)、医療職経験者(4%強)といった構成で、恐らく農薬に関する正しい知識に触れる機会が多かったと思われる人が8割を超えていると考えられる。
このような母集団に対し、食品の安全性の観点から感じるハザード(不安要因)ごとの不安の程度について、「とても不安を感じる」、「ある程度不安を感じる」、「あまり不安を感じない」、「全く不安を感じない」、「よく知らない」の5択で問うている。ハザードとして設問に挙げられているのは、「有害微生物(細菌等)、ウイルス等による食中毒」、「いわゆる健康食品」、「汚染物質(カドミウム、メチル水銀、ヒ素、ダイオキシン類等)」、「家畜用抗生物質による薬剤耐性菌」、「残留農薬」、「遺伝子組換え食品」、「ゲノム編集食品」(以上2022年度上位7要因)などで全15ハザード(2022年度)である。
この調査は平成16年(2004年)より継続して行われており、年次変化をひも解いてみると、食品安全モニターの食の安全に関して不安に感じているものが、様々な事件や事故等の影響を少なからず受けているように感じた。
その概要を一部紹介すると、2022年度の調査で「とても不安を感じる」割合は、「有害微生物(細菌等)、ウイルス等による食中毒等」が25.2%と最も高く、「残留農薬」は12.2%と5番目だった。これに対し、この調査が始まった約18年前の2004年調査で「とても不安を感じる」と答えた割合は、「汚染物質(カドミウム、メチル水銀、ヒ素、ダイオキシン類等)」がダントツ1位の61.2%であり、次いで「残留農薬」が44.7%で2位、「有害微生物(細菌等)、ウイルス等による食中毒」が44.1%で3位だった。これはおそらく、1998年の和歌山ヒ素入りカレー事件が色濃く記憶に残っている時期でもあったことが調査結果に影響したものと考えられた。この調査結果は「食の安全」を考える上で興味深いので、次回以降もう少し掘り下げてみようと思う。
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