各産地銘柄の価格表を示した堂島取引所【熊野孝文・米マーケット情報】2024年7月30日
全国米穀工業協同組合(略称 全米工)は7月25日に千代田区の中労協ホールで東日本情報交換会と取引会を開催した。この席で堂島商品取引所が8月からスタートするコメ指数先物取引の概要について同取引所の有我渉社長が説明した。この中で現物コメ指数の内容と81産地銘柄の価格換算表を配布、「現物コメ指数(堂島コメ平均)は全国のコメ価格の平均値だが、個別銘柄の価格も類推でき、ヘッジする場合の土台として機能するのではないか」とし、堂島のコメ指数は今までにない形で取引されるとの見方を示した。
有我社長は、初めにコメ指数先物の取引開始時期について、8月13日にスタートするが、実質的にはマーケットメーカーなどが入る8月20日に取引が始まるとした。また、スタート時の取引限月について2025年2月限、4月限、6月限で行われ、ひと月ごとに限月が増え、12月までに1年間の限月が出揃う。次に取引対象になる堂島コメ平均について「特定銘柄ではなく、日本全国の1等米全銘柄の平均米価」で、その特徴として①日本全国のコメに投資(日本全国の主食用米の価格動向を平均化したもので、地域ごとの価格変動に左右されず投資することが出来る)②少ない証拠金で取引が出来る(従来のコメ先物に比較し、取引単位を3トンと小さく設定してあるので、少ない証拠金で取引が可能)③受け渡しを伴わない現金決済取引(現物の受け渡しによる決済がなく、現金決済によっていつでも取引を終了することが出来る。最終決済も指数値による現金決済で行われる)。
堂島取では「現物コメ指数」を毎月最終営業日に公表する。現物コメ指数算出に用いられるデータは、前月の相対取引価格、前々月からの前月の相対取引価格変化率、米価DI(現状と見通し)、需給DI(現状と見通し)で、ベースは農水省が毎月公表する相対取引価格。堂島取では6月28日に6月分の現物コメ指数を公表した。その価格は1万5634円(税込み)になっており、説明会では参考資料として、現物コメ指数が1万4000円、1万4500円、1万5000円、1万5500円、1万6000円になった場合の各産地銘柄米の価格換算票を参加者全員に配布した。(ピックアップした銘柄の価格換算表は別表の通り)
配布した産地銘柄別価格換算表を参考にして各産地では先物市場で取引される堂島コメ平均から類推して自県産米の価格を知ることが出来る。このため堂島コメ平均がディファレンスとして活用できる。わかりやすく言うと先物市場で形成される堂島コメ平均から自県産の銘柄の価格を知るためには換算表を見れば将来価格がわかるようになる。
先物市場で全国平均のコメ価格(堂島コメ平均)が形成されるようになると、その価格から自県産の銘柄の格付け価格(ディファレンス)がわかるようになるため全農系統が6年産米の集荷に当たり概算金を決定する際の価格に採用することも出来る。また、商系集荷業者が買取価格を決める際も堂島コメ平均価格に対して上乗せ価格を提示して集荷に当たることも出来る。こうした例を上げ、有我社長は堂島のコメ指数取引が「コメを扱う方々の共通言語としてのプラットホームになる」と述べた。
個別の産地銘柄の価格がわかるようになると6年産米を事前契約したい場合、売り手の農協や集荷業者、大規模生産者と卸や実需者の間で、先行きの価格が形成される堂島コメ平均を基準にして個別銘柄の格付け表を基に売り手・買い手が納得できる形で価格を決定できるようになる。また、まだ収穫されていない段階でも事前に価格を決めて収穫後の現物の受け渡しをするまでの価格変動に対しても堂島コメ平均にヘッジ(売りヘッジ・買いヘッジ)することによりリスクをカバーできるため、事前契約をスームズに行うためのツールになる。
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