【今川直人・農協の核心】農協の農業経営をめぐる環境変化(4)2026年1月5日
2.広がる選択肢
都市農協の農業生産
「ゆめファーム全農」は、2014年にスタートしたプロジェクトである。栃木・高知・佐賀でトマト、ナス、キュウリを栽培し、3か所全てで標準の2~4倍の収量を達成している。第二段階は2021年に構想された「ゆめファーム全農パッケージ」で、①人材育成、②温室建設、③栽培支援コンサルへの一体的な取り組み、第三段階が令和8年度本格始動を目指す技術普及のための「トレーニングセンター幸手」である。
プロジェクトを立ち上げた当初の目的は「園芸農家の減少」対策で、「新鮮な野菜がいつでも買える」、「誰でも・マニュアル通りにやれば・たくさん収穫できる」等の意義を付加していった。年中行事のトマトやキュウリの値上がり時に生産・販売できるように都市農協に普及してはいかがだろうか。収穫空間を極限に拡大する高軒高方式等の技術、上記③の持つ肥培管理遠隔支援(コックピット)等の優れた仕様は、そのような期待を抱かせる。
畜産部門での農協の役割
令和6(2024)年度の畜産物(乳製品含む)のカロリーベース自給率(純国産)は17%で、国民の摂取カロリーの半分近い48%は輸入飼料部分である。一方、金額ベースでの自給率(純国産)は52%、輸入飼料部分は15%である。与えられた条件を考えれば殊更に問題視する必要はないとする見方も成り立つ水準である。しかし、世界的な畜産物消費の拡大が進むにしたがって、米豪飼料穀物依存の畜産のリスクは確実に増大する。また、現在の耕畜連携政策は転作奨励、基盤強化、経営所得安定対策などと並ぶ重要な政策ではあるが、いずれも持続的発展のための時限的かつ一部を支える呼び水であることも注意を要する。
粗飼料が欠かせない酪農では農(用)地が一番の制約条件である。搾乳作業を伴うため比較的に労働集約的(令和4年、1頭当たり年間労働;肉用牛53.3時間、肥育豚3.05時間、乳用牛95.1時間)、すなわち農用地の不利が減殺されること、そして西欧に遜色ない農地を持つ北海道が主産地であることが畜産の供給力を下支えしている。酪農では、生産(飼養)の効率化と共に、全農が打ち出したバリュー・チエーンの発想を進展させることが国際競争力を高める上で重要になっている。JAグループを挙げての6次産業化である。
畜産(肉畜)では個体単価が高く経営リスクの大きい肉牛の繁殖が、農協による協同化の柱である。また、TMCはRCやCEのように産地農協の基幹施設である。最近の行政の資料に、10aあたりのTDNが最も高い青刈りとうもろこしの2期作を奨励する作物統計に基づく記事がある。
求人情報に見られる法人の優位性
転職者を対象とする求人サイトで最近の農業関係求人を頭から50件抜き出してみた。部門別の件数では「酪農」が最多で11、「米麦大豆・作業一般」と「野菜(花卉・キノコ・さつまいもを含む)」が共に10、「養豚」8、「養鶏」4と続いている。求人者は会社形態(株・有)が38と8割近くを占め、農事組合法人が2で他は「農場・農園」等となっている。採用が高収益の経営で可能である実態を示している(「リクナビNEXT」 2026.1.5)。別なサイトの農業関係求人は最初のページの25件のうち10件が障害者の就労(農)支援で、求人者は4件が社会福祉法人、5件が株式会社(うち一件は銀行)、1件がキノコ工場となっている(「求人ボックス」2026.1.5)。
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