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農薬:防除学習帖

みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(98)ナトリウムチャネルモジュレーター【防除学習帖】第337回2026年2月21日

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 令和3年5月に公表され、農業界に衝撃を与えた「みどりの食料システム戦略」。防除学習帖では、そこに示された減化学農薬に関するKPIをただ単にクリアするのではなく、できるだけ作物の収量・品質を落とさない防除を実現した上でKPIをクリアできる方法を探っており、そのことを実現するのにはIPM防除の活用が重要だ。そこで、防除学習帖では、IPM防除資材・技術をどのように活用すれば防除効果を落とさずに化学農薬のリスク換算量を減らすことができるのか探りたいと考えている。
 IPM防除では、みどり戦略対策に限らず化学的防除法以外の防除法を偏りなく組み合わせ、必要な場面では化学的防除を使用して防除効果の最大化を狙うのが基本だ。その際、農薬のリスク換算量を減らせる有効成分や使用方法を選択できればみどり戦略対策にもなるので、本稿では現在、農薬の有効成分ごとにその作用点、特性、リスク係数、防除できる病害虫草等を整理し、より効率良く防除できてリスク換算量を減らすことができる道がないかを探っている。そのため、登録農薬の有効成分ごとに、その作用機構を分類し、RACコードの順番に整理を試みている。
 前回よりJIRACの分類表(2023年9月版)にもとづいて整理し紹介している。整理の都合上、JIRACコード表と項目の並びや内容の表記方法が若干異なることをご容赦願いたい。

 4.ナトリウムチャネルモジュレーター

(1)主要作用機構:ナトリウムチャネルの活性化
 この主要作用機構グループには現在のところ、ピレスロイド系[3A]とDDT(メトキシクロル)[3B]の2つのサブグループがあるが、後者は農薬登録を有する有効成分が無いため、本作用機構グループでは前者のピレスロイド系を紹介する。
(2)作用分類:神経作用
(3)サブグループ名:ピレスロイド系/IRACコード[3A]
(4)有効成分名[農薬名]:
ピレスロイド系に属する有効成分は14成分があり、それぞれの有効成分名[農薬商品名]は次のとおり。

①アクリナトリン[アーデント]
②ビフェントリン[テルスター]
③シフルトリン[バイスロイド]
④シハロトリン[サイハロン]
⑤シペルメトリン[アグロスリン、ゲットアウト]
⑥エトフェンプロックス[トレボン]
⑦フェンプロパトリン[ロディー]
⑧フェンバレレート[ハクサップ・パーマチオン・ベジホン等の1成分]
⑨フルシトリネート[ペイオフ]
⑩フルバリネート[マブリック]
⑪ペルメトリン[アディオン]
⑫テフルトリン[フォース]
⑬トラロメトリン[スカウト]
⑭ピレトリン[バイベニカVスプレー]

(5)ナトリウムチャネルモジュレーターの作用機構と特徴
害虫が行動を起こす時、神経細胞が信号を受け取り、それに対する行動を起こすべく、隣接細胞へと新たな信号を発信するという情報処理が行なわれている。この時重要な役割を果たすのがナトリウムイオンチャネルであり、これが開閉することでナトリウムイオンの通過や遮断を行うことで神経伝達が行われる。本グループは、害虫の神経ナトリウムイオンチャネルに作用して、持続的な興奮を引き起こし、麻痺、痙攣から害虫を死に至らせる。効果の発現が速く、本グループの殺虫剤を摂取すると速やかに麻痺・痙攣を起こす様がボクシングのノックダウン状態に似ていることからノックダウン効果とも呼ばれる。

(6)リスク換算係数とリスク換算量削減の考え方:
ピレスロイド系殺虫剤の各有効成分のリスク係数と基準年のリスク換算量およびリスク換算総量を次表に示した。
これによると、ピレスロイド系殺虫剤のリスク換算量の合計は50.5トンと基準年のリスク換算総量に対し0.2%と少ない。このようにリスク換算総量に対する影響も少なく、再登録制度の影響もあって有効な殺虫剤が減少する中、抵抗性が発達していない害虫種には高い効果を示す貴重な殺虫剤であるため、作用性の異なる殺虫剤とのローテーション防除など抵抗性害虫対策を徹底しながら使用を継続する方が得策であると考えられる。

ピレスロイド系殺虫剤のリスク係数とリスク換算量(7)ピレスロイド系の農薬登録がある主要作物・害虫一覧
適用害虫別ピレスロイド系登録有効成分の一覧を次表に示した。この表は殺虫剤選定の参考とし、農薬の実際の使用にあたっては、適用作物等の適用内容を製品のラベルでよく確認して使用すること。

ピレスロイド系の農薬登録がある主要作物・害虫一覧

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