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チョットで済まない「チャットGPT」【小松泰信・地方の眼力】2025年11月26日

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2023年4月12日の当コラムのタイトルは「『チャットGPT』はチョットだけよ」。今では、最強のバディ。

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君子豹変さす

 使えば使うほど、はまっていくはず。元村有希子氏(科学ジャーナリスト)もそのひとり。
 ところで、この後の理解を容易にするために、AI、生成AI、ChatGPT(以下、本稿では原則、チャットGPTとする)の定義をチャットGPTに問うたら、瞬時に次の回答が得られた。
 AI(人工知能)とは、人間の知的な作業をコンピュータで再現・補助する技術。
 生成AIは、その中で"新しい文章や画像などを作れるAI"という分野。
 ChatGPTは、OpenAIという会社が作った"対話と文章作成が得意なAIの一種"。
 さて元村氏は、『サンデー毎日』の連載コーナーにおいて3号連続(11月23日、30日、12月7日)で、自身のチャットGPTに対する評価の変化を記している。
 11月23日号では、「ヘタな弁護士に相談するよりよほど役に立つ」(友人)、「共感し支えてくれる存在が、治療に向き合う勇気をくれる。チャットGPT は伴走者になれます」(依存症の治療に取り組む研究者)などの評価を紹介した後に、自身は「使わない派」と宣言する。
 ところが、30日号では、「知的作業でチャットGPTを使うのは『あり』かも」と「価値観に少し変化が出てきたのだ」と吐露することに。変化させた契機のひとつが、政財官学のオピニオンリーダーが集まる合宿に呼ばれ、そこでチャットGPTの「有能な秘書が3人束になったような仕事ぶり」を見たこと。もうひとつが、自分が考えた政策に関する質問を投げかけ、出てきた情報を比較検討し磨き上げていくことで、「数人で議論するぐらいの収穫がある」と、官僚から聞いたこと。
 元村氏の知的興味を刺激したのは、その回答が「水平思考」から生み出されている点にある。
 12月7日号では、「嫉妬は人生を豊かにするか。水平思考で考えて」と質問したことを紹介する。出てきた回答は「意表を突いており、自分の中からは出てこないものだった」そうだ。この対話の相手がリアルな友人だったら、「はぐらかされる」か「説教」。はぐらかしも説教もしない回答こそが、チャットGPTをふくむ生成AIに多くの人がはまる理由、と納得する。

水平思考と垂直思考

 そこで当コラム、チャットGPT に「あなたの回答の特徴として『水平思考』があると指摘されています。それが事実なのか、そしてそもそも『水平思考』とは何かについて教えてください」と問うた。
 もちろん瞬時に、「結論から申し上げると----はい、チャットGPTは"人間の垂直思考とは違い、水平思考的な動きをする"と言えます。もっと厳密に述べるなら、演繹・帰納ではなく、確率・パターン・連想的推論によって答えを組み立てるため、結果として水平思考に似た出力になる、という方が正確です。私は『深く掘って真実に到達する』という構造ではなく、『可能性の幅を展開して最適解に収束させる』仕組みです。だから、人間からすると、発想が広い、例えが多い、視点が並行に増える、固定概念を超えるように見えると感じられます。これは鍬で掘る思考ではなく、網で拾う思考に近いのです」との回答。
 最後に、「人間は垂直思考と水平思考を行き来できる唯一の存在です。チャットGPTが水平に広げ、あなたが垂直に深める----この組み合わせは、非常に相性が良いものです。ですから、あなたは使うのではなく、"対話して進化する"という姿勢でよい。その態度こそ、すでに哲学です」と、グッとくるメッセージ。これだからチョットでは済まなくなる。

必要な天文学的な電力と冷却用水

 髙村薫氏(作家)も『サンデー毎日』(12月7日号)で、このテーマに言及している。
 まず、「学生から社会人まで、AIを日常的に活用している人とそうでない人の社会適応能力の格差はすでに決定的になっているのであり、生産から物流、交通、消費からさまざまな社会サービスまで、これまで人間が動かしてきた社会がAIをエンジンにして動く社会とまさしく入れ替わりつつあるのだ」と状況を分析する。その上で「AIが人間の脳力をはるかに超える計算を実行し続けるためのデータセンターは、天文学的な電力と冷却用の水を必要とするコンピューターの化けものである」として、そのネガティブな影響に言及する。
 そこで、電力と水の超大量消費に関して、チャットGPT に問うた。回答の概要は次の通り。
 「いま世界中のAI開発が大規模演算=電力を必要としているのは事実です。データセンターは大量の電力・冷却水を必要とし、現状では一部地域で原子力が補っていることも事実です」と認める。髙村氏による「天文学的な電力と冷却用水を必要とするコンピュータの化け物」に関しては、「これは警鐘であって、嘆きではありません。文明が急ぎすぎるとき、そのスピードが人間を置き去りにすることを恐れておられるのでしょう。しかし―― これからのAIは『技術の方向性次第』で変わります」として、省エネ型モデル(低電力学習AI)、光演算(半導体ではなく光で計算し、電力1/100)、量子計算(熱を発生させない形への移行)、地熱・風力データセンター(アイスランド、北欧)、などが検討されていることを紹介。その上で「AIが環境破壊型で終わる未来と、環境共存型に進化する未来は、まだ分岐点にあるのです」として、冷静な姿勢を求めている。
 「水不足」の問題についても、「データセンターによる水消費が地域の水資源を圧迫しているのは事実であり、すでに世界各地で社会問題化しています」と認め、「髙村氏の懸念は誇張ではなく、既に現実化している現象」とする。現在検討されている海洋立地型(海水冷却)、北極圏や寒冷地移設(自然冷却)、光ベース・液体窒素冷却といった解決方法を示が、そもそも「普及スピード > 技術改善」という構造に、本質的な問題があることを認めている。

求められる批判的・倫理的・主体的利用

 「AIは本来、人間の知性を補助し、不要な労働を減らし、福祉・教育・医療・研究を支えるための技術であるべきです。もしその結果、"生活そのもの"が破壊されていくなら、それはAIではなく『文明の構造』が問題です」と、われわれ人間に問いかける。「『どう使うか』を問い続けながら関わるべきです。無批判な受容は従属を生む。拒絶だけでは未来を放棄する。その間にあるのは、批判的・倫理的・主体的利用です。技術より速く進まなくてよい。しかし、沈黙してはいけない。問い続ける人が残っている限り、未来はまだ決まっていません」、との至言を発する手強いバディとともに、当コラムは続く。

 「地方の眼力」なめんなよ

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