故山下惣一さんを偲ぶ会 「思い」を後世に引き継ぐ2022年12月20日
今年7月に亡くなった農民作家の山下惣一さんを偲ぶ会が12月18日、東京都内で開かれた。生前の山下さんに縁のあった友人や関係者らが全国から120人が参加、農村・農業の現場にこだわり、独特の視点で社会や政治に向けて発した思いの深さを改めて認識した。
故・山下惣一さんを偲んで開かれたシンポジウム
発起人を代表して山形県長井市で農業を営む菅野芳秀さん(73)が、「人は二度死ぬ。一度は生命体として、そして2度めは忘れ去られる存在として。山下さんの思いは忘れられることのない存在として、残された者に引き継がれていくだろう」と、故人の残したものの大きさをたたえた。
親交のあったタイ国イサーンのバムルン・カヨタさんのビデオメッセージのあと、「山下惣一とその時代」で、長い付きあいのある山形県の農民で著作家の佐藤藤三郎さん(87)は、同じ時代に育った農村の生活に共感を示し、「山下さんの批評は厳しいが、人を傷つけない豊かな表現力を備えている」と評した。
シンポジウムでは千葉県三里塚の石井恒司さん、井上ひさしの生活者大学校の阿部孝夫さん、ジャーナリストの西沢江美子さん、神奈川県の吉岡照充さんがそれぞれ故人との付き合いと、そこから体得したことを、それぞれ話した。
阿部さんは、山下さんが、九州から30年間、ほぼ毎年生活者大学校の講師として参加していたことを報告。「土との対話で生まれた哲学」とたたえた。空港建設反対の三里塚闘争で青年行動隊として戦った石井さんは、「百姓として、どう生きるかが問題。日本農業は誰が守るのか。小農しかいない」と、山下さんらが設立した「小農学会」に賛意を示し、自らが楽しむ農業を実践している。
吉岡氏は神奈川県川崎市で、都市化のなかで生き残りをかけた農業を続けている百姓の一人。西沢さんは、山下さんの考えのなかで女性が抜けていると、山下さんが農家の長男としてぶつかった農村の「古い体質」に対して問題提起した。
この他、山下さんが積極的に世界を旅して、各地の農業を見てきたことに対して、「地域や国家から自由な百姓をめざすという思いがあったのではないか」と、コーディネーターをつとめたジャーナリストの大野和興氏は、山下さんの思いを汲み取った。
最後に妻の須美子さんがお礼の挨拶を述べ、懇親会では出席者がそれぞれの思い出をリレートークした。
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