グローバルインフレ下での今後の対応は 国内外の金融経済 農中トップセミナー2023年9月13日
農林中央金庫は9月5日、東京都内で「第36回農林中金 金融経済トップセミナー」を開いた。パンデミックが生み出した異例な循環のもとで、国内外の金融経済の現状と今後の見通しなどをエコノミスト3人が基調講演した。
パネルディスカッションの様子
このセミナーは系統団体と関連会社の役員などを対象に金融経済情勢への理解を深めることを目的に1987年から開催している。今回はオンラインとの併用で開き、合わせて約150人が参加した。
JPモルガン証券経済調査部チーフエコノミスト・藤田亜矢子氏は、米国の経済見通しを中心に話した。世界各国の中央銀行は大幅な金融引き締め(世界同時金融引き締め)を行っているが、あまり効果を見せていないものの、想定された景気の後退にはつながっていない異例の実情をデータで紹介。世界全体のセクター別GDPをみると製造業の減速は顕著だが、非製造業はパンデミックで積み上がった家計の過剰蓄積、一時的に先送りされた需要が活発化するペントアップ需要もあり、堅調なまま推移。「セクター・国別地域間格差をもたらした」と分析した。
さらに「これだけ金融政策の引き締めを行っても、依然として米国の雇用は堅調であり、(金融政策だけが景気を左右したわけではないが)中央銀行がターゲットとする(インフレ率)2%まで本当に下がってくるかは、未だ不確実」と話し、今後想定されるシナリオは大きく4パターンあると提示した。
このうち、これ以上の利上げをしない中で、金利を高止まりさせたまま、ソフトランディングしていく「ゴルディロックス」シナリオもあるが、藤田氏は「インフレの十分な低下がなければ、ゆでがえる状態になる」シナリオを有力視した。そして、中央銀行が金利を高止まりさせたまま、長期間維持しつづけることで最終的に景気を減速させていく可能性と、第2ラウンド追加利上げの可能性という、2つの可能性を指摘しつつ、「いずれにしても来年のどこかのタイミングで景気後退が避けられないだろう」と予測した。
SMBC日興証券金融経済部チーフマーケットエコノミスト・丸山義正氏は、「日本銀行の正常化開始を占う」と題して、日銀の追加利上げの行方などを踏まえ、日本の経済見通しを中心に話した。
また、BNPパリバ証券経済調査本部長チーフエコノミスト・河野龍太郎氏は、「グローバルインフレで日本のインフレ期待も2%まで上昇か?」と題して、国内外の金融経済の状況を踏まえた今後の留意等について話した。
パネルディスカッションでは、みずほ証券金融市場調査部チーフ為替ストラテジスト・山本雅文氏をモデレーターに、①高金利、高成長、高インフレ下の世界経済、②米国の金融政策、③日本の金融政策、④不透明な経済・金融政策見通しの下での運用、をテーマに意見交換と討論を行った。
重要な記事
最新の記事
-
【JA全農の若い力】家畜衛生研究所(1)養豚農家に寄り添い疾病を防ぐ クリニック北日本分室 菅沼彰大さん2025年9月16日
-
【石破首相退陣に思う】戦後80年の歴史認識 最後に示せ 社民党党首 福島みずほ参議院議員2025年9月16日
-
【今川直人・農協の核心】全中再興(6)2025年9月16日
-
国のプロパガンダで新米のスポット取引価格が反落?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年9月16日
-
准組合員問題にどう向き合うか 11月15日に農協研究会開催 参加者を募集2025年9月16日
-
ファミリーマートと共同開発「メイトー×ニッポンエール 大分産和梨」新発売 JA全農2025年9月16日
-
「JA共済アプリ」が国際的デザイン賞「Red Dot Design Award2025」受賞 国内の共済団体・保険会社として初 JA共済連2025年9月16日
-
秋元真夏の「ゆるふわたいむ」北海道訓子府町で じゃがいもの新品種「ゆめいころ」を収穫 JAタウン2025年9月16日
-
山形県産「シャインマスカット」品評会出品商品を数量限定で予約販売 JAタウン2025年9月16日
-
公式キャラ「トゥンクトゥンク」が大阪万博「ミャクミャク」と初コラボ商品 国際園芸博覧会協会2025年9月16日
-
世界初 土壌団粒単位の微生物シングルセルゲノム解析に成功 農研機構2025年9月16日
-
「令和7年8月6日からの低気圧と前線による大雨に伴う災害」農業経営収入保険の支払い期限を延長(適用地域追加)NOSAI全国連2025年9月16日
-
農薬出荷数量は1.3%増、農薬出荷金額は3.8%増 2025年農薬年度7月末出荷実績 クロップライフジャパン2025年9月16日
-
林業の人手不足と腰痛課題解消へ 香川西部森林組合がアシストスーツを導入 イノフィス2025年9月16日
-
農業支援でネイチャーポジティブ サステナブルの成長領域を学ぶウェビナー開催2025年9月16日
-
生活協同組合ユーコープの宅配で無印良品の商品を供給開始 良品計画2025年9月16日
-
九州・沖縄の酪農の魅力を体感「らくのうマルシェ2025」博多で開催2025年9月16日
-
「アフガニスタン地震緊急支援募金」全店舗と宅配サービスで実施 コープデリ2025年9月16日
-
小学生がトラクタ遠隔操縦を体験 北大と共同でスマート農業体験イベント開催へ クボタ2025年9月16日
-
不在時のオートロックも玄関前まで配達「スマート置き配」開始 パルシステム千葉2025年9月16日