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米価急落、24年産米1000円超下げ (米穀新聞記者・熊野孝文氏)2013年5月31日

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・静まり返る取引会
・豊作でも米価が下がらなかったのは何故か?
・消費者の厳しい審判、銘柄米信仰の崩壊
・白米特売破格の安値、在庫負担軽減に躍起

 米の価格が米卸間の取引で急落している。今後の米価の動向は25年産米の田植えがほぼ終えた産地にとっても気がかりだ。今、米の販売現場では何が起きているのか。米流通の専門紙記者に分析してもらった。

新米の価格基準
見直し必至か?

◆静まり返る取引会

 4月12日、金曜日。都内で開催された米穀業者の席上取引会。
 場立ちが出席者に売り物、買い物の声をあげるように促したところ神奈川の業者が「富山コシヒカリ一等関東持込み1万5400円ヤリ(売り)」と声を発し、場が静まり返った。
 24年産富山コシヒカリの市中相場は、出来秋からしっかりした価格がつづいており、それまで関東持込み1万6500円?1万7000円程度で動いていた。それがいきなり1000円以上安い売り物が出て来たので出席者も声が出なくなってしまった。
 激震はつづく。連休入り前の4月25日、日本コメ市場が主催した新年度第1回目の取引会。東京、大阪、福岡の3会場同時に開催された取引会には74卸92名が出席、71産地銘柄6762tの売り物が出た。主要銘柄の成約価格は、秋田あきたこまちが1カ月前の成約価格に比べ60kgあたり1029円安い1万4971円、福島コシヒカリ1万4750円、茨城コシヒカリ1万4898円、新潟コシヒカリ1万6557円などと大方の銘柄が大きく水準を下げた。コメ市場関係者によると「安値の売り物があったが買いが入らなかった」とし、この下げがさらに深い可能性があると見ていた。
 いったいコメの市中相場に何が起きたのか?
 コメ相場の変動要因は、他の商品と同様“需給”が基本であることには違いないが、それが素直に価格変動に反映されない構造がコメには横たわっており、それを理解しないと先行きの展望を見誤るので、まずそのことに触れておきたい。


 ◆豊作でも米価が下がらなかったのは何故か?―コメ政策と密接に関連

 平成24年産米の作況指数は「102」の豊作であった。にもかかわらず24年産米は前年産を上回る価格となり、とくに北海道産は作況105という大豊作であったが大幅に値上がりした。量販店、外食業界など需要者業界から「豊作なのになぜ価格が上がる?」という素朴な疑問が納入卸に多く寄せられた。
 これに対して納入業者側は、集荷価格の上昇等現象面の説明に留まり、コメ業界の構造的要因にまで踏み込んで説明したところは無かった。
 構造的要因とは何か? 要因は大きく分けて3つある。
 1つは、戸別所得補償政策とセットになった水田利活用対策により、食管時代よりも生産調整が効いていることがあげられる。分かりやすく表現すると食管時代は権力により生産調整を強制していたが、戸別所得補償政策では金の力で生産調整を推進している。戸別所得補償政策が導入される前の平成20年産では、過剰作付面積が5万4000haあったが、それが24年産では2万4000haと大幅に減少している。その分余剰米の発生が減少したことになる(表参照)。

生産数量と実生産量推移 その結果どういうことが起きたのか?
 最も分かりやすいのが秋田県大潟村である。食管時代は村内525戸の生産農家のうち約半数が生産調整に反発し自由にコメを生産、自由米出荷の一大産地であったが、戸別所得補償政策導入によりほとんどの生産者がこの制度に加入、加工用米の一大産地に変身、村内の産直生産者が必要とするコメまで不足するという事態になった。
 第2の要因は、コメトレサ法と原産地表示の厳格化。原産地表示はコメ加工食品業界まで義務付けられ、国産米需要を増高させた。トレサ法によりコメ卸は単品銘柄の供給責任を果たすべく、産地との事前契約数量を増やした。産地はその需要に応えるため必要量を確保すべく動き、集荷価格の上昇を招いた。
 第3の要因は、棚上げ備蓄制度による作付前の政府備蓄米買入れ政策があげられる。25年産では25万tの買入れ目標を立て、買入れ入札価格を60kgあたり1万4100円以上に引き上げた。この結果、業界に先高観が強まった。これら3つの要因は、コメの相場を左右する大きな要因として横たわっており、これらの要因を抜きにして現在のコメ相場は語れない。その結果、24年産米は、主要産地銘柄の店頭販売価格が5kgあたり2000円を超えた。小売価格の推移

(図表はクリックするとPDF画像で見ることができます。)

◆消費者の厳しい審判 銘柄米信仰の崩壊

 日本生活協同組合連合会(略称:日本生協連)。この組織が扱っている家庭用精米販売量は年間7万6000tにもなり、大手量販店の精米販売量を上回っている。
 24年産米はほぼ前年実績並みの販売計画数量を立てた。
 現状はどうなのか? 主力販売銘柄である新潟コシヒカリは、5kgあたりの販売価格を2380円に引き上げた結果、売れ行きが3割落ち込んだと言う。コメ仕入・販売の責任者は「5kgあたりの販売価格が2080円と1980円では場合によっては売れ行きが倍も違う」とし、消費者組合員の価格志向の強さを強調する。特徴的なことはコメの価格の上昇で「パンや麺に振り替える消費者が増えた」ことだとしており、コメと他の食品の競合関係が深まっている点を指摘している。24年産米の販売価格を抑えるため卸を集約、搗精賃に競争原理を導入するなどの手を打ったが、原料仕入れコストの上昇が著しく、消費者が求めるような価格にはなっていない。
 このため日生協では25年産に向けて産地に多収穫米の生産を働きかける一方、これまでの「産地指定」という基本方針を改め、卸の協力を得て市場で安いコメを200tから300t単位で拾い、5kgあたり1680円?1780円のブレンド米を作り消費者組合員に提案することにしている。
 銘柄米の販売進度については、農水省が毎月発表するコメのマンスリーリポートに詳しく掲載されている。この数字は全国団体の相対契約数量の引き取り実績を取りまとめたものだが、直近の平成25年3月末現在のデータによると北海道産ななつぼしが累計で16万6590t販売されているのに対して新潟コシヒカリ(一般)は8万7411tと約半分に留まっている。新潟コシヒカリの販売進度は前年同期比71%で、日生協が言うところの3割減という数字を裏打ちしている。この両銘柄の相対価格は60kgあたり3000円ほどの開きがあり、この価格差が販売進度に反映されている。
 先に述べたように卸は銘柄米の供給責任があるため新潟コシヒカリも事前契約していた。ところが現実の精米販売は滞っており、3月末の年度終わりで重大な決断を迫られた。
 大手卸は「契約単価の高い新潟コシヒカリをこのまま在庫していたのでは大変なことになる。精米稼働率を上げるためにも5kg1980円で販売する」ことにした。3月末は新潟コシヒカリに限らず農協との直接契約分も含めて所有権移転しなければならない銘柄も多く、これが一気に卸の負担になった。販売段階の在庫数量もマンスリーリポートに掲載されているが、今年3月末現在で51万tと前年同期に比べ12万tも多い数量で負担になっていることが分かる。


◆白米特売破格の安値 在庫負担軽減に躍起

 量販店等での特売で在庫負担を少しでも減らそうというのが卸のポジションで、新潟コシヒカリ5kg1780円、茨城コシヒカリ1680円という破格の安値で特売するところも出始めた。ただ、当然のこととしてコメの消費量が増えていれば良いが、特売銘柄が売れる一方で、それが出来ない銘柄は売れ残るわけでトータルの在庫が軽減されるわけではない。
 そこで、どうするかというと玄米を市中で安売りして換金するしかない。それが24年産急落の背景にある。消費者の厳しい審判が現在の銘柄米の急落を招いたということが出来る。
 田植えが終わりつつある25年産米の価格動向を探るうえで、作柄も重要だが、それ以上に重要なことは消費者がどの程度の価格であればコメを買うかという点で、これをしっかりと見極める必要がある。出荷段階の在庫(農水省マンスリーレポート)

 販売段階の民間在庫(農水省マンスリーレポート)

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