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雑草と共生の有機稲作 健苗・深水、微生物利用で 栃木県の「館野かえる農場」2022年11月7日

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農水省の「みどりの食料システム戦略」で有機農業が注目を集めている。そのなかで、2030年までに有機農業の取り組み面積を25%、100万haにするという意欲的な方針を立てているが、具体的にどのようにして実現するのか、特に栽培方法が見えてこない。当初は異端視され、失敗と挑戦を重ねながら稲作で化学肥料・農薬を全く使わない栽培方法を確立した栃木県野木町の「館野かえる農場」の館野廣幸さん(68)を訪ねた。(協同組合懇話会・農協愛友会の現地見学会から)

視察者に有機稲作について話す館野さん視察者に有機稲作について話す館野さん

館野さんが稲作で有機農業を始めたのは30年前の1992(平成4)年。現在、有機稲作12haのほか、小麦、大豆をそれぞれ1ha、それに落ち葉をたい肥に使う雑木林2haを経営する。日本有機稲作研究会の理事や埼玉大学非常勤講師などを務め、有機稲作の指導・普及に努めている。
館野さんの有機稲作のポイントは、①成苗植え、②2回(あるいは3回)の代かき、③移植後、光を遮断する〝トロトロ層〟の形成、④ヒエの発生を防ぐ深水管理などにある。
もともと直播だった稲作に育苗、移植の技術が導入されたのは雑草に負けない体力をつけるためであり、今日のような機械植えによる稚苗移植が一般的になるまでは、5葉苗による田植えだった。館野さんの有機稲作では昔と同じように5葉苗を使う。

種もみ冷蔵し健苗

また、育苗にとって、大事なことは種もみの選定と芽出しだが、一般に芽出しは暖かい環境で行う。だが、芽出しした種子を屋外に出すと、発芽した時よりは低い温度にさらされることになり、不自然でストレスがたまる。館野さんは逆に5度の冷蔵庫で、芽出しせず1週間から10日間入れ、随時、種まきする。冷たい状態から暖かい環境に変わることで、耐寒性のあるがっちりした芽ができるという。丈夫な苗は、深水管理やアイガモ除草、機械除草など、いろいろな除草技術に適応できる。
成苗の田植えは5月下旬~6月下旬。館野さんは5月1日に代かきを始め、最初の田植えを5月30日に行う。普通の栽培では5月に代かきすると、水田で眠っていた水田雑草が一斉に発芽するため、除草剤を使わざるを得ないが、館野さんは雑草が生えるままにしている。それによって発生する雑草の種類を知るとともに、多く発生させれば当年の雑草種子の埋蔵量が減る効果もある。

代かきでトロトロ層

これから雑草を生やす水田これから雑草を生やす水田

代かきは2回ないしは3回行う。1回目は雑草や稲わらなど田面の表層に鋤き込み、2回目は鋤き込んだ有機質の分解を促すための酸素供給で、3回目は分解した有機質と微細土壌粒子によってトロトロ層を形成させ、層状に堆積させる。ただし有機物が少ない水田や秋の耕起で稲わらの分解が十分進んだ水田は2回の代かきでもよい。
トロトロ層とは、クリーム状となって土を水の区別がつかない状態のことを言い、5月の入水前に生えた緑肥となる雑草は、約1カ月水張りすることで分解し、土壌菌が発生する。その過程で、生成するアルコールや有機酸などが雑草の繁殖を抑えるとともに、有機物をエサにする小動物が大量に発生し、彼らが動き回ることで雑草の発芽がさらに抑えられる。

代かき時の水位も雑草の発芽に影響する。水深5センチほどの深水にすることでトロトロ層ができる。ドライブハローで攪拌された水田土壌は重い粒子からゆっくり沈降し、次に吸水した雑草の種子が沈み、その上に軽い腐敗有機質や微細な土壌粒子が覆うことでトロトロ層ができる。トロトロ層がなくなると雑草は再び発芽するので、代かき後はもちろん、田植えから2週間くらいは田面土壌を露出させないように水管理する必要がある。
雑草のなかでもっともやっかいなのはヒエだが、それも深水管理で防ぐ。ヒエは最初の代かき後に必ず発生するので、その時、田植えせず、約10日後に2回目の代かきを行い、その後深水管理する。その後も稲の生育に併せて深水管理すると完全に除去できる。ヒエは発芽しても水中では7センチほどしか伸びず、その間水面に出ないと枯れるか浮かんでしまう。そのため10センチの水位を2週間続けると、ヒエの発生を防ぐことができる。

水生動物が水かき

また雑草の多くは光を感じて発芽する。このため田植え後は、光を遮断するため水を濁らせる。これには農場の名前にもなっているカエルやミミズ、ヤゴなど水生動物が一役買っており、館野さんの水田では、オタマジャクシの段階で中干ししないよう水管理している。
館野さんは、有機農業技術について、虫と菌、雑草の3つを増やすことだという。「普通の農家は草をどうやって減らすか考えるが私は真逆。いつもどうやったら草が増えるか考えている」という。つまり、雑草の性質を利用し、肥料を入れなくても雑草と共生している微生物を養分に稲が育ち、生き物が害虫を食べて稲を守る農業を目指すというわけだ。

訪問した10月末、館野さんのほ場には、一部、育苗に使った水田の稲と、小学生の農業体験のはざかけした稲が残っていたが、水田では何も作っていない。有機質になる雑草ができるだけ生えやすいようにしている。

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