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【全農 23年産米 生産・集荷・販売方針】(1)適正米価と需給均衡へ 計画生産進め理解醸成2023年3月24日

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JA全農はこのほど2023(令和5)年産米生産・集荷・販売基本方針を決めた。23年産では需給均衡に向けて国の政策支援も活用し、需要に応じた計画生産を継続するとともに、JA・担い手対応を強化し連合会取扱数量の反転をめざす。また、生産資材価格の上昇をふまえ適正な米価形成と消費拡大について消費者への理解醸成に力を入れる。米穀部の金森正幸部長へのインタビューをもとに概要をまとめた。

JA、担い手 後押し 米をめぐる状況

全農米穀部 金森正幸部長全農米穀部 金森正幸部長

22年産主食用米の生産量は前年に比べて▲31万t、▲4%となっており、需給は緩和基調から均衡基調へと改善している。

JA・連合会の集荷数量は、生産量の減少に加えて、生産者直売が増加したことなどから減少し、とくに連合会集荷数量は前年比▲10%と、生産量の減少率以上に落ち込む見通しとなっている。

一方、販売契約は順調に積み上がっており、2月末速報値で147万tと前年を上回っている。事前契約分も含めて考慮すると、未契約分は16万t程度で昨年の半分ほどになっており、需給状況の改善を反映した動きになっている。

販売実績は、22年産は2月末速報値で前年比98%となっているが、これは21年産の古米を昨年10月末に40万tほど持ち越したことから、取引先が古米を優先して使用していると考えられる。今年10月末の持越数量は需要動向によって変動するが、25万t程度になると見込まれており、かなり減少する見通しだ。

販売価格は、農水省公表の1月相対価格で前年から1000円ほど回復しているものの、海外での原料価格高騰にともなう肥料・燃料価格の高騰で生産現場は厳しい状況が続いている。

農水省公表相対価格(令和5年1月)

【図2】農業物価指数の推移

他方で、多収米による契約栽培は、22年産では目標の4万tに対して6・3万tの見込みとなっている。また、実需者直接販売は目標どおり取扱数量の80%、買取販売も目標どおり同60%となっている。

こうした取り組みをふまえて、▽需給改善を確実なものとするための需要に応じた計画生産の継続▽生産者・JAとの関係の再構築による連合会取扱数量・シェアの拡大▽資材等生産費の上昇を踏まえ再生産可能な米価格への理解醸成への促進――を23年産に向けた課題とした。

重点取り組み事項

23年産米の取り組み方針は、▽需給均衡に向けて国の政策支援も活用し、需要に応じた計画生産を継続するとともに、JA・担い手対応を強化し連合会取扱数量の反転をめざす▽資材価格の上昇を踏まえ、適正な米価格の形成と米の消費拡大について消費者への理解醸成をはかる▽生産、流通、加工・消費を取り巻く事業環境変化が進むなか、各段階において対応する施策に積極的に取り組む、とした。

そのうえで、重点取り組み事項として確実な需給改善に向けた五つの取り組みを決めた。

一つ目は計画生産への取り組み。主食用米への作付け回帰が生じないよう中央会や地域・県域の農業再生協と連携し需要に応じた生産を継続する。

二つ目は水田活用米穀等の作付け提案。飼料用米、加工用米、米粉用米など品目ごとに需要動向を踏まえて目標数量を90万tと設定しJAへの推進をはかっていく。飼料用米については、専用品種への転換に向けた種子増産に取り組むとともに、転用種子・自家採種での取り扱いに係る課題の洗い出しと対応策検討をすすめる。

三つ目は生産コスト低減。営農・資材部門と連携して生産コスト低減につながる提案に取り組む。移植から直はに切り替えることによる労働時間の減少や、自動給水機を活用した水管理の大幅な軽労化など、JAと一緒に担い手への提案を行う。

四つ目は連合会取扱数量の拡大。既存の生産者に加え、JA未利用・低利用の担い手との関係の再構築をはかり、連合会取り扱い目標の223万t(主食用米)の確保をめざす。 

5年産連合会水田活用米穀の取扱目標数量

【表2】5年産米 数値目標

五つ目は適正な米価格への理解醸成。資材価格の高騰が長期化するなか、新聞広告等を通じて、3月に改めて米生産の現状と米消費拡大の重要性を消費者に直接訴求する。

【図3】5年産米取り組み事項【図3】5年産米取り組み事項

【全農 23年産米方針】(2)多様性、環境に配慮 へつづく

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