【全農 23年産米 生産・集荷・販売方針】(2)多様性、環境に配慮2023年3月24日
今回の基本方針では「今後の事業環境変化に対応する16の取り組み」も決めた。
【全農 23年産米方針】(1)適正米価と需給均衡へ 計画生産進め理解醸成 からつづく
事業環境変化16対応
【生産対応】
①子実トウモロコシなどの作付け提案
生産者の経営安定と食料安全保障の観点から新規作物も含めて用途・作物別のバランスをとりつつ、地域実態と需要に応じた生産に取り組む必要がある。22年度から宮城県のJA古川等と連携して水田輪作作物となる子実トウモロコシの大規模実証試験に取り組んでおり、23年度についても充実・拡大を図る。
②新品種開発・種子確保に向けた法人との連携
ここ数年、全国複数の産地で多収良食味の新品種の栽培試験を行ってきており、早ければ今年の品種登録をめざしている。品種登録ができれば全農オリジナル品種によるオーダーメード米による栽培が23年産から可能となる。
この新品種をはじめ多収品種等の種子の安定的な生産と供給体制の整備のため、種子産地や種子生産法人等との関係強化に取り組む。
【表3】新品種の特徴
③業務用向け契約栽培の拡大
これまでも推進してきた業務用向けの契約栽培を増やす。JA低利用・未利用者も含めて生産提案を継続して行い、複数年契約など長期安定的な取引を拡大する。担い手への提案にあたっては総合的な提案が必要になるため、営農(TAC)・資材部門と連携して多様なニーズに対応する。
【図4】業務用向け契約栽培の拡大
④生産者・JAにおける業務標準化と効率化
JAと生産者間の出荷契約締結業務の合理化に向けた出荷契約システムについて、23年産では試験参加JAの拡大をすすめる。また、農業倉庫の自動温湿度管理システム「パナミエール」の推進と拡大をはかる。
農産物検査の機械鑑定については、現地の実証を通じて課題の確認と対応策の検討を進める。
【流通対応】
⑤実需者直接販売の拡大・⑥事前契約の拡大・⑦買い取り販売の拡大
実需者と直接結びついた取引を拡大し、営農と価格の安定を図る。23年産では取扱数量の85%を実需者直接販売とすることをめざす。事前契約は複数年契約を積極的に積み上げるとともに、契約締結分についてJAと連携のうえ実需者に確実に供給する。
買い取り販売は取り扱いの65%とすることを目標としている。早期精算のための県域共同計算からの買い取りについて拡大をはかる。
【図5】実需者と結びついた取引イメージ
⑧産地インフラの整備
全国的に老朽化が進む産地インフラ(農業倉庫など)についてブロック域・県域で施設配置の将来像を検討し、投資の費用対効果も踏まえつつ計画的に広域集出荷施設を取得していく。また、建築資材コストが高騰していることから既存施設をリノベーションして保管スペースを確保する取り組みが出てきたことから、それらの事例の横展開を行う。
⑨物流改善
全農統一フレコンは生産者の経済的負担が少ないことから、23年産では30万枚、30年産までに全量切り替えをめざす。全農パレチゼーションシステム(紙袋のパレット輸送)については、その取扱比率を23年産で70%、24年産では80%とすることをめざす。さらに物流の2024年問題(時間外労働時間に上限が設定される)を見据え、計画的集約保管・トラック中継輸送・海上輸送の拡大、JRコンテナ貸切輸送に向けた検討も進める。
【図6】物流改善の取り組み
【加工・消費対応】
⑩パールライス事業再編・⑪精米販売の拡大
全農パールライスと県域パールライス卸との事業統合に向けた検討を継続して進めるなど体制整備を推進する。 パールライス卸の23年度の精米販売は65万tをめざす。家庭用向けでは営業開発部やパールライス卸と連携した宅配・ネット販売事業者との取り組みなどを進めるほか、外食用向けでは資本・業務提携先との多収品種の複数年契約の拡大などに取り組む。
⑫米加工事業の強化
「パックごはん」事業については、JA全農ラドファの「ガス直火炊き」や「シャリ切り」など製法にこだわった「商品力の高さ」を武器にNB商品の拡販、業務用向け、輸出向けの販売拡大に取り組む。
米粉に対する消費者の関心の高まりや、輸入依存穀物の国内生産への切り替えの必要性を踏まえ、米粉用米の生産と需要の拡大に取り組む。また、日本米粉協会の事務局(全中・全農)機能も発揮しながら、情報発信も強化する。
⑬輸出用米の拡大
輸出用産地づくりや諸外国での新規販路の開拓などをすすめ、シンガポール、香港等を中心にJAグループが一体となったサプライチェーンの構築に取り組む。
⑭米の消費拡大
米の消費拡大に向けてはSNSも活用した広報・宣伝活動を強化する。昨年10月には「農協ごはん」を使った「パックごはんレシピ」の発信が大きく注目された。
また、昨年12月には企業や団体、行政、大学などが業界・業種の垣根を超えて参加した「おコメ食べて笑おう」プロジェクトを立ち上げた。これから参加団体と連携し米消費の拡大や一次産業・地域を支援する取り組みを展開していく。
【環境対応】
⑮環境負荷軽減の取り組み
水田からのメタンガス排出抑制に向けた取り組みとして、収穫後に稲わらをすき込む秋耕に全国的に取り組み、JAに対し25年産までに栽培暦、栽培記録簿に秋耕を記載するよう推進する。また、26年産までに環境負荷軽減米穀の生産・流通の認証制度の構築をめざす。
さらに、全農グループが取り扱う精米袋や米関連商品の包材について脱石油由来プラスチック素材への切り替えに取り組むほか、廃棄が多いもみ殻配合紙の原料など新規用途への供給拡大に取り組む。
【図7】環境負荷軽減に向けた取り組み
⑯環境に配慮した生産・流通
生産者・JAや米卸の協力を得ながら、環境に配慮した持続可能な米穀の生産・流通体制の構築をすすめる。2030年までに取扱数量の全量を秋耕など環境負荷低減米穀とすること、フレコン取扱数量の全量を全農統一フレコンに取り組むこと、24年までに紙袋輸送数量の80%を全農パレチゼーションシステムとすることでCО2の大幅削減をめざす。
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