4割増収のパン用小麦「せときらら」 農研機構2013年10月15日
農研機構は製パン性にすぐれたパン用小麦品種を新開発した。日本めん用の小麦品種「ふくほのか」から、製パン性を高める3つの遺伝子をDNAマーカー(※1)によって導入した「せときらら」で、従来の品種より収量が約4割多い。
温暖地のパン用小麦は、従来「ニシノカオリ」や「ミナミノカオリ」などが栽培されている。いずれも収量が低く、製パン性が低いなどの問題があり、輸入小麦に及ばない。また赤かび病や穂発芽に弱い。
「せときらら」は、中国151号(「ふくほなか」)にグルテンを強くする高分子量グルテン遺伝子、グルテンの進展性を高める低分子量グルテン、および種子を皇室背にする遺伝子を導入のするための交配を行い、DNAマーカーによって選抜した。
「ニシノカオリ」より出穂期が2日早く、成熟期は同程度の早生の品種で、収量は4割多く、「ふくほのか」と同じく多収品種。
また、製パン作業性にも優れ、パン比容積(※2)やパン評価点が高く、製パン性は「ミナミノカオリ」、「ニシノカオリ」よりも優れる。瀬戸内海を中心とした温暖な地域で、きらきら輝くような品種として愛される小麦になることを期待して名づけられた。
(※1DNAマーカー=目的の遺伝子をもっているのかを効率的に調べる方法の一つ)
(※2パン比容積=パンの堆積をパンの重量で除した値。値が高いほどふっくらしたパンになる)
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