稲のことを稲に聞く 東京農大が「こめプロジェクト研究」コメの機能を解明し消費増へ2021年11月26日
東京農業大学は11月22日、「こめプロジェクト研究」のキックオフシンポジウムを開いた。このプロジェクトは食料としてだけでなく、環境、健康問題に関わるコメを総合的に研究し、
減少し続けるコメの消費に歯止めをかけ、拡大させようというもので、5年以内の成果を目指す。
多くの可能性を秘めた稲
シンポジウムでは、東京農大の江口文陽学長が、「初代学長の横井時敬先生は『稲の事は稲に聞け、農業の事は農民に聞け』と言われた。農大はコメと深い関係にある。日本の食料自給率37%という低さのなか、コメを科学的に解明し、その機能を明らかにして消費者にたくさん食べていただきたい」と、プロジェクト研究に期待を込めた。
「こめプロジェクト研究」は、①新たな品種(酒米を含む)について(土壌・肥料・栽培を含む)、②コメの機能性(新しい製品開発を含む)について、③新しい就農システムや流通システムのモデルを提案し、社会実装を目指すーの3つの目標を掲げ、それぞれプロジェクトチームをつくって研究し、5年以内に成果をあげるとしている。
新たな品種の研究プロジェクトでは、低米価でも持続的に発展できるよう効率的な水田農業システムの確立をめざす。そのためにはコストの削減が課題で、作業効率の向上と農地の集積が必要。プロジェクトでは、この二つの目標達成を目指す農地政策が思うように進まない要因の解析を行う。このほか大規模水田経営における担い手育成システムとコメ品種の選定、機能性情報および食農教育情報を加味したコメの商品設計による消費の拡大などを研究課題としてあげる。
コメの機能性についての研究プロジェクトでは,良食味化・多収化を目指した「鉄栄養強化イネ」新品種の育種と栽培法の確立を目指す。近年、日本では女性の鉄欠乏性貧血が増加しており、その要因は食生活習慣の変化による鉄摂取量の低下と考えられる。
東京農大では、ウルチ米とモチ米を交配し、鉄栄養強化型の系統を作出しており、現在品種登録のための圃(ほ)場調査の段階にある。今後、施肥体系、安定生産のための栽培管理用、収穫適期の策定などが課題となっている。
また、社会実装化の研究では、東京農大で育種した「鉄強化米」を中心にその機能性や有効性、安全性について解析し、企業とコラボしながら商品化をめざす。このほか米タンパク質や玄米の機能性の評価、非アルコール性脂肪肝を抑制する白米や玄米に含まれる有効成分の探索などを行い、新規素材としてコメの利活用法を研究する。
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