【農協協会 JAの米実態調査 23年産米・6】ドローン利用進む 中干し期間延長 実施面積平均74%2024年9月3日
(一社)農協協会が全国各地のJAの協力で実施している「JAの安心・安全な米づくりと防除対策について」の2024年度調査結果(調査対象は2023年産)がこのほどまとまった。その調査結果から今回は米の特別栽培への取り組みなどをまとめた。
直播の普及を見込む
調査では各栽培技術の普及面積と5年後の推定面積を聞いた。
23年産での移植栽培(慣行栽培)は全国平均で2148haで5年後に2004haへと6.7%減少する。北海道は1816haが1760haへと3.1%減少する。東日本は3000haが2763haへと7.9%減少し、西日本は1438haが1348haへと6.3%減少するという見込みだ。九州は1698haが1639haへとやや減少する。
一方、移植栽培でも疎植栽培は増える見込みが示された。全国平均では1JA当たり390haで主食用作付面積1JA当たり全国平均2110haのうち、18.5%を占めている。それが5年後には439haに増え21.3%を占める見込みだ。5年後の増加率を地域別にみると北海道は45%、東日本は2.2%、西日本19.6%、九州は68%と地域差が大きい。
また、密苗・密播など高密度播種育苗栽培も増える見込みだ。全国平均では1JA当たり297haで主食用作付面積の14.1%を占めている。それが5年後には378haへ増え18.3%に高まる見込みだ。5年後の増加率を地域別にみると、北海道は10.3%、東日本は31.7%、西日本は17.6%、九州は15.2%となっている。
その他の栽培技術では湛水直播と乾田直播はともに増える見込みが示された。全国平均で湛水直播は42haが58haへと38.1%増、乾田直播は同79haが116haへと46.8%増となる見込みだ。
一方で直播の普及課題としては「苗立ち、発芽が揃わない」54%、「雑草防除技術が確立されていない」46%、「新たに機械を導入しなければならない」40%、「水管理に手間がかかる」などが多く指摘されている。
ドローン散布88%
農地集積が進むなか、省力化も課題となっており、調査ではドローンの活用の実態も聞いた。
JA管内でドローンを使って農薬散布をしていると回答したJAは88%となった。昨年の83%からやや増えた。北海道と九州は95%となった。
JA管内でドローンを所有している農家数の全国平均は18.4軒となった。一方、JAがドローン散布などを請け負うサービスの提供も課題となっているが、ドローン散布を請け負っていると回答したJAは全国で37%となった。ドローンで散布する農家の増加を見込むJAは85%となった。
ドローンの利用法では農薬散布が95%ともっとも多いが、生育状況の確認や施肥時期・収穫適期の予測(9%)、病害虫の発生モニタリング(4%)などにも利用されている。
特別栽培 足踏み
使用農薬の成分数や散布回数を制限した特別栽培米への取組みを聞いた。「成分数の制限」に取り組んでいるJAは59.9%、「散布回数の制限」に取り組んでいるのは0.5%、その両方に取り組んでいるのが10.9%となった。
23年産米での取り組み面積は全国平均で1JA当たり335ha。北海道546ha、東日本485ha、西日本138ha、九州156haだった。3年後の予想は「増える」が14%、「減る」が15%で「現状と変わらない」が69%で栽培面積は伸び悩むと見込まれている。
特別栽培での「成分数」は全国平均で8.8となった。ちなみに慣行栽培では17.3成分となった。特別栽培での除草剤、殺虫・殺菌剤の散布回数は全国平均で5.3回となった。
特別栽培について現在の散布回数で満足な防除ができているかを聞いたところ、もっとも多かったのは「年によって病気、害虫の発生頻度が異なるため規定の防除回数では十分に防除できない年がある」が54%ともっとも多く、「現在の回数で十分防除できている」は27%だった。また、「使用できる回数が少なく、毎年品質を保つのに苦労する」が15%だった。
中干し期間の延長
調査ではJクレジット制度への対応として、中干し期間の延長への取組みを聞いた。
JA管内で中干し実施面積の全国平均は74%。中干し実施期間は「7日以内」が49%、「8日~14日以内」が44%、「15日以上」が7%となっている。
3年後に中干し期間延長に取り組んでいると予想しているJAは28%。北海道は45%、東日本は38%、西日本は17%、九州は16%となった。
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