米価下落に不安の声 生産者委員 食糧部会2025年9月19日
来年6月末の米の民間在庫量を198万t~229万tと見込んだ2025/26年主食用等の需給見通しが示された9月19日の食糧部会では生産者委員から米価下落への不安や政府備蓄米の買い入れを求める声が相次いだ。
東京・霞が関の農水省で開かれた食糧部会
2026年6月末の民間在庫量が229万tとなれば2002年以来の過去最大の在庫量となる。農水省はこの数字について、米取引関係者に「25年産米は足りなくなるのではないか」との不足感が拭えないなか、「冷静に対応していただくメッセージになる」としている。
しかし、生産者委員は米価下落を懸念する。ファーム菅久の菅原紋子常務は「輸入米も入り、増産で在庫増。価格が下がることが不安」と話し、AGRIKOの小林涼子代表は「備蓄米放出で農家は不安になっている。新米が出るなか備蓄米が売られていて、今年は売れ残るかもという声も聞く」と周囲の農家の声を伝えた。また、自身の農作業も雨続きで稲刈りがまったく進まない状況で焦りもあると話した。
山形川西産直センターの平田勝越社長は、民間在庫が220万t台となった2014年産は概算金が60kg8500円だったと話し、生産原価を割るような暴落が起きれば産地に「決定的なダメージを与えることになりかねない」として政府備蓄米の運用を見直して「フレキシブルに買い入れができないか」と提起した。
一方、新米は集荷競争で価格は高く5kg4000円台の銘柄もあるなど「消費者と合意できる水準は超えている。産地としても米価は高すぎる」と話し、「枠外輸入米が入ってくる米価水準は喜べない水準だ」と述べ、枠外輸入量の需給への影響も懸念した。
高い米価で米穀店の経営も苦しい。シブヤの澁谷梨絵代表取締役は米が仕入れられなかった昨年のような混乱はなく備蓄米も順調に売れているが、25年産新米は高く「売れ行きが鈍って厳しい。農家が再生産できることが大事だと顧客に伝えているが、小さな米穀店では資金が苦しく廃業を考えているところある」と話した。これまでの米価が安すぎたという理解も関係者にある一方で、とくに業務用米では国産米の使用は「限界だとの声もあり」外国産米への切り換えを考えているところもあるとして、適正な米価を考える必要性を指摘した。
山波農場の山波社長は増産について「何を増産するのか」が課題だとして、今年産は主食用米への転換で非主食用米が減っていることに触れ「需要に応じた生産からかけ離れていくこと懸念している」と指摘した。農水省は2030年に818万tの米生産量を目標としているが、主食用以外も含めた増産であり、米粉など需要を伸ばすことも課題と強調する。
JA全中の藤間則和常務は180万tから200万tが適正水準とされる民間備蓄量より多く見込まれることから「需給緩和が想定される。備蓄米の買い入れ、買い戻しの検討を」と要望するとともに、「需要に応じた生産が大前提だ」と強調した。
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