L型非定型BSEの経口伝達-世界で初めて確認 農研機構2017年1月23日
農研機構は1月18日、L型非定型BSEが牛に経口的に伝達されることを世界で初めて確認したと発表した。これまで分かっていなかった非定型BSEの伝達特性が明らかになったことで、引き続き飼料規制など適切なリスク管理が必要になっている。
異常プリオンタンパク質の蓄積によって脳に空胞ができてやがてスポンジ状となり、脳機能障害で死亡するBSE(牛海綿状脳症)は、BSE罹患牛を原料にした肉骨粉を含む飼料を与えたことから感染が広がった。そのため飼料を通して経口的に牛に伝達することを防ぐため、肉骨粉等の動物性タンパク質の給与を禁止する飼料規制が行われた。
わが国でも2001年9月にBSE罹患牛が確認されたが、飼料規制の実施により03年以降に出生した牛からはBSEは確認されておらず、13年に国際獣疫事務局(OIE)により「無視できるBSEリスク」の国と認定されている。
一方、03年以降に定型BSEとは異なる性状の非定型BSE(H型とL型)が世界で110例ほど確認されており、わが国でも06年に14歳の老齢牛でL型非定型BSEが確認された。しかし、非定型BSEに関する知見は少なくリスクの推定が困難となっていた。
農研機構は国内で確認されたL型非定型BSEの材料を活用して研究を進めており、今回は経口的に伝達されるかどうかを調べた。
農研機構では牛に大量のL型非定型BSEプリオン(発症牛の脳50g)を経口投与した。その結果、16頭中1頭で7年4か月の潜伏期間を経て伝達が確認された。今回の実験で発症した牛は、非定型BSEの脳内接種で認められる元気消失や頭を下げる行動、食欲減退などの特徴的な所見は明確ではなく、起立不能となった後、死亡したという。
今回の実験ではL型非定型BSEの経口伝達には定型BSEにくらべて大量投与と長期間の潜伏期間を要することが示されたことから、通常の飼育環境では伝達されるリスクは極めて低いと考えられる。ただ、農研機構は引き続き飼料規制などリスクに応じた管理が必要だとしている。
この成果は米国科学雑誌「Emerging Infectious Diseases」2017年2月号に掲載された。
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