3割以上が「うまくいかなかった」 畜産家の事業承継調査2020年8月4日
日本の畜産を応援するWEBマガジン「どっこいしょニッポン」を運営する日本全薬工業(株)は畜産家の事業承継に関する実態調査を行った。調査から、事業承継がスムーズにいかなかった原因が、「親子だからこそ存在する確執や感情が障壁」であることがわかった。
同調査は、3月26日~4月9日にフェイスブックを利用し、どっこいしょニッポンをフォローしている18歳以上65歳以下のユーザーなど180人から回答を得た。
調査によると、「事業継承はスムーズにいったか?(もしくは、いきそうか)」という問いに対し、65%は「スムーズにいった」と回答し、35%は「スムーズにいかなった」と回答。
「事業継承がスムーズにいかないと思う理由」を聞くと、1位「経営理念が合わない」、2位「いつまでも子供扱いをする」、3位は「完全に経営権を渡さない」、4位「身内だから素直になれずぶつかる」、5位「作業者とし扱われない」の順。また、「事業継承時の継承元の年齢」についての質問からは60歳から69歳がボリュームゾーンで、一般的に定年を迎える頃が事業の譲り時と考える継承元が多いことがわかった。
◆継承者の意見は以下の通り。
「経営にプラスになる投資よりも、自分の趣味の延長で投資をする傾向にある」(33歳/北海道・酪農)
「人手の重要性やICTの活用などの利点に理解を示さず、「自分が牛を見ていれば大丈夫」の一点張り。いざ導入してみると良さを理解するが、導入までが長い道のり」(42歳/酪農)
「鶏の飼い方等、今の世代とは全然違うのに、昔のやり方を押し通してくる」(24歳/養鶏)
「受精卵移植を導入しようと思った時に、否定された。世代の温度差を感じた」(35歳/酪農・肉牛)
「法人化への価値観の違い。雇用や6次化を見越しての検討も「見栄」の一言」(31歳/群馬県・酪農)
「任せると言っておきながら任せてもらえず、購入した商品を返品された」(30歳/酪農)
「繁殖農家は、肥育農家が求める血統を育てる必要があるが、安いからという理由で昔の牛やあまり良くない血統を使うのはやめて欲しい」(25歳/沖縄県・肉牛)
「自分は規模拡大を考え計画しているが、現社長(父)は現状維持の考えであり、反対されている。対等な話し合いにならない」(28歳/酪農)
「頭ごなしに意見を否定せず、もう少し、子供の意見にも耳を傾けて欲しい」(37歳/肉牛・養豚)
「親子だから家の仕事はタダでやって当たり前、自分たちが死んだら全部継承するんだから、という姿勢。自分も家族を養わなければいけないから、きちんと給料と休みが欲しい」(50歳/岩手県・肉牛)
「過去にも収入のない生活は不安だという話をしたことはあるが、話し合いはいつも続かず、それでも続けようとすると癇癪を起こす始末。親世代への継承セミナーでもやって欲しい」(50歳/宮城県・養豚)
「従業員を雇ったが、労働基準等があることを理解できず、家族と同等に、もしくはそれ以上に働くのが当然だと思っていたり、見下したりしていた。結局その従業員は辞めてしまい、少しは反省したようだが、今まで家族労働でやってきて社会を知らない両親にはなかなか雇用は難しい様子」(37歳/群馬県・酪農)
◆継承元の意見
<継承に問題がある人の声>
「搾乳の仕方、金銭の感覚、継承者の責任感のなさに不安を感じる」(65歳/北海道・酪農)
「こちらに相談せずに新牛舎の計画を立てていて、計画が進んでから「何かあれば言え」と言われたが、そこまで進んでいたら口出しできない状態だった」(50歳/岩手県・酪農)
「息子のやり方昔ながらのやり方と違うのが気に食わないし、それで成功するのが尚気に食わない。さらに成功者の息子にスポットライトが当たり、全国的に有名になるのが尚尚気に食わない。ということで、そんなに気に入らないのなら退職することにしたら、やっと事業を譲る気になった」(80歳/宮崎県・養鶏)
<スムーズに継承できたと回答した人の声>
「スムーズに継承できた」という回答者からは、「足りない部分を補う関係で助かっている。体も動くし、センスも良い」(32歳/肉牛・養豚)
「お互い得意な分野を尊重しあって、その分野ごとに責任を持つことと、みんながわかるように"見える化"、経営目標の掲示が大事だと思う。第一感情で話すとうまくいかないので、家族経営協定を定めたり、第三者の目を入れて第二感情で話を進めることも大切(34歳/岩手県・酪農)
事業継承時の継承元の年齢は?(予定も含める)
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