酪農家の離農加速 東海・近畿は1年間で1割減 飼料高騰で収支悪化・離農決断も 農水省まとめ2023年3月13日
全国の酪農家の戸数はこの1年間で全国で約6.8%減り、東海地方と近畿地方では1割以上の酪農家が離農していることが農水省などの調べで分かった。購入粗飼料への依存度が高い地域を中心に、飼料価格高騰による収支悪化で経営を断念するケースもみられ、改めて政府の支援策を求める声が高まりそうだ。
酪農家全体の約9割が生乳を出荷している生産者団体の調査をベースに中央酪農会議が集計した「受託農家戸数」データを基に農水省がまとめた。
調査結果によると、今年1月時点で指定団体に出荷する全国の農家戸数は1万1113戸で、前年より809戸(6.8%)減少した。それ以前の令和3年1月から4年1月にかけての減少率は4.3%にとどまっており、離農が加速している状況がうかがえる。
特に東海地方では、今年1月は529戸で前年の594戸から11.1%減少、近畿地方も311戸で347戸から10.4%減少し、2つの地域で農家戸数の減少率が10%を上回った。農家戸数が最も多く、全国の4割以上を占める北海道は4925戸から4707戸と4.4%の減少だった。農水省によると、例年、酪農家戸数の減少率は、全国で4%程度、北海道では2~3%程度という。
同省が規模別の収支状況を分析したところ、北海道で約32%を占める搾乳牛が50頭未満の農家と、都府県で約44%を占める搾乳牛が30頭未満の農家では、家族労働費が生産コストに占める割合が高く、乳代で労働対価が十分賄えていない経営が多いと思われる状況と指摘している。
また、都府県で200頭以上を飼育する農場は、購入粗飼料への依存度が相対的に高いことから、生産コストに占める飼料代などの割合が比較的高く、乳代で生産コストを賄えていない農場もあるとしている。
また、各県の畜産協会など各地域の関係者から聴き取りを行ったところ、離農率の高かった東海地方では、高齢や後継者不在のほか、飼料価格高騰による収支悪化で離農を決断する事例があった。近畿地方では、高齢で後継者不在の酪農家は借金が増える前に離農を決断する傾向が見られたという。
酪農をめぐっては、ウクライナ危機などによる飼料価格の高騰に生乳価格の伸び悩みなどでかつてない危機的な状況と指摘され、岸田文雄首相は2月の物価・賃金・生活総合対策本部で、飼料高騰対策などの支援策を講じるよう野村哲郎農相に指示をしており、近くまとめられる見通し。
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