「酪農家の98%赤字 緊急支援なければもたない」 酪農家らが国会議員に直接訴え2023年3月14日
飼料高騰などで酪農が危機的な状況に直面する中、各地の酪農家らが国会議員に直接、緊急支援を求める酪農合同ヒアリングが3月13日、衆議院第2議員会館で開かれた。主催した団体が行った調査では、98%の酪農家が赤字経営と回答しており、ヒアリングでは「1頭10万円の緊急支援が必要だ。早急な現金給付がなければ酪農がつぶれてしまう」と迅速な対応を求める声が相次いだ。
酪農家らが緊急支援を訴えた国会議員へのヒアリング(衆議院第2議員会館で)
酪農関係者でつくる「安全安心な国産牛乳を生産する会」などが主催した。はじめに同会の加藤博昭さんが、同会が12月に酪農家に行った調査で98%が赤字で、27%がこの状況が続けば辞めたいと回答していると述べ、「飼料代だけで乳代がなくなってしまう状況も生まれている。切羽詰まった状況であり、とにかく緊急の現金支援が必要がなければ本当に酪農家がつぶれてしまう」と酪農の現場が危機的な状況にあると強調した。
ヒアリングには北海道や関東の酪農家らが参加し、それぞれの思いを述べた。北海道で4500頭の乳牛を飼育する牧場を経営する小椋幸男さんは「飼料が2年前の2倍、化学肥料も2倍近く上がりほかの資材も一気に高騰して大変な状況になっている。子牛が生まれても昨年8月以降、価格は3分の1位まで下がっている。早めの支援をお願いしたい」と訴えた。
同じく北海道から駆けつけた井下英透さんは「現在、多くの仲間が生乳廃棄という辛い現実と向き合っている。自主廃棄と言われるが、だれが自分から生産物を捨てるのか。そのうえ生乳を運ぶ運賃や需給対策で生産者が経費を負担している現実がある。この厳しい状況をわかってほしい」と述べた。
さらに酪農家側からは、メーカーと指定団体との乳価交渉では、生産者の現状が反映されず古いデータが使われていることや、生乳を廃棄する農家には廃棄分の保障もないことなど、生産者に過大な負担がのしかっている構造的な問題を指摘し、緊急的な対応を求めた。
集会には、野党の衆参議員7人が出席し、酪農家らの訴えに耳を傾けたうえで意見を述べた。この中では、「統一教会問題のように与党も巻き込んで協議会をつくって全国的な問題にする必要がある」「とにかく時間がない中で、1頭10万円の現金給付による緊急支援を1点突破で取り組むべきではないか」などと早急な対応が必要との見解で一致、近く政府への要望や世論喚起などに向けて具体的な行動を取る方針を確認した。
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