牛用ワクチン「ボベラ」発売 ベーリンガーインゲルハイム アニマルヘルス ジャパン2023年11月21日
ベーリンガーインゲルハイム アニマルヘルス ジャパンは11月20日、牛ウイルス性下痢ウイルス(Npro及びErns遺伝子欠損1型・2型)生ワクチン「ボベラ」を発売。日本全国での展開を開始した。
牛用ワクチン「ボベラ」
「ボベラ」は、1年に1回の投与でBVDウイルス感染による臨床症状を軽減し、白血球減少を抑制。また、母牛から胎子への垂直感染を防止し、PI牛出生を予防できる、日本で唯一のBVD(1型・2型)生ワクチン。既存のBVD生ワクチンはPI牛の産出や流産を引き起こすため妊娠牛には投与できないが、「ボベラ」は、妊娠牛にも安全に使用できる日本初のBVD生ワクチンで、年1回の一斉接種により牛群全体の免疫維持が可能となる。
BVDは、BVDウイルスの感染によって発生し、感染すると、発熱・下痢、呼吸器症状がみられるほか、妊娠牛では流産、産子の異常など繁殖障害を引き起こす疾病で、家畜伝染病予防法で届出伝染病に指定されている。急性感染牛では症状は一過性で回復し致死率は5~10%と低いが、妊娠18~125日の母牛が感染すると、胎子はウイルスを生涯排泄しつづける持続感染(PI)牛となって産出される。
PI牛の最大の問題は、牛群内に潜み大量のウイルスを排泄し続けることで、発育不良や繁殖障害などにより牛群全体の生産性を大きく低下させるとともに新たなPI牛を産み出す感染源となること。PI牛の治療法はないため、早期に発見し淘汰することが推奨される。BVD対策には、PI牛の摘発・淘汰に加え、PI牛を農場内に持ち込まないこと、適切なワクチネーションにより新たなPI牛を生み出さないことが重要となる。
BVDウイルスは、インターフェロン誘導を抑制することで宿主の自然免疫を抑制し、宿主体内で効率的に増殖。「ボベラ」は、BVDウイルスにおいてその病原性に重要なNpro及びErns遺伝子をピンポイントで欠損させる、同社独自の2重欠損技術によりウイルスを高度に弱毒化し、ワクチン化した。Npro及びErns遺伝子を欠損させることにより、インターフェロン誘導の抑制(免疫抑制)が生じないため、妊娠の有無にかかわらず安全に使用でき、PI牛を予防する確かな効果が示されている。
ベーリンガーインゲルハイムは2015年に欧州で「ボベラ」を上市。これまでに世界20か国以上で計2200万ドーズ以上の販売実績がある。ベーリンガーインゲルハイム アニマルヘルス ジャパンの長谷部裕之社長は、「ボベラは、すでに市場導入されている欧州において、BVD清浄化に貢献しており、この革新的なワクチンを日本でもお届けできる。今後も、健康で安全な牛の育成と、日本の養牛産業の関係者や獣医師をさらに支援していく」とコメントしている。
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