牛のゲップによるメタンガス排出削減へ「カギケノリ」共同研究に参画 理研食品2024年5月23日
理研食品は5月20日、海藻スタートアップのサンシキ、高知大学(海洋植物学研究室 平岡雅規教授)との共同研究契約を2024年に締結。サンシキと高知大学が取り組む海藻「カギケノリ」の研究に参画した。サンシキはカギケノリを配合した飼料サプリメントの開発に取り組んでおり、高知大学の持つ種苗技術と理研食品の持つ陸上養殖の知見を活用して、早期の商品化を目指す。
タンク培養したカギケノリ
カギケノリは熱帯から温帯の海域に広く生息している、紅藻類に分類される海藻の一種。牛の飼料に0.2%混ぜて与えることで、メタンガスの排出が最大98%減少することが確認されている。
カギケノリを配合した飼料は、畜産による温室効果ガス排出量を削減する可能性を秘めており、世界のスタートアップ企業や研究機関がカギケノリの大量生産技術の確立を目指して研究を進めている。理研食品は、3者の取り組みにより、カギケノリの生産に革新をもたらし、畜産業界の持続可能性への貢献をめざす。
共同契約を締結した3者。サンシキ久保田氏(左)、
高知大学 平岡教授(中央)、理研食品原料事業部長 佐藤陽一氏
牛などの反すう動物の胃に存在する微生物は、消化分解と同時にメタンを生成し、それらは主にゲップとして大気中に排出される。メタンは二酸化炭素の28倍の温室効果があり、世界に数十億頭いるとされる反すう家畜によって排出されるメタンは、世界の温室効果ガス総排出量の約5%(CO2換算)を占めるとされている 。気候変動を抑制するため、一部の国では畜産業由来の温室効果ガス排出の削減目標が設けられるなど、解決策が求められている。
サンシキと高知大学はすでにカギケノリの培養技術の確立に成功。また、高知大学と理研食品は2018年から両者が参画していたJST-OPERAプロジェクトにおいて、緑藻ヒトエグサの陸上養殖を可能にする種苗生産技術を開発するなど、良好な関係を築いている。
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