医師不足解消を重点事項に 全厚連中期計画2013年3月12日
JA全厚連は3月8日、臨時総会を開き、25年からの第7次3カ年計画などを決めた。
◆農村部の医師研修義務化を
JA全厚連は24年度の損益として56億円ほどの黒字を見込んでいる。これは前期に比べて79億円ほどの大幅な減益になる。
奥野岩雄経営管理委員会会長は「医師や看護師の不足など事業環境が厳しさを増すなか、なんとか利益を確保できたのは現場の皆さんの努力のたまもの」だと感謝を述べつつ、医師不足などの課題解決に向けては「医師の育成には一定の国費が必要だ。一定期間は農村部での研修を義務付けるなどの制度改革を、引き続き国に対して訴えていきたい」と強調した。医師不足の解消については、中期計画でも重点実施事項として掲げた(本文下参照)。 来賓としては自民党衆議院議員の宮腰光寛氏(党の「農民の健康を創る会」会長)が出席。TPPについて「本当に日本の農産物や皆保険制度などを守れるのかどうか不安」だとして、保険制度については「公的保険制度の維持はもちろんのこと、混合診療の全面解禁の禁止、株式会社の病院経営への参入禁止もあわせて、初めて保険制度を維持したことになる」として、党が選挙公約に掲げた6項目を「なんとしても守る」と約束した。
(写真)
上:奥野会長
下:来賓としてあいさつする宮腰氏
◆重点実施事項は4点
厚労省は2025年に社会保障改革を実施するとしている。JA厚生連は昨年10月にこの2025年を見据えて「厚生連の長期ビジョン」を決めたが、今回の中期計画はこの長期ビジョンのスタートとして、そこで掲げられた課題の解決に向けての取り組みを主な内容としている。
重点実施事項としては、[1]医療計画や介護保険事業計画などを踏まえた保健・医療・高齢者福祉サービス提供体制の構築促進、[2]医師・看護師の安定確保、[3]厚生連の経営健全化、[4]JA厚生事業実施条件の整備、の4点を挙げた。
このうち、[2]については、首都圏の大学や看護師養成施設などに対して厚生事業への理解促進を図るほか、大学側が厚生連に医師を派遣するための条件をまとめたり、継続的に医師を派遣できる枠組みをつくることをめざす。
[4]については、DPC(診断群分類包括評価)対象病院の経営データなどを活用して農山村地域にふさわしい診療・介護報酬の改定のほか、現行の制度では厚生連が実施できないが地域やJAからの要望が強い福祉サービスを実施できるよう法改正に向けて取り組むことなどを挙げている。
(図は[2]医師・看護師の安定確保に向けたスキーム)
(関連記事)
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