JA出資法人の課題探る 全国交流会2015年12月11日
JA全中は12月9、10日、東京でJA出資型農業法人全国交流会を開いた。JA出資による法人は、地域農業の担い手サポートや農作業受託・機械リース事業などを目的に設立するJAが増えており、第27回JA全国大会でも取り組みを決議した。交流会では4JAが報告した。
岐阜県JAいび川は平成14年、資本金300万円(JA出資290万円)で有限会社サポートいびを設立。背景には、(1)農家の減少が進み、農地・農業を守る施策が急務だった、(2)転作作物の小麦・ダイス生産で、個々の農家の技術・取り組み姿勢にばらつきが大きく、品質向上のネックになっていた、(3)JAみずからが農業経営を行う体制づくりに取り組んでいたが、思うように進んでいなかったなどがある。
法人が対象とする利用権設定の農地受託は、全地域でなく、担い手や法人営農組織が不在のところをモデル地域として進めた。この際、全筆の提供を条件とし、条件不利地だけを受託して経営を圧迫することにならないようにした。
ただ、法人の事業拡大に伴い正組合員の減少傾向がみられる。このため、農地の出し手を家庭菜園にとどめるのでなく、「直売所などへ出荷するよう誘導し、JAとの関係強化をはかる施策が必要」という。
島根県のJAしまね出雲地区本部のJAいずもアグリ開発株式会社は、資本金3000万円(JA出資2960万円)で、平成?年に発足。経営理念に「モノづくり」「人づくり」「地域づくり」を掲げる。(1)実証・普及、(2)遊休農地・施設の利活用の促進、(3)新しい担い手育成のための雇用・研修を主な事業とする。
省エネ暖房機の試験や、新品種の栽培、飼料米の鉄コーティング直播、農の雇用事業による担い手育成や、インターンシップ実習などのよる研修生の受け入れなど、幅広い事業を行っている。
今後の課題として水稲・果樹・野菜の栽培面積拡大、それに向けた人員の確保、さらに栽培技術、経営者意識をもった人材(取締役)育成を挙げる。
高知県JA土佐れいほくの株式会社れいほく未来は、資本金3240万円(JA出資3000万円)で、平成23年にスタート。遊休農地解消のほか、ピーマン類、米ナス、アスパラガス、キュウリ、「土佐あかうし」など地域の主要品目の生産維持をその目的に挙げる。
大阪府に本社があり就農・移住を支援する企業(クックビズ㈱)と組み、「農作業体験インターンシップ事業を実施。26年度は44人を受け入れ、うち3人が土佐町に移住し、法人で働いている。
経営面で期待しているのは畜産事業。生産から出荷までを一貫して行い、将来は加工・販売を加えた6次産業化をめざす。
岩手県のJA江刺は平成24年に、資本金3000万円(JA出資2970万円99%)で㈱JA江刺グリーンファームを設立。リンゴ生産と野菜の育苗(ピーマン)を中心とする。江刺のリンゴは、昭和46年わい化モデル園設置事業から普及拡大してきた主要作目。地域ブランドの維持拡大を目的とする。
経営改善を通し、リンゴ生産の経営モデルづくりに努めているが、栽培は収入源が秋に限定されることから、「事業運営上、運転資金の確保が課題」という。
(写真)JA出資法人の課題でディスカッションする法人全国交流会
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