持続可能な農業・農村の実現で特別決議-JA全中総会2016年3月4日
JA全中は3月4日、東京都内で第62回通常総会を開いた。28年度の事業計画などを決めるとともに「持続可能な農業・農村の実現に向けた特別決議」を採択した。全中通常総会終了後、奥野会長らが、定例の記者会見を行った。
JA全中の奥野長衛会長はあいさつで取り組む課題として▽TPP対策を含む生産基盤の抜本的な強化、▽JAグループの創造的自己改革の実践、▽東日本大震災からの復興支援を上げた。
TPP対策については「現場から厳しい意見をもらった。切実な声を受け止め長期にわたる粘り強く息の長い抜本的な対策となるよう取り組む」と述べた。またJA改革には、食と農を基軸として地域に根ざした協同組合として農業者の所得増大、地域活性化に取り組み「組合員、さらに国民から役割を評価されるよう努力していく」と話した。 また、震災から5年目を迎える被災3県を2月に視察、「農地の復旧が進んでいる面もある一方、沿岸部の中山間地では営農と生活基盤の復旧が遅れていた。福島県では風評被害でいまだ農業の復興は道半ばであることを痛感した。引き続き現場の目線に立った支援、政策の実現に尽力していく」と述べた。
また、震災から5年が経過するが「多くの国民は、人と人との絆の大切さを忘れ自由競争を煽り、勝者と敗者が出ることを当たり前のことにしていないか、経済成長や金儲けだけ優先していないかと懸念している」、「福島では全量検査をしているにもかかわらずいまだ風評被害。人々のつらさや努力に対して国民は思いやりが足りないのではと怒りも持ちながら帰ってきた」などと話し、「相互扶助を基本とする協同組合運動こそ国民経済と社会の安定に貢献する。確信を持って協同組合運動を広めていく」と強調した。
来賓として森山農相が出席。新たな国際環境に向かうなかで「生産者の熱い思いをかたちにしていきたい」などと述べたほか、国家戦略特区での企業の農地取得について耕作放棄化などを防ぐために地方公共団体に所有権を移転する義務づけや、5年間限定とし、さらに特区指定を受けた地域のなかでもさらに限定して試験的に行うものであることなどと説明し理解を求めた。
総会は「持続可能な農業・農村の実現に向けた特別決議」を採択した。
決議では「TPPによるわが国農業への影響に対して生産現場には不安と懸念があり、政府は国会審議等において説明責任を果たすことが求められている」、「国際化が進展するなかでも、わが国は食料・農業・農村基本計画における食料自給率45%の政策目標を達成していかなければならない」ことを強調し組織として取り組む事項として▽創造的自己改革の着実でスピード感ある実践、▽将来を展望できる息の長い政策の確立に向けた政府・与党への提言、▽日本の食、農、協同組合の重要性をアピールし国民理解を醸成する運動の展開の3点を掲げた。
◆記者会見で復興への思い語る
総会後の記者会見でも奥野長衛会長は、2月に東日本震災被災3県の現地視察を行ったことに触れ、復興は「地区によって度合いが違う」ことを感じたと語るとともに、福島県特産の「あんぽ柿」では全量放射能非破壊検査しているにもかかわらず「流通が思うようにならず」被災以前のようには売れていないことを知り、「風評被害にハラが立った」。震災直後には「絆」といわれていたが「その絆という言葉はどこに行ったのか」と語るとともに、「3.11の被害を風化させないようにしていきたい」と語った。
また、比嘉専務から「東日本大震災からの復興に向けたJA全国機関の取組みについて」が報告された。このなかで比嘉専務は、全中・全農・JA共済連・農林中金・家の光・全国厚生連の具体的な取組みを紹介するとともに、福島県内のファーマーズマーケットでは、震災・原発事故が発生した平成23年は前年より売上げが2割落ち込んだが、26年は22年比15%増えている。風評被害は地元⇒東京⇒関西⇒海外と、被災地から「遠くなるほどきつくなる」と語った。
また、農地への企業参入についての質問に対して奥野会長は「企業の出資は49%となっており、大きな心配はない」とするとともに、「企業が入ってこれないようにJAが努力していくことが大事だ」と答えた。
TPP問題については、国会の議論で「細かいことが明らかになる。出てきたものに素早く対応して政策提案をする」と答えた。
(写真)第62回通常総会、記者会見を行う奥野会長
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