アフリカの協同組合で報告 日本で研修のリーダー 日本生協連2016年9月15日
日本生協連は9月6日、東京都渋谷区のコーププラザでアフリカのニジェール、タンザニアの協同組合についてのセミナーを行った。報告したのは同生協連が国際労働機関(ILO)と連携して、毎年行っているアフリカの協同組合のリーダーの視察・研修事業の視察者3人。野菜、協同組合銀行、酪農のそれぞれの分野でアフリカにおける協同組合の現状と課題について発表し意見交換した。
ニジェールについてはニジェール野菜協同組合連合CEO代理のアザム・タヒルさんが発表した。同国では人口の85%が農牧業に従事し、GDPの41%、タマネギを中心とする農産物総輸出額の41%を占める。政府は「地域経済を促進するための主要な方策として農業を振興するだけでなく、農村部の住民に高収入をもたらす」と位置づけている。
しかし水や土地など、天然資源に頼るところが大きく、この管理が課題となっている。それには活力ある協同組合づくりが重要で組織強化とサービスの充実が必要と指摘する。同国で協同組合が経営の全てを独自にできるようになったのは1990年代になってからで、現在、国内に約5万の協同組合がある。このなかで潅漑施設を備えた市場向け野菜栽培をベースとする同連合は、全国70余りの連合のモデル的存在。タヒルさんは「家族経営農場の持続的な改善によって会員がいかにして貧困から抜け出すか」が協同組合の課題だと強調した。
タンザニアに関しては、キリマンジャロ協同組合銀行ジェネラルマネジャーのエリザベス・マクワベさんとタンガ酪農協同組合連合会 エグゼクティブセクレタリーのアスマニ・マハディさんが発表。同協同組合は主力商品のコーヒーを預かることで、それを担保に必要な資金を貸し出すなど一般の銀行にできない事業を展開し、「金融サービスを利用する機会が少ないキリマンジャロ地域の組合員に既存あるいは新規の商品を提供することで農村市場に浸透している」という。
ただ、一層の協同組合発展のためには農業者のものの考え方を問題視する。協同組合は「福祉など営利以外の事業も必要だが、競争心も必要。まだまだ農民は社会的に見下されている」と、自主性の発揮を促す。またタンガ酪農協同組合連合会 エグゼクティブセクレタリーのアスマニ・マハディさんは「茶やコーヒなどタンザニアの農産物は日本でも消費が多い。このほかフルーツや切り花もある。日本政府や生協はもっとアフリカ投資して欲しい」と訴えた。なお報告者は「日本の協同組合の組織力に感銘した。特に組合員が自主的に協同組合と関わり活動していることが印象的だった」などと感想を述べた。
日本生協連によるアフリカの協同組合リーダーの視察・研修は2010年から始めた事業で、毎年3~5名を受け入れ日本の協同組合を学ぶプロジェクトで、今回は3名が8月29日から9月4日まで、日本生協連や全国労働金庫協会、JAたのふじ(群馬県)、JA佐波伊勢崎(同)、大泉生協病院(東京)などを視察した。
(写真)自国の農業の協同組合について報告するアフリカの協同組合のリーダー
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