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農協改革で第1回セミナー 課題の共有と意識改革へ 新世紀JA研究会 毎月開催し方策探る2016年10月12日

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 全国のJAの常勤役員らの自己研鑽と情報交換を目的とする新世紀JA研究会(代表=八木岡努・JA水戸組合長)は、10月7日、東京・千代田区のJAビルで「新総合JAビジョン確立のための危機突破・課題別セミナー」を開いた。政府が急ピッチで進めている農協改革について、その問題点と課題についての認識を共有し、自らの改革に向けて意識改革をはかろうというもので、全国から約100人のJA役職員が出席。講演と意見交換を行った。このセミナーはこれから毎月開く。

農協改革で活発に意見交換するセミナー セミナーは、新世紀JA研究会が今年7月に秋田県のJA秋田しんせいで開いた第20回セミナーで決議した「新総合JAビジョン確立への提言」に基づいて開いたもので、今回の第一回目のテーマは「課題の共有と意識改革」。
 主催した新世紀JA研究会の八木岡代表は、「セミナーの成果をそれぞれJAに持ち帰り、その結果をフィードバックする。これを積み重ねてJA改革に対する考えを確立したい」と期待を述べた。
 このあと同研究会顧問の福間莞爾氏が、最終的に政府が考えている信用事業分離の問題点を指摘。「これをJAから分離して、政府のいう農業振興はあり得ない」として、准組合員を含めた総合事業を営むJAの将来ビジョンづくりの必要性を強調した。
 セミナーでは4つの報告があった。昨年1県1JAを発足させた島根県JAしまねの相談役・萬代宣雄氏は、10年、20年先を展望した対策の必要性を指摘する。今は経営が安定していても、人口の減少、組合員の高齢化から、遠からず経営環境は厳しくなるとして「足下の明るいうちに」と考え、合併を進めた。その過程で重視したのは徹底した議論と合併への意思統一。組合長会など300回以上会議を開き、1JAでも脱落すれば合併は白紙に戻すことを会合のたびに確認した。その成果は11JAの総代会で97%の合併支持票に現れた。
 新JAは、独立採算を前提とした地区本部制を採用。地区本部間の切磋琢磨を促す。合併の目的は農業の振興にあり、そのため農業への投資を重視し、新規事業のリスクの7割は新JAがもつ。また地区本部のエリアを越える事業を導入し、合併のメリットを目に見える形にする。このため畜産センターの建設計画を進めている。萬代氏は「11の農協をひとつにするのは並大抵なことではない。組合員農家のために何をすべきかは、(政府に指摘されるまでもなく)我々が一番よく知っている。10年、20年後になって、『あのとき合併して良かった』と組合員に言われるような農協にしたい」と、先を見通した改革の必要性を指摘した。
 神奈川県JAはだのの宮永均専務は、現在、政府の進めている認定農業者のアンケート調査など、「農協改革」に関わる作業について、中央会やJAは完全に蚊帳の外に置かれており、「JAに全く情報が伝わらない。これまでとは全く違う状況にある」と強調。一般の監査法人を使うところが、中央会の会員になるとは限らず、「JA組織がばらばらになる」と危惧する。
 同JAは正組合員約3000人に対して准組合員1万1000人。貯金残高に占める正・准の割合は35%対45%で、准組合員なくしては現在のJAは成り立たない。このため日常の活動において正・准組合員の区別はなく、議決権はないものの総会には准組合員も出席し、意見を述べることもできる。また韓国から安い肥料の購入、農産物の買い取り販売などの改革に取り組んでいる。同専務は「総合農協のよいところを崩さないように危機感を共有し、運動していくことが重要だ」と訴えた。
 また、協同経済経営研究所の加島徹専務は公認会計士監査への対応について、世間一般の常識で考えることの必要性を指摘。特に農業用の共有資産が減損逃れの隠れ蓑になっている実態もあり、「系統中心の考え方の修正、ローカルルールの排除」を求めた。
 さらに、有限責任監査法人トーマツの戸津禎介JA支援室長補佐と髙山大輔シニアマネジャーが公認会計士監査の概要と対応に向けたポイントを話した。このなかでは特に内部統制の重要性を挙げ「内部統制に不備がある場合、監査時間が増大し、経営の妨げになるほど監査報酬が高騰してしまう可能性がある」と指摘した。
 なお意見交換では、「減損会計処理が株式会社と全く一緒というのは理解できない」、「営業利益が赤字ではだめだというが、経常利益で黒字ならいいのではないか」、「准組合員の制限付き議決権とはなにか」、「准組合員の利用制限の本質は政府の農協つぶし。『農協が必要』を組合員に言ってもらえるようにするべきだ」などの意見が出た。

■  □  ■

◆奥野全中会長が激励

セミナーにエールを送る奥野JA全中会長 危機突破・課題別セミナーには、JA全中の奥野長衛会長が駆けつけ、激励した。新世紀JA研究会の「提言」に触れ、「JA改革は自己保身であってはならないというのはその通りで、農協は農業・地域発展のための手段だ。そのためには内部統制をしっかりやり、JAの経営基盤を確立しなければならない。『農協のやることだからな...』などと言わせないようにする。中央会は3年後一般社団法人になるが、日本の協同組合のナショナルセンターとしての機能を果たしたい」と話した。

(写真)農協改革で活発に意見交換するセミナー、セミナーにエールを送る奥野JA全中会長

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