【自己改革促進へ 全中が機構改革】比嘉政浩JA全中専務理事に聞く2017年4月11日
人材育成を核にJA支援部
JA全中は3月27日付けで機構改革を実施した。29年度はJAグループの自己改革を一層加速させ、都道府県中央会や全国機関と一体となって、JAの自己改革の支援に徹底して取り組む重要な節目の年度となることから、JAへの支援を行う体制を機構改革によって明確にした。その柱が営農・経営戦略支援部などを再編した「JA支援部」である。今回の機構改革の狙いなどについてJA全中の比嘉政浩専務に聞いた。
機構改革は3月9日のJA全中理事会で決定した。
「JA支援部」は、それまでの営農・経営戦略支援部と組合員・くらしの対策推進部、そして教育部の一部業務から再編された。▽営農経済・担い手対策支援課(JA全国担い手サポートセンター)、▽経営戦略策定支援課、▽教育企画課、▽組合員・くらしの対策推進課、▽高齢者対策課、▽青年女性対策室の5課1室で構成されている。
現場JAに出向く県中央会の取り組みを支援するための横断的な体制として整備した。
また、「JA経営改革推進部」は、JAの管理部門をバックアップするための法令・会計・税務・人事労務、内部統制などに関する取り組みを強化するとともに、規制改革関連課題の変化への対応など念頭に、JA改革推進室をこれまでの営農・経営戦略支援部から移管した。
◇ ◇
――JA支援部を設置した狙いと同部の役割についてお聞かせください。
JA支援部は県中央会の新しい事業方式を見出すための部署です。これは農協法改正にともなって中央会の役割が「組合を指導」することから「会員を支援」することに変わったことをふまえたもので、JA支援部はその象徴的な部署だといえます。
JA全中では研究会を設置して新しい県中央会はどのような事業方式で取り組むのか検討を始めていますが、JA支援の本質は人材育成支援だと考えています。そのために教育部から教育企画課をJA支援部に移管しました。
もちろんJA全中によるJA支援は県中央会を通じてということですが、例えば県中央会が、各JAの機能や施設などについての再配置案を示すのではなく、そうした再配置について自ら考えることができるJA職員を育成するのが仕事だと思います。
そのために人材育成を主テーマにしてきた教育企画課を教育部から移管し、さらにそれを前面に出した部にしたいということです。
――どのような人材育成支援に力を入れるということでしょうか。
JA全中教育部が教材を提供し、県中が実施している階層別研修はJA職員が毎年約1万人受講しています。多くのJA職員が受講・受験される研修や資格試験を見直すことで、経営戦略策定や営農経済・担い手対策、組合員・くらしの対策などJAの現場での具体的な課題解決の力に結びつけていくような人材育成への貢献を強化しようというのが狙いです。営農経済、くらしの対策など各部門との相乗効果が必ず出てくると考えています。たとえば今、いちばん大事なことのひとつは営農部門で型にはまらないで、生き生きと人と人をつなぐ仕事をしていくことだと思いますが、そうした人を育成していくことです。
また、JA全中は中核的人材育成研修という課程を県中央会に提供してきましたが、こうした研修でも、地域営農ビジョンづくりなど現場でもっとも求められている課題に向き合う人材をどう育成するかという観点から機能が発揮できるよう、体制を整備していこうということです。
――営農の現場と教育を結びつけるようなイメージでしょうか。
たとえば、営農の場面で役に立つ人材を育成するためには、基礎的な経営学の知識が有効です。経営学は企業的な経営という狭い分野だけでなく組織論も含めた学問です。かつて言われたような営利追求のための道具ではなく、非営利組織にも経営感覚が必要だとの考え方にまで発展していることから、われわれ組織運動をするものにとって基礎的知識として必要だと思っています。
たとえば、どうすれば集落営農組織が成り立つのかを考えるとき、組織には構成員が共通の目標を持ち相互にコミュニケーションし、また組織への貢献意欲も不可欠であるなどといった基礎的な知識を持って営農の問題に携わるべきです。JAグループの職員は全体としてそうした広い意味での経営学をもっと学ばなければいけないと思います。
従来、「JA経営」を重視して中核人材育成を行ってきたとしても、今は「営農」の場面でこそ経営の観点が必要になっているというのであれば、その中核的人材育成研修では、もっと営農のことを色濃く取り上げていかなければなりません。そのようにプログラムの中身も変えていかなければならないということだと考えています。
――そのほか変更した点はありますか。
優良JAの表彰事業担当も教育企画課に移管しました。協同組合としての農協をどうつくっていくのかという観点から、「いいJAとは何か」という判断基準をつくってもらって、表彰事業の基準を変えていきたいと考えています。30年度から新たな表彰基準で実施したいと考えています。
また、人事制度と関係なく人材育成を考えることはありえません。これまでJC総研で所管していた業務をJA全中に戻して人事制度も教育企画課が担当するということにしました。
JA全中の職員がJAに出向しJAからJA全中に出向してもらう相互人事交流も行います。当面、毎年1年間、2JAと行います。今年度はJAとぴあ浜松とJAえちご上越ですが、今後、毎年2人のJA全中職員がJAに1年間出向することを積み重ねていこうと考えており、いずれJA全中職員の半数以上はJAでの業務経験があるという状況をつくっていきたいと思っています。JA全中職員は総合JAをトータルとして捉えられるようにならなければならないと考えています。
重要な記事
最新の記事
-
農業構造転換へ 自民の推進委が初会合2025年9月10日
-
「ひとめぼれ」3万1000円に 全農いわてが追加払い 「市場過熱で苦渋の選択」2025年9月10日
-
「まっしぐら」3万円に 全農あおもりが概算金引き上げ 集荷競争に対応2025年9月10日
-
科学捜査研究所を捜査せよ【小松泰信・地方の眼力】2025年9月10日
-
【JA人事】JA江刺(岩手県)小川節男組合長を再任(6月25日)2025年9月10日
-
岐阜県「ひるがの高原だいこんフェア」みのるダイニング名古屋店で開催 JA全農2025年9月10日
-
愛知県産いちじく・大葉使用 学生考案の地産地消メニュー 16日から販売 JA全農2025年9月10日
-
みのりカフェ・みのる食堂三越銀座店15周年記念 国産黒毛和牛の特別メニュー提供 JA全農2025年9月10日
-
「九州銘柄茶フェア」直営飲食6店舗で10月5日まで開催中 JA全農2025年9月10日
-
乃木坂46が伝える国産食材の魅力 7週連続、毎週水曜日に動画を配信 JA全中2025年9月10日
-
本日10日は魚の日「長崎県産からすみ」など130商品を特別価格で販売 JAタウン2025年9月10日
-
バイオスティミュラントに関する自主基準を策定 日本バイオスティミュラント協議会2025年9月10日
-
長野県産希少種ぶどう「クイーンルージュ」の秋パフェ登場 銀座コージーコーナー2025年9月10日
-
秋元真夏の「ゆるふわたいむ」「くるるの杜」で 北海道の食を堪能 JAタウン2025年9月10日
-
JAわかやまAコープとエコストア協働宣言「水平リサイクル」協働を強化 エフピコ2025年9月10日
-
「野菜ソムリエサミット」9月度「青果部門」最高金賞1品など発表 日本野菜ソムリエ協会2025年9月10日
-
日本農福連携協会とスポンサー契約を締結 農業総合研究所2025年9月10日
-
鳥インフル 米ジョージア州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年9月10日
-
鳥インフル デンマークからの家きん肉等の一時輸入停止措置を解除 農水省2025年9月10日
-
初の海外拠点 アイルランド・ダブリンに設立 NEXTAGE2025年9月10日