JA大会の「基本的考え方」を組織協議-JAグループ2018年6月19日
JA全中は6月7日の理事会でこの秋に開催される都道府県JA大会の議案策定に向けた「大会議案等策定にあたっての基本的考え方」の組織協議案を決定した。9月の全中理事会で基本的考え方を整理する。(※写真は第27回JA全国大会の会場のようす)
◆地域ごとに具体策
第28回JA大会はこの秋に都道府県ごとに大会議案を策定して決議、全国大会はそれをふまえて来年3月に開催する予定となっている。6月7日に決めた「大会議案策定にあたっての基本的考え方」の組織協議案は、都道府県大会の議案検討の際にJAグループ全体として情勢認識や取り組み方向を共有する目的でまとめたものだ。
タイトルは「創造的自己改革の実践-組合員とともに農業・地域の未来を拓く-」。
3年前の第27回JA全国大会では「農業者の所得増大」と「農業生産の拡大」を最重点分野として、組合員との徹底的な話し合いによってニーズを把握し、数値目標を立て着実な実践を進めてきた。今後とも地域の農業と暮らしになくてはならない存在としてJAが役割を発揮していくためには、多様化する農業、組合員の実態とJAの経営環境の変化をふまえ、JAが事業モデルの転換などを果たしていく必要があると提起。今回の大会では「創造的自己改革の実践」を主題とし、「地域の活性化」とあわせた3つの基本目標にさらに挑戦し、それを支える磐石な経営基盤の確立を重点課題とする。
ただ、県域や地域ごとに課題が異なっており、自己改革の実践もそれぞれ個性ある取り組みが求められることから、県域・JAごとに実践具体策を策定することに重点を置く。
◆組合員を類型化
そのうえで次期JA大会の実践期間である2019年~2021年度におけるJAグループの取り組みの基本的な考え方を提起している。
地域では農業生産構造が急速に変化し、農産物販売金額が1000万円以上の担い手経営体への生産・販売の集中がさらに進み、組合員は一層多様化している。
そのため組合員の属性や特性に応じて類型に区分けし、それぞれのニーズを整理して取り組みを見直すことを提起している。
例として5類型が示され、「正組合員」は(1)地域農業をリードする担い手経営体(販売金額1000万円以上)、(2)中核的な担い手(同300万円以上)、(3)地域と農村を支える多様な担い手(同300万円未満)の3つに区分けし、「准組合員」は(4)地域・農村をともに支える准組合員(パートナー)、(5)地域農業を応援する准組合員(サポーター)の2つに区分けしている。
このうちパートナーと位置づける准組合員は、地域農業振興の応援団と位置づけている准組合員のなかでも、事業利用や組織活動を通じてJAへの意思反映に関心があり、JAと日常的に付き合いが深い准組合員としている。
このように准組合員も協同組合の一員であると位置づけて、基本的な取り組みとしてJAグループ役職員は、農協運動の「主人公」である組合員の声を聴き、対話を行う。それによって役職員は農協運動の「推進者」として意識・行動改革を行い、事業モデルの転換など、自己改革を遂行する。
◆基盤強化と情報発信
重点事項は「農業者の所得増大」、「農業生産の拡大」へのさらなる挑戦。持続可能な農業を実現するには、とくに若年層に納得感ある所得水準を確保し、JAグループとして農業・農村をより魅力ある姿にする必要がるとしている。
そのために需要を捉えた生産によって農業生産を拡大する新たな事業モデルを打ち出すことも求められる。また、国民には「食」への関心が高いことから、その安定供給が懸念される農業・農村の危機についても理解を求め、食料安全保障について議論と認識を共有化する運動も展開する。
「地域の活性化」も重点取り組み事項だが、若者の田園回帰の動きや、都会の住民が農村と多様な関わりを持つ「関係人口」にも注目し、今回はこれらの動きとも連携して、JAが持つ多数の拠点や総合事業、協同活動を最大限に有効活用していくことも提起した。こうした連携は、地方公共団体や、他の協同組合、商工会、関連企業などとも強化していく。
また、情報発信にも力を入れる。
食と農、協同組合に対する国民的理解づくりに向けて、JAグループはこのほど10月2日を「直売所(ファーマーズ・マーケット)の日」として設定。これを起点にJAグループ統一広報を展開するとともに、JAではもっとも身近な消費者である准組合員に対して地域農業への理解と、JA自己改革の取り組みについて情報発信を強化する。
今回、新たに打ち出されたのはJAの「持続可能な経営基盤の確立・強化」 。総合事業体として引き続き機能を果たすため、事業モデルを転換し販売事業を中心に事業を伸ばすとともに、すべての事業の効率化と生産性向上にも取り組む。こうした経営基盤の強化を進め、准組合員の事業利用規制の検討に対して、「組合員の声と意思結集に基づき、これを跳ね返す運動を展開する」ことも強調している。
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