創造性発揮し自己改革へ 都道府県JA大会の決議等から2019年3月1日
・県1JA決議、准組の資格新設も
各県JAは昨年9月から都道府県ごとにJA大会を開き、JAグループの意思を内外に表明してきた。県域やJAごとの経営環境や地域実態が異なるため、決議には創意工夫のある取り組みが盛り込まれている。JA全中は3月7日のJA全国大会に先立ち、各都道府県JA大会の決議等の概要をまとめた。JAグループのめざす3つの目標の他、県1JAへの決議や農業所得向上へ向けた具体的な販売額目標を設定したり、めざす方向として「地域協同組合」を掲げたり、それぞれ特徴ある内容となっている。都道府県別に特徴をピックアップした。
北海道 前回決議した自己改革を継続しつつ、重要性が増す「協同組合の価値と実践」を決議。また「食と農でつながるサポーター550万人づくりの拡充」に取り組む。
青森 10年後も農業産出額3000億円を超え、食料自給率100%超を実現し続けるため、農業生産基盤の構築や生産の拡大に取り組む。
岩手 マーケットインによる販売強化と生産振興で、「野菜販売額1億円産地」の拠点整備を進める
宮城 環境保全米全県運動への取り組みによる「ササニシキ」「だて正夢」「金のいぶき」の認知度向上とブランド力の確立をはかる。
秋田 オール秋田体制による米、園芸作物の生産振興と販売を強化する。その上で、より広域で強固なJAめざし、2024年を目途に県1JAの実現をめざす。
山形 地域の担い手、多様な担い手、次代の担い手が支え合い、農作業支援者や地域農業応援者が担い手を支える地域内の協同のもとで、農業振興を通して地域の振興をめざす。
福島 農業振興では、農業産出額を大震災・原発事故前の水準へ回復させる。また組織基盤強化のため、次世代・地域住民の加入を促し、組合員数を維持・拡大する。
茨城 食料・農業・JAへの理解醸成のため、職場での情報発信意識の共有、拠点を活用した情報発信の充実、対象者層に応じた情報発信を強める。
栃木 組合員のアクティブメンバーシップで、准組合員の「食べて応援」「創って応援」「手伝って応援」の取り組みを強める。
群馬 組合員と日常的に対話できる関係づくりを進めるための「組合員との対話運動」を展開する。また自己改革の取り組み内容と成果を積極的に発信する。
埼玉 准組合員は「地域農業や地域経済の発展を農業者と共に支えるパートナー」としての位置付けを明確にすると共に、積極的に働きかける。
千葉 農業産出額全国2位奪還、全てのJAで事業利益の確保、組合員との対話活動を強化する。
東京 「農業を核とした地域の公共的団体」としての役割を果たす。東京独自の施策を展開するため、組合員の声を踏まえ、ゼロベースからの方針、戦略、重点施策を立案する。
神奈川 2019年からの3か年を自己改革の2サイクル目として、営農経済改革や対話運動を「当たり前の取り組み」として継続する。
山梨 これまでにめざす方向として掲げてきた県1JAについて、組合員への最大限のメリット実現を前提に協議を進める。
長野 農地・技術・経営をつなぐ仕組みを構築。またJA長野県グループの新たな「組織・事業・経営のあり方」を検討する。
新潟 組合員の営農とくらしに寄り添いサポートする人材の育成、職場づくりを進める。環境変化の立ち向かうリーダーシップ、マネジメント機能を強化する。
富山 富山県農業の実態を踏まえた「農業者の所得増大」に向けた取り組み具体策を策定する。広報活動を強化し、県民の「食」「農」「協同組合」の理解を醸成する。
石川 将来にわたって総合事業による組合員サービスを維持できる経営基盤を確立するため、広域地区に基づく県3JAをめざす。
福井 2020年4月の「県下1JA合併」の実現を決議。そのため組合員、役職員の意識改革を実践し、県下12JAは健全経営に邁進する。
岐阜 総合支店またはグループ制の検討、店舗規準の設定などで地域に根差した経営戦略を構築する。また農協運動者として意識・行動改革ができる人材を育成する。
静岡 総合事業を活かしたサービス提供を強化するとともに、持続可能で健全なJA経営を確立し、「農業を主軸とした地域協同組合」の実現をめざす。
愛知 組合員の多様化するニーズに対応したサービス提供のため、「事業・活動・相談の融合化を進める。
三重 多様な組織との連携による地域の活性化、わがJA意識の醸成、伝わる広報を展開する。
滋賀 JA間連携の仕組みの構築やJAグループ滋賀が一体となった機能連携(役割見直し)による「エリアの超越」に挑戦する。
京都 「食と農を基軸とする地域の全住民の協同組合」としての役割を発揮する。また正・准組合員を全て「組合員」とする新たな組合員資格創設を通じた組織基盤強化に取り組む。
大阪 「JAグループ大阪の経営基盤強化の取り組みに関する特別決議」を採択。組合員との関係性の再構築、自己改革の実践を支える業務執行体制を強化する。
奈良 役職員は組合員との対話を通じて、自発的に意識・行動改革に努めると共にホスピタリティ精神を持った人材の育成に取り組む。
和歌山 販売高600億円への挑戦。県1JA合併を前提とした組織体制のあり方について研究を進める。
鳥取 「鳥取県農業生産1000億円達成プラン」(平成30年鳥取県が作成)を考慮した目標数値の設定による行政等と連携した農業政策を展開する。
島根 自己改革の実践を支えるため、全ての事業の業務・事務効率化を進め、目標利益を設定した自己資本の充実をめざす。
岡山 県域の組織整備として、前回大会で提起した1県1JAの検討を継続し、また県域組織のコスト削減、体制のみなおし、中央会の円滑な組織変更を図る。
広島 協同組合「3つの危機」の一つ「協同組合の危機」を克服すべき第1の危機とし、「組合員の声を聴き、声に応える徹底した話し合い運動を展開する。
山口 総合事業と組織活動の成果を、組合員・地域と共有し、大会テーマに掲げた「守りたいもの 伝えたいこと~組合員とともに 次代へ~」に向けて取り組む。
徳島 既存の枠組みを超えた新たな事業展開を可能とする組織として、環境や時代の変化に対応できる経営資源の整った県域統合JAの実現に取り組む。
香川 組合員の声に基づいたJA運営を徹底するため、支店を核とする全戸訪問活動等で、組合員一人ひとりの声を聴く対話を徹底する。
愛媛 総合事業体としての機能を果たすため事業モデルの転換を図り、販売事業を中心とした事業伸長と全ての事業の効率化・生産性の向上に努める。
高知 組合員調査の結果次第でJAグループの将来が大きく左右されることから、現在進めている「JAグループ高知の短期的施策」にJAグループ高知が一体となって取り組む。
福岡 「農業の所得増大・農業生産の拡大」に直結する項目を〝最重点分野〟として全JAで取り組む。
佐賀 准組合員の位置付けおよびメンバーシップへの理解促進にとりくみ「食」と「農」の応援団として准組合員拡大をはかる。
熊本 新たな発想とあらゆる手段を講じて、事業と組織の革新をはかり、環境激変期を乗り越え、あるべきJAの姿を実現し続ける。
大分 組合員のJAへの結集を示す目標として販売品取扱率を設定。2027年度40%、本大会期間の3か年では37.5%をめざす。
宮崎 県下13JAおよび中央会・連合会の全てが県域JAに参加することを前提に、組合員・役職員との十分な協議を行いながら5年以内の県域JAの実現をめざす。
鹿児島 JA・県連の経営資源を一つのものとした協同事業、財務・経営基準を盛り込んだ県域事業連携工程表に基づき、原則2019~21年の3か年で、設備投資等、期間を要するものは24年までに実現する。
沖縄 国家戦略特区の活用や農作業人材マッチング支援などで農業の担い手を確保する。農産物の付加価値の増大や、輸入インバウンド市場対応など新たな需要開拓に努める。
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