全農がJA経営改善を支援 中央会・中金と連携し経営・事業を分析2019年4月24日
新中期3か年計画に取り組むJA全農は、今年度から新たにJA経営基盤強化に向けた支援を本格化する。地域農業のあり方や、組合員ニーズが大きく変化する一方、今後JAの信用事業をめぐる環境が厳しくなって経営状態の悪化が予想されている。全農はJAの経済事業の改善を支援しようというもので、農林中金や中央会が展開するJAの経営分析との連携も進める。県本部・経済連とともに、地域の環境、組合員ニーズに沿った最適な県域独自の改善メニューの高度化、人的支援などを行う。
全農県本部・経済連への説明会
JAの経営状況は、事業総利益の減少が事業管理費の削減を上回っており、事業利益は2016(平成28)年度から減少傾向にある。さらに19年度以降は、農林中金の貯金奨励の見直しや劣後ローン等の出資への振替が行われることから信用事業利益の大幅な減少が見込まれる。このため、信用事業の利益で経済事業を支えるという経営構造の改善が求められる。
4月23日、各県本部、経済連の担当者を集めて開いた、支援事業のスタートとなる説明会で、神出元一理事長は「全農は農業者所得増大へ向けて全力を挙げて取り組んできたが、荒廃農地の増加、食料自給率の低下が、それを上回るスピードで進んでいる。今後の環境変化を考えると、いま現場力を強化しておかなければならない」と、生産と直接関係するJAの経営基盤強化に向けた支援の必要性を強調した。
JA支援では、まずJAの経済事業の課題をさまざまな形で農林中金や中央会などと共有し、業務の進め方や事業運営方式を見直す。その上で、JAの事業拡大と収益量向上、運営コストの削減を目指す。具体的には、(1)農家対応力の強化、(2)販売力の強化、(3)産地づくり支援、(4)物流の合理化、(5)拠点型事業の一体化・受託などについて検討し、改善のための県域独自のメニューを作成する考えだ。
そのために必要な場合はJAへの職員の派遣も検討する。具体的には、今年の6月から県域ごとに重点JAを選んで進める。一方、農林中金・信連は、パイロットJA(2JA)、初期導入JA(3年で36JA)、県域展開JA(順次拡大)と、人員を含めたサポート体制を拡大し、事業分析などを行う。
JA全農は2019年度からの3か年事業計画で最重点実施策の一つに生産基盤の確立を掲げ、(1)農業労働力不足への対応および担い手確保・育成への支援、(2)ドローン・農業ICTなど革新的新技術の導入・普及、(3)加工・業務用の米・青果物などの契約栽培拡大、(4)販売起点の生産提案と資材・サービスの提供、(5)品目を見定めた輸入農畜産物の国産への切り替えに向けた生産振興―を挙げている。今回のJA経営改善支援はその第一歩となる。
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日