新規就農者が出荷組合 自ら農業後継者の支援も JAさがみ(神奈川県)2019年8月9日
新規就農者だけの野菜の出荷組合が、神奈川県のJAさがみで活動している。今年5月末に発足した藤沢市の「湘南つむぎ出荷組合」で、メンバーの4人はいずれも農外からの就農者。JAさがみの営農指導や融資などの相談に乗る「就農相談プロジェクト」の支援を受けて就農し、十数種類の野菜を栽培する。組合長の秋葉豊(44)さんは「食生活を将来に向かってつむぎ出していきたい」と、自らも後継者を育てていきたいと考えている。
枝豆の出荷に忙しい出荷組合のメンバー
秋葉さんは10年前に会計ソフトウエア関係の勤めをやめ、農業に転身した。横浜生まれで農業とは全く関係ない環境だったが、小学生のころから本やネットで農業に関する興味があった。高校生の時「日本の食料自給率が低いと教えられ、就農への問題意識はあった」と振り返る。
「鮮度がよく、量があって、価格が安いことが消費者の望みであり、これを日常的に実現できないかと考えた」と、就農への動機を語る。従って、商品は最高級を求めるのでなく、なるべく長期間、安定して供給できる栽培を第一に考えた。この考えでトウモロコシ、ホウレンソウ、小松菜、ネギ、キャベツ、ブロッコリー、ハクサイ、ダイコン、サトイモ、ナガイモなど十数種もの野菜を4.5haで、8人のアルバイトを使って栽培している。
当初は直売所やレストランなどへ売り込みをかけていたが、販路の確保と栽培に必要な資材の購入に苦労した。この問題を解決するため、同じく若手の新規就農者に呼びかけ、4人で出荷組合をつくった。
JAの出荷組合として共同出荷することで、計画的な栽培、安定した販売ができるようになり、「肥料や農薬など、JAを通して安く買えるようになるなど、JAから全面的なサポートを受けている。これからも新規参入者には同じような支援をして欲しい」という。自らも若い新規就農者に対する支援を惜しまない。
就農前に野菜農家で働いて栽培の勘所をつかみ、JAの指導も受けたが、多品目の栽培技術のほとんどは独学で取得した。秋葉さんは新規就農に必要なのは技術ではない。やりきるという覚悟だ」という。
「研究熱心で、自分で得た技術はみんなオープンにして、いいものを作り、きっちり出してもらえるので、スーパーなどのバイヤーの評判がよい」(JAさがみ緑化流通センター・高見沢秀規副主任)と、同JAは、若手農業者のリーダーとして期待する。
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・【緊急特集:JA対話運動】第16回 JAさがみ(神奈川県)対話は将来への種まき(19.08.05)
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